棘のある言葉、滲み出る凛々しさ、花弁の奥に揺れる繊細な心。まるで一輪の薔薇のように咲き誇り、歌うシンガーソングライター・ほのかりん。
モデルや女優業を主としていたほのかりんは、高校在学中よりガールズバンド・コムシコムサにギターとして参加。フォーライフ育成アーティストとしてデビューに向けリハーサルを重ねていた。
彼女の才能は歌唱という形で再び芽を咲かし、ソロとして活動することを決意。
2017年『メロンソーダ』をデジタルシングルとしてリリースし、デビューを飾った。
今年5月にはファーストフルアルバム『LOVE ME TENDER』をリリースと同時に、レコ発ワンマンライブを開催。大盛況を収めた。
9月にソロ活動1周年を迎えたほのかりんは、それを祝して10月に3曲同時配信『One Night Slap』を発表、自主企画ライブ「tender heart」を開催した。
デビュー後は、2ヶ月に1回のペースで新曲を出し続け、精力的にライブも重ねてきた。
様々な困難を経て、復帰した彼女は、以前よりも凛々しく、そして強い女性となって帰ってきた。
今回、ほのかりんの魅力を伝えるべく、5月にリリースしたフルアルバム『LOVE ME TENDE』収録曲と、今月リリースした『One Night Slap』の楽曲を用いて彼女の魅力について迫りたいと思う。
彼女が貪欲に欲する愛。その形はすべて、彼女の音楽に刻み込まれている。
●メロンソーダ
彼女のアーティストデビューを飾った「メロンソーダ」はフルアルバム『LOVE ME TENDE』の2曲目に収録されている。
等身大のほのかりんから吐き出される生々しい言葉の数々は、リアルな恋愛を見せつける。きれいごとでは終わらない恋愛模様。何かを間違えて、お互いの足がもつれあった結果終わりを迎えるという、とても現実的な話である。
恋の終わりと君が映るメロンソーダ。しかしそこには甘い思い出が浮かぶわけもなく、ただ振り切る為に歌うように、彼女はすべてを吐きだしている。
パンキッシュなアグレッシヴサウンドに、心の衝動を丸写しにするギターサウンドが脳と心をビリビリと刺激させる。
空想事ではない出来事を、まるで尖った刃のまま投げつけられるような感覚だ。それがほのかりんの音楽の醍醐味である。
音楽のなかでは、けして嘘をつかない。だからこそリスナーは心を震わせることができる。
紛れもない現実的愛だからこそ、悲痛な気持ちも振り切りたい思いもすべて丸ごと伝わってくるのだ。
●夢裡
金髪ショートヘアのパンクな花嫁姿で、真っ直ぐにこちらを見つめたまま歌うMVが印象的な「夢裡」は『LOVE ME TENDE』の5曲目に収録されている。
ストレートなバンド・サウンドに乗せるのは、恋の裏切りにまつわるエトセトラ。
「いつか結婚」という形のない約束と、形のない裏切りは、恋人同士によくあることだ。
約束は夢の中の代物に変わって、知らずうちに消えていく。ただ、この歌詞に秘められた思いは一方的なものではない。
裏切った私が強がり、といえばあなたはどう考えるだろうか?勝手だと思うだろうか。それとも、強がるなら戻れば良いと思うだろうか。
この言葉の間にある“言葉ではあらわせないもの”を、ぜひ見つけてほしい。救いようのない愛を感じた時に見えるあの感覚を、彷彿とさせるのだ。どうにもならない、けれど愛していた。その気持ちは事実なのだと、彼女は強く歌う。
リアルな恋愛だからこそ起こり得る言葉と言葉の間の気持ち。それを彼女はロックミュージックに乗せ、声を大にして叫んでいる。
このリアルかつ悲痛な叫びには、説得力がある。それと同時に、聴けば聴くほど、ほのかりんのことをもっと知りたいと思ってしまうのだ。
●One Night Slap
一夜の男女を甘美に描く「One Night Slap」は、今までの楽曲よりも大人びた印象を受ける一曲だ。
妖艶かつタイトなカッティングギターに、ハイテンポなのにムーディーなグルーヴ感。クールなバンド・アンサンブルは大人の夜にぴったりなサウンドだ。
一夜だけ欲しくなるインスタント愛は、目の背けられない現実のもの。悪い出来事と捉えず、浮ついた気持ちを肯定してあげることも自分を救う道であり、誰かを癒す薬でもある。
彼女の曲を聴くと、一見ふしだらな夜が尊く美しいものに思える。そこには常に、等身大に描かれたリアルな愛が存在するからだ。キレイごとでは語れない真実の愛。
一輪の花が、愛を吸って咲いて、いずれ散っていく。なんとも単純で当たり前の生活が、しっかりと音楽に息づいているからこそ、ここまでリアルな世界観となっているに違いない。
この世界観は、様々な経験をし、自ら乗り越えてきたであろうほのかりんにしか生み出せない唯一無二の世界なのである。
また、MVでは濃いめのメイクに花柄のワンピースという色気溢れるほのかりんを堪能することができる。魅惑の首筋と艶やかな指先にフォーカスがあてられるカメラワークも実にエロティックで美しい。歌詞の世界観をより膨らませる重要な映像だ。MVもじっくりと楽しんでほしいと思う。
薔薇のように気高く咲き誇り、女の生き様と貪欲な愛を歌い続けるほのかりん。
彼女の唯一無二の世界観は、どの男も汚すことはできない。美しい愛でしか触れることのできないその繊細な心は、音楽の中で今も愛を求め続けている。
【Twitter】https://twitter.com/lynnhonoka
【リリース情報】
『One Night Slap』
2018.10.3 Digital release
収録曲
1.One Night Slap
2.modulation
3.ハート・エイク・イズ・ブルー