2018年に活動開始したボカロP、虻瀬(あぶせ)。 

当初は別の名義で活動していたが、2019年4月より現在の「虻瀬」名義に変更。以降継続的に作品を発表している。

元々ボカロ楽曲が好きだったという虻瀬は、高1の春から作曲活動を開始。最初はインスト作品を作成していたが、歌モノも作りたいと思いボーカロイドを使用し始めた。

音楽的な特徴は、ジャンル分けの難しいごった煮感にある。ポップス、ロックから民族的な音楽、さらにはノイズミュージックなどの様々な音楽の要素を解体して再構築。そうしてどこにもない独自の音を鳴らしている。

2020年時点で現役高校生でありながら、そんなオリジナティを感じられるサウンドで個性を発揮しているボカロPだ。




・花戦争 / 虻瀬 with 初音ミク [ Flower War - Abuse with Miku Hatsune ] 




2020年2月に公開された楽曲「花戦争」。 

この楽曲は、虻瀬のオリジナリティが存分に発揮されている1曲だといえる。

冒頭のサビパートの後、民族的でトラディショナルな響きをする弦楽器のサウンドとともに、初音ミクの声を楽器のように鳴らしてサウンドを構築する。そのパートのごった煮感、良い意味でのカオス感はオリジナリティ以外の何物でもない。そこからAメロに入り、一瞬サウンドが落ち着いたかと思いきや、また民族的な打楽器の音が入ってくる。それでいて基本的にメロディーはキャッチーで、耳なじみは抜群。だから全くジャンル分けができないのだ。

音数は極めて多く、カオス感はあるものの、それでいて全体のバランスがうまくとられていて、うるさく感じられないというのもポイント。最後まで聞けば、絶妙なバランス感覚で楽曲が仕上げられているということが分かるだろう。




・dogdog / 虻瀬 with 初音ミク [ dogdog - Abuse with Miku Hatsune ] 




2019年6月に投稿され、2020年8月時点でのYouTube再生回数が36万回を超える人気の楽曲。 

この楽曲は、中学3年間習っていたというピアノが存在感を発揮する1曲だ。激情的に鳴らされるバンドサウンドと熱量の高いピアノが絡み合う、ピアノロック的なサウンドで構築されているが、ただのピアノロックではなくどこか現代音楽を極めてキャッチーに鳴らしたような雰囲気がある。特に冒頭からしばらくのピアノフレーズにはそんな雰囲気がムンムンに漂う。とはいえ全体のリズムやメロディーはポップでキャッチーで、ピアノにおいてもキャッチーなリフ的フレーズを鳴らしたり、全体を盛り上げるような装飾をしたりすることも少なくない。ゆえにこの楽曲もやはりジャンル分けの難しい、独特の個性を放つ1曲だといえるだろう。

展開の面白さも抜群で、6分弱ある楽曲だが全く飽きることなく聴けるはずだ。



「将来は音楽だけに限らず創作で食べていきたい。27歳までには有名になりたい」と話す虻瀬。ずっと漫画を書きたいと思っていて、物語も作っているというから、音楽シーンでだけではなく幅広い創作シーンにおいて注目していきたい存在だ。 

「自分の価値観は大衆向けではないことはわかっている。だけど他人に強い差異を与えるもの作りたい」という思いで創作活動を続ける虻瀬のこれからには、要注目。




【YouTube】 

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【Twitter】

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