平均年齢19才。期待の若手バンド・robをご存知だろうか。

愛麗(Vo&Gt)、アラユ(Gt)、アキト(Ba)、長妻(Dr)の4人で、千葉を拠点に活動するロックバンドだ。2016年6月頃に結成され、同年11月に初ライブを行ってから、様々なフェスやバンドコンテストに出演。中ではコンテストのグランプリも獲得するなど、早いうちから評価されていた彼らは、現在関東を中心に全国各地でライブに出演。先日は宮崎でもライブを行うという、精力的な活動を繰り広げている。昨年12月には自身初のシングル「水槽」をリリースし、同時にレコ発を開催。他バンドをゲストに迎えて、大盛況を収めた。

といっても、彼らが現在リリースしたものはデモシングル「said」と先述した「水槽」のみで、MVはまだなく、彼らを知るきっかけに辿りつけないのが現状である。

そこで、muevo voiceではいち早く期待の新人としてrobをピックアップ。彼らの魅力は、持ち前の若さをエネルギーに変えた衝動的音楽。ストレートだけど少し捻くれている彼らのロックは、思春期を引きずる青い情景、世知辛い世の中を感じあがく姿、それらすべてを衝動に変えて、独り言を零しては叫びあげるように音を掻き鳴らし歌い上げている。そのポテンシャルの高さは、10代とは思えないほどの力量だ。

そんなrobの衝動を焼き付けた2作品を紹介。彼らの魅力と可能性について迫りたいと思う。



●デモシングル「said」 ディスクレビュー 


以前無料配布されていたデモシングル「said」。 

robの青い音楽のベースとなるのは、ノスタルジックな音の連なりと、風が吹くように、あるいは水の中で揺らめくような空間系ノイズを巧みに使ったシューゲイザー的サウンドにある。 

その隙間を通り抜けるようにふわりと浮く愛麗のボーカルは、憂いを含んだ声色で思春期の言葉にできない葛藤や寂しさを切なげに歌う。遠い目をして零すように歌うかと思いきや、サビでは「誰か気づいてよ」と心が叫ぶままに強くなるのが印象的だ。 

間奏でやってくる変拍子の中で、ギターアルペジオが先導する思考の迷路に迷い込んでいく。入り組んだ道に迷った末に愛麗のファルセットが聴こえた途端、景色が解放されるようなパワフルなバンド・アンサンブルが聴こえてくるだろう。 

若さを叩きつけるようなアグレッシブさと弱さを匂わす繊細さを兼ね備えたジューゲイズサウンドに、オルタナティヴなロックサウンドが重なり、勢いが増すラストシーンは、しがらみの中走り抜ける疾走感が心地良い。荒削りなサウンドが、これまた良いのだ。繊細なアルペジオと衝動を抑えきれないパワフルなアンサンブル。この両面性が、robのコアであることが、このデモ音源から提示されている。



●1stシングル「水槽」 ディスクレビュー


色の異なる4曲が集うファーストシングル『水槽』では、彼らのポテンシャルの高さが感じられる。 

大人びたフレーズとおしゃれなシティロックで彩る「Blame」、甘酸っぱい青春を疾走感に乗せて歌いきるJ-ROCKナンバー「blue scene」、アコースティックギターと歌声のみアナログ録音で哀愁と切なさを漂わせる「yuragi」、壮大なサウンド・スケープでフィナーレを飾る「ミュージアム」。この4曲を通して、彼らのジャンルの確立を見せた。 まずは、歌モノであることの意義を唱える。 

ボーカルありきの曲であることを意識した上での楽曲たちは、歌を活かすために波を作り、ボーカルがオフの時に野性が荒れ狂う。このオンオフの差を巧みに使い分けるからこそ、厚みも増したのだろう。 

そして、愛麗のボーカリストとしての成長。ハスキー混じりなボーカルは、表現力を増し、冷静な大人の一面を見せては、泣きだすように感情を露わにしたりと、色んな表情を見せるようになった。歌詞がより鮮明に映し出され、robの音楽が描く世界観をよりリアルに表現する要となっている。 

そして最後は、robの本質はJ-ROCKにあること。 

「Blame」はムーディーなアンサンブルで、シティポップ感もあるが、しっかりと聴いてみるとどの楽器もアタックは強く、くっきりとした音作りで角は尖っている。シティポップらしいまろやかな音ではなく、ロック色の強いジャキジャキ感が全面に出ている。 

「ミュージアム」では、ジャパニーズシューゲイザーやドリームポップの一線に躍り出るほどの浮遊感ある空間系サウンドだが、音はどれも鮮明ではっきりとしている。メロディアスなギターリフが主体で、ボーカルもバンドサウンドも一つたりともぼやけることがない。どの曲も常に走り出しそうな熱を秘めているのだ。

歌ありきのJ-ROCKがベースに、シューゲイザーをはじめとした様々なサウンドエッセンスを加えることで、複雑な音像や歪んだ景色になっていこうとも、どこかすっきりとする爽やかさが残る。それゆえに、思春期の面影が生きる。コアなファンにも響くサウンドや世界観でありながら、J-ROCKなど勢いのあってわかりやすい音楽を好む層にも響く音楽である。幅広いリスナーを獲得できるバンドとなるのではないだろうか。


平均年齢19才という若さで、この完成度の高さ。驚かざるを得ないrobのポテンシャルの高さと研ぎ澄まされたセンスは、伝わっただろうか。

彼らが掻き鳴らすのは、衝動と思春期の青。今後さらに開花されていくであろうrobから、目が離せない。そして、今回ディスクレビューしたデモシングル「said」は7月17日(火)に音源発表となり、現在100円で販売している。また、随時ライブが行われており、現在は公式ツイッターで最新情報がチェックできるとのこと。

これからさらなる飛躍が期待されるrobを、いち早く追いかけてみてはいかがだろうか。


【Twitter】https://twitter.com/rob_chiba