はるまきごはんは、初音ミクをはじめとした音声合成技術・ボーカロイドを使用して楽曲制作を行う“ボカロP”だ。

ストリーミングサイト・SoundCloudで初音ミクオリジナル曲をUPしていたが、2014年2月にボカロ楽曲の発祥地・ニコニコ動画で活動を始めた。

それからおよそ2年が経った頃、はるまきごはんの発表した「銀河録」がボカロPの間で話題となり、スマッシュヒット。これを機に、一躍有名となる。

同年11月には、ファーストアルバム『BLUE ENDING NOVA』をリリース。2016年の自身の楽曲をまとめた作品となった。

翌年2017年には、アコースティックミニアルバム『SLEEP SHEEP SUNROOM』をリリース。「眠れるアルバム」をテーマに、アコースティックな楽曲をまとめるというボカロPの中でも一風変わったアプローチを行った。

初音ミク、LUMiを主に使用し、ボーカロイドならではの無機質さを活かしたメロディと、中毒性の高いエレクトロロックミュージックが人気を博し、ニコニコ動画では多くの楽曲が殿堂入りを果たしている。

そして、はるまきごはんの活動は楽曲制作のみならず、動画やイラストも自身で手掛けるというマルチな才能を発揮し、多岐に渡る分野で活動している。

はるまきごはんの手掛ける楽曲3つをピックアップし、彼のハイセンスな音楽と、DIYな活動に迫りたい。



●メルティランドナイトメア / はるまきごはん feat.初音ミク - Melty Land Nightmare  



はるまきごはんの楽曲といえば、という特徴が詰まったこの一曲からご紹介しよう。

自身が公開したMVの中で、最も再生回数が多く、大きな注目を集めた「メルティランドナイトメア」。Youtubeでは137万回を記録するという、飛び抜けた記録を持っている。

彼の楽曲の最大の魅力は、非現実ならではの良さを最大限に活かしているところだ。

ボーカロイドという機械的かつ無機質な声を、人間的にさせようというのではなく、そのまま使用している。ボーカロイドが持つハイトーンボイスをフルに活かして、人間が原曲キーのまま再現するのは難しいようにメロディが作られている。

このボーカロイドならではの魅力を活かした“非現実さ”が、やみつきとなるポイントである。

そして電子的で幻想的なエレクトロロックミュージックが、彼の楽曲の持ち味である。 メロディックなフレーズは聴く人の心を躍らせ、エレクトロサウンドに挟まれるギターが良いエッセンスとなり、楽曲はたちまちロックな色を見せる。

キャッチーというよりも、複雑なメロディと言葉が入り組んでいるという印象の方が強い。

しかし、それこそが魅力。何度も聴きたくなる魔法をかけているのだ。

クセになるほどの、メルティでスイートなエレクトロワールド。中毒性が高く、聴く人をじわじわとはるまきごはんのテリトリーに引きずり込むのだ。



●ドリームレス・ドリームス(アコースティックアレンジ) / はるまきごはん feat.初音ミク  



アコースティックミニアルバム『SLEEP SHEEP SUNROOM』に収録されているこちらの楽曲は、先述のエレクトロ全開の世界観に比べ、柔らかなアコースティックアレンジが施され、あたたかくも切ない雰囲気が漂う。

しかし、楽曲の雰囲気が変われど、声の質感は変えることなく、ボーカロイドならではの良さをアコースティックにも反映させる。 

はるまきごはんのジャンルの幅広さを伺えると共に、注目したいのは歌詞で魅せる独特の世界観。 

無機質な声で描かれる言葉とストーリーをじっくりと聞かせるのも、この楽曲の魅力のひとつ。一見童話チックでメルヘンな歌詞と思いきや、その奥は広く深い。 

ゆったりとした時間の流れを感じさせるアコースティックなメロディに、もの悲しく響き渡る言葉たちは、切ない願望であり、手繰り寄せたい希望だ。 

機械的に歌う初音ミクの声と交わり、その切なさを巧みに表現している ハイクオリティなメロディと共に、彼のハイセンスな言葉たちにもぜひ注目して聴いてほしい。 



●アスター / はるまきごはん feat.初音ミク アニメMV - Aster 



8月に公開されたばかりの新曲がこちら。

ムーディーなエレクトロ式シティポップで、甘いメロディが気持ち良い一曲だ。

バーチャルと現実を行き交うストーリーが繰り広げられるMVは、ネオンに照らされた孤独を描いている。

実は、はるまきごはんの楽曲のMVもすべて自身で作っているという。

楽曲から歌詞、そしてMVに至るまで完全なるDIY。だからこそ、世界観が完全に統一され、細かなニュアンスひとつまでこだわり抜かれている。

楽曲そのもののクオリティの高さはさながら、MVの表現する世界観も歌詞とリンクして、よりストーリーを深く知ることができる。

楽曲のみで聴くのももちろん良いが、MVと合わせて聴くとこの楽曲のさらなる魅力に触れ合えるのではないだろうか。


ボーカロイド特有の無機質を使い、非現実を回遊するエレクトロロック。それがはるまきごはんの作る音楽だ。

先ほど紹介した「アスター」が新曲として公開されたばかりだ。MVと合わせてじっくり視聴してほしいと思う。そして、過去楽曲もYoutubeやニコニコ動画にて多数公開されているので、ぜひ合わせてチェックしてみてほしい。

ボカロPとしての活動のみならず、他アーティストへ作詞提供なども行っているそうだ。さらなる活躍が期待できる新鋭ボカロP・はるまきごはん。今後の活躍も、見逃せない!


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