瑞々しいピアノロックサウンドの中で、まばゆいストーリーを描くバンド、ヒヨリノアメ。
2015年に茨木県水戸市で誕生した彼らは、当時高校生とは思えないハイクオリティな世界観で瞬く間に話題を集め、結成から1年後の2016年には早くも自主制作1stシングル「空」をリリース。水戸でのリリース企画を満員で成功させた。
2017年にはメンバー全員で上京し、同年10月にVo.Gt.AKI、Key.Cho大橋ユウト、Ba.Cho萩谷尚也、Dr.山崎一樹の現メンバー体制になる。
そこからもヒヨリノアメの躍進は続き、2018年2月には1stアルバム「菫の咲く頃に」をリリースして東京・水戸でのリリース企画はソールドアウト。アルバム収録曲の「手紙」が千葉テレビのドラマ「あおのそら」主題歌に起用されるなど、その活動の幅をさらに広げた。続いて7月には1st EP「傘とシンデレラ」を発表し、リリースツアーも成功させる。
勢いの止まらないヒヨリノアメの一番の注目ポイントは、なんといってもピアノを主軸としたセンチメンタルなバンドサウンドと、まるで物語のように広がっていく歌詞、それを感情豊かに描くAKIのボーカルだ。
メロと歌詞を同時進行で組み上げた弾き語り形式のデモに肉付けするかたちで曲が作られるという彼らだが、そんな製作方式だからこそ、その音楽は一貫した世界観を保っているのだろう。
その繊細な音楽の数々に、実際に触れていこう。
●room
「room」は、現時点でのヒヨリノアメの最新作「傘とシンデレラ」のリード曲だ。
お互いが大切な存在だったのに、どうしようもなく離れていく男女を描いたこの曲は、隣にいなくなってしまった「あなた」を想って後悔や諦めの気持ちが渦巻く心情を生々しく表現している。
歌詞の言葉づかいは難解さを排して、平易なワードのみを用いているからこそ、そこに描かれるストーリーは等身大のリアルな重みをもっている。「さよなら」というシンプルな一言の裏に、決別や前進への決意といった様々な感情を感じられるのではないだろうか。
サウンド面では「ピアノロック」という形態へのこだわりが強く感じられて、シンプルなアンサンブルが曲の切なさをより大きくしている。
●リクレイト
1stアルバム「菫の咲く頃に」に収録された「リクレイト」。
「recreate(再現・再生)」という単語をもとにしたタイトルのこの曲は、「room」で描かれたものと同じ出来事をテーマにしているという。時系列的にはこの「リクレイト」の方が別れの直後に近いらしく、歌詞に込められた感情もサウンドも、不安定に揺れ動くエモーショナルさが表れていると言えるのではないだろうか。
ぐちゃぐちゃにかき乱された気持ちをそのまま吐露してぶつけるようなストーリーが、激しさと繊細さを併せ持ったキャッチーなサウンドと織り交ざって、ヒヨリノアメ独特の世界観を作り出しているこの曲。彼らの代表作として、必聴の名曲だ。
●東京
タイトルからも分かるように、現在のヒヨリノアメが暮らす街について歌った「東京」。
元々は茨城の水戸市で活動していた彼らにとっては、2017年の上京は生活の全てを作りかえる大きな決断となった。そんな期待と不安が入り混じっていた時期に生まれたのが、新たな拠点である東京への気持ちを歌うこの曲だったという。
そんな「東京」の中でも特に耳に残るのが、切なさを絞り出すように歌いだされるボーカルのメロディだ。聴き手の感情を揺さぶる歌メロとシンプルなアンサンブルが、映画のエンドロールを見ているようなノスタルジックな空気感を生み出していて、否応なしに涙を誘う。
数多くの名曲につけられてきた「東京」というタイトル。ヒヨリノアメのこの曲も、そんな名曲たちの列に並ぶ稀代の名バラードと言えるだろう。
今ヒヨリノアメが邦ロックシーンのなかでぐいぐいと話題性を高めているのは、そのハイペースな活動はもちろん、圧倒的なキャッチーさと叙情性を兼ね備えた音楽センスを見せているからこそだろう。
ソングライティングの面でも演奏面でも確かな実力を持っている彼らが、ますます大きな存在になっていくことは間違いなしだ。そんなヒヨリノアメの活動に、これからも注目していこう。
【公式HP】http://hiyorinoame.com/
【Twitter】https://twitter.com/hiyorinoame
【イベント情報】
1st.EP『傘とシンデレラ』リリースツアー裏ファイナル ワンマンライブ
2018.10.20(金) 茨城 mito LIGHT HOUSE
open 18:30/ start 19:00
前売 ¥2,000 +1drink
※当日、ヒヨリノアメのCDをご持参していただいた方500円引き
【リリース情報】
ヒヨリノアメ 1st EP『傘とシンデレラ』
2018年7月1日(日) 発売
収録曲
1. room
2. Ai
3. 傘とシンデレラ
¥1,000(税込)
ライブ会場の他、iTunesStore, Google Play Music, AmazonMusic, LINE MUSIC, Spotify等各種ストリーミングサービスでも配信、販売中