かつて日本のみならず、世界から注目を集めたロックバンド・FACTの存在をご存知だろうか?
白い能面姿とエレクトロを取り入れた新感覚ラウドロックで、国内を飛び越え、アメリカのレーベルからデビュー。「SXSW」 「Warped Tour」といった海外の大型フェスに出演など、様々な活動により、2000年代のラウドシーンの根底を作り上げたバンドとして、今も尚語り継がれるバンドである。
今回ご紹介するのは、FACTの元メンバーであるHiro(Vo)、Kazuki(Vo&Gt)、Takahiro(Vo&Gt)が、2016年のFACT解散と同時に立ち上がり、再び結成したロックバンド・SHADOWS。
FACT解散と同年にライブレコーディングによるファーストEP『Extrance』をリリースし、デビューを飾った。その後、「PUNKSPRING」「SUMMER SONIC」といった国内の大型フェスに立て続けに出演。2017年にはファーストフルアルバム『illuminate』をリリースした。
メロディックなフレーズや音色による華やかな演出は前バンドからそのままに、FACTとは違った“動”の一面を見せるSHADOWS。
90年代のサウンドテイストを彷彿とするストレートなアプローチを手法とし、どこか神聖さ漂うハードコアミュージックから、ゴリゴリなラウドロック、ノリの良いパンクロックまで、あらゆる姿に変化し、その確かな実力で巧みに表現する。
それはFACTでは見られなかった新しい姿である。
新生FACTではなく、SHADOWSである意味。それは彼らが楽曲内に示している。
では実際にどう違うのか?SHADOWSの音楽とは一体?
彼らの新しい“動”の一面を、3つの楽曲を通してご紹介しよう。
●SHADOWS - Chain Reaction (Music Video)
ファーストアルバム『illuminate』に収録されているこちらの楽曲は、FACTを思い出さざるを得ないほど、彼らの本来の魅力が詰まった一曲となっている。
この軽快なハイスピード、胸を掻き立てるようなアツいバンド・アンサンブル、生命力溢れるメインボーカル・Hiroの天性の歌声。前バンドから培ってきたスキルと個々の魅力を最大限に引き出している。
しかし、前バンドと明らかに違うのは、ラウドでありながらもこの聴き心地の良さだ。メロディアスなリフや軽やかなリズムで、サウンド自体もとても聴きやすい。エモーショナルなサウンドはそのままに、ポップな印象も強い。 特にドラマチックな曲展開も、聴き心地の良さの大きな要因となっている。 前半はアグレッシヴなサウンドを全開に突き進み、中盤では楽器の音が抑えられてコーラスが爽やかに響き、後半は再び盛り上がり華やかなまま終焉を迎える。 じっくりと練られた構造ではあるが、ストレートな起承転結を描いている。
90年代ロックらしい真っ直ぐなサウンドや曲展開も、SHADOWSならではの魅力である。
●SHADOWS - BEK (Music Video)
デビューEP『Progress』では、まさに彼らは新境地を開拓したといえよう。
ザラつきのある野性的サウンドとキャッチーなメロディ、泥臭いHiroのボーカル。リズムの転調が重なり、何度も形を変えては疾走するように駆け抜けていく。 ヘヴィーであることに固執せず、身軽に音を楽しんでる印象で、そのフットワークの軽さが二転三転するドラマチックな曲展開に繋がっているのだろう。 重たいサウンドを掻き鳴らしたまま突っ切るというのも彼らの得意分野ではあるが、SHADOWSでは“変化”を重ねることや、ストレートなアプローチの中に見える音ひとつひとつを明確にすることで、細かな音の違いを楽しんでいるようにも思える。
また、なんといっても、彼らの楽曲に欠かせないシャウトが気持ち良い。全てを吐きだすように男臭く叫ぶ姿はとてもエモーショナルで、人間的だ。普段こういうノリには縁がない人も思わず拳を突き上げたくなるような、リスナーの心を巻き込む熱い魂をジリジリと感じる。
音への楽しみと、添える熱いロック魂。
純粋なる音楽への愛が、SHADOWSの音源を通して伝わってくるようだ。
●SHADOWS - Still Remember (Music Video)
ライブ会場限定販売のセカンドフルアルバム『torches』に収録されている「Still Remember」。これが最新のSHADOWSだ。
肉厚のあるヘヴィーなサウンドをベースに、壮大なサウンド・スケープを描いている。マシンガンの如く打ち込まれるドラミングに、ジャリッとしたディストーショナルなギターサウンド、重たくもマイルドな印象を与えるベースライン。ずっしりとした重みを持ちながら、どのパートの音も角が丸く耳あたりが良い。
この上質な音選びは、まさに歴戦を潜りぬけてきた経験から活かされているのだろう。メロディアスなフレーズが続くからこそ、耳当たりを良くして、インパクトを持ちつつも聴き心地の良い音楽を追求しているように思える。シンプルな構造の中に、ひとつひとつの音が丁寧に収められている。 歴戦の猛者である彼らだからこそ、成しえた上質なサウンド・スケープを、この楽曲を通して感じられるだろう。 そして、前バンドとは違ったアプローチで描く“動”を確立させたと言えよう。
現在は楽曲紹介でも記載したライブ会場限定販売のアルバム『torches』のリリースに伴い全国ツアーを回っているSHADOWS。8月30日には最終公演は渋谷TSUTAYA O-EASTで行われるという。 彼らの確かな実力と、新たな音楽を直に体感するべく、ぜひとも足を運んでほしい。 また、新作アルバムも会場限定販売となっているので、現在ライブに行く以外は入手方法がないそうだ。ぜひ会場で手に入れて、じっくりと現在のSHADOWSの音楽を堪能してほしいと思う。
【CD情報】
2nd Full Album『torches』
2018-05-24 MXMM-10061
¥2,700(税込) ¥2,500(税抜)
SHADOWSのライヴ会場のみでの販売となります。
01 Flare
02 Vices
03 Still Remember
04 My Direction
05 The Lost Song
06 Sway
07 Overcome
08 Under My Skin
09 Hallucinate
10 Starting Over
11 Stars
12 Candles
【サブスクリプション配信中】
AppleMusic https://itunes.apple.com/jp/album/id1400704979?app=apple&ls=1
Spotify http://open.spotify.com/album/5dQf9Hqmb9HbGO4s4ZX1mK
【Twitter】https://twitter.com/SHADOWS_JAPAN/