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諭吉佳作/men ━━ 甘いまどろみに、シニカルなフレーズ。15歳が放つ色気と歪む思考に迫る

諭吉佳作/men ━━ 甘いまどろみに、シニカルなフレーズ。15歳が放つ色気と歪む思考に迫る

muevo編集部にリクエストが寄せられた「気になるアーティスト」を紹介するmuevo pick up。今回は諭吉佳作/menの登場です。


15歳という若さにして、才を咲かすソロシンガー・諭吉佳作/men(ユキチカサクメン)。

静岡という都会から離れた土地で活動する彼女が、一気に注目を集めたのは今年開催された“未確認フェスティバル2018”でのこと。
彼女はファイナリスト最年少にして、審査員特別賞を受賞。さらに、ストリーミングサイトEggsでは年間アーティストランキングにて2位を獲得するなど、今年は大きな飛躍を見せてきた。
多くの人々の心を掴む諭吉佳作/menの音楽は、まさに諭吉ワールド全開。
幼げなルックスからは想像がつかないほど色気ある歌声に、的確なリズムトラックの中で歪んでいくまどろみの世界。
彼女の作品たちは、アートワークに至るまで“諭吉佳作/men”で統一された魂の産物なのである。そのため、自分が納得いく音源ができるまでは映像は作らないと強く決めているそうだ。その信念の強さも、彼女の魅力である。
サカナクションのフロントマン山口一郎に「将来性がある」と言わせた諭吉佳作/menの魅力について、彼女の公開楽曲3曲を用いて迫りたいと思う。



●非常口



まずは何も見ずに、彼女の歌声だけを感じてほしい。

音楽がはじまれば、“中学生のソロシンガー”という概念が吹き飛ばされる。
口から零れ出る歌声には色気があり、甘いまどろみへ導かれていくようだ。
繰り返されるトラックの中で、彼女は軽やかにステップを踏むように、時々命をさらけ出し踊るように歌っている。軽快なリズムの中で、彼女は艶やかに変化していく。彼女が大人へと姿を変えるその瞬間は、まさに鳥肌モノである。
そして、彼女が吐き出す言葉は、ひどく現実的だ。諭吉佳作/menは15歳にして、女を、虚無を、心の迷いを知っている。出口がわからず戸惑う思考を、彼女は現実的な言葉で見定め、音楽として形にしている。デジタリックなサウンドの中に息吹く人間的感情が、やけに愛おしい。
目を閉じれば、そこには真っ暗で底のない空間に出会う。非常口というタイトルだが、ここは出口がないほどの魅惑の海。一度聴いてしまえば、この才能に、諭吉佳作/menに、どうしても惹かれてしまうのだ。



●の ぞ き


続いてご紹介するのは、じんわりと蝕むシニカルワールドが魅力の「の ぞ き」。
先述とは違い軽やかなキーボードが転がるようにはじまる。可愛らしい楽曲なのかと思いきや、音が重なるたびにどこか不穏な空気を漂わせていく。
徐々に展開されていく不可思議ファンタジズム。歪んでいく世界に、脳が支配されていくようだ。少しずつ歯車を狂わせ、世界が崩壊していくような錯覚を覚える。
胸のうちから零れる独り言のように、小さく透明に落ちていく等身大の歌声は、素朴で無垢だ。「乳繰り合っている」など、表現がシニカルかつ幼げなところも、実に彼女らしい。
音が転調し、同じ言葉が繰り返されていくと、ゆっくりとゲシュタルト崩壊したように脳が崩れていく。この麻痺した感覚が、たまらなく癖になる。
1つの音楽の中でめくるめく思考が展開されていく。これも彼女の音楽の楽しみの1つだ。
共感を覚えることも、希望を見せることもない。ただ、身近な闇と心の溜息がさらけ出されることで、彼女の魂をひしひしと感じることができる。


●別室で繭を割った



最後にご紹介するのは、ライブでもよく歌われているという「別室で繭を割った」。

実に奇妙なタイトル。しかし、曲を聴いていると不思議とぴったりと嵌っていく。

この曲では、彼女の歌声がとても感情的に揺れ動いているように思える。終始、泣いているように震えているのだ。一呼吸置いて俯瞰的になるAメロからBメロから、悲痛な想いを訴えるサビにかけて、彼女は涙を流さずに泣き叫ぶように歌っている。
黒くて深い、けれど透明できれい。幸福と不幸が蠢く意識の海から逃げられないと、彼女はそのジレンマを歌っているように筆者は感じる。
「私がつくった魔法すべて報われる御呪い」この言葉が、やけに切なく聴こえるのだ。
不協和音を奏でるピアノとトラックが交わり、幸福の裏側を見せるように惑いを映すようだ。
転調はあるものの、大きな盛り上がりを見せない展開は、ずっと余韻が続いているかのよう。どこまでもきれいに伸びていくハイトーンに、胸が締め付けられながら、深いまどろみへどっぷりと浸かっていく。
彼女の思考回路をじっくりと巡り、その奥地にある心に触れられるような、そんな一曲である。
同サウンドクラウド内で公開されている「別室で繭を割った(abelest Remix)」も是非お勧めしたい。原曲とは印象が異なり、声が歪んでいく加工にはゾクゾクとした狂気を感じる。
彼女の歌声は闇の奥から聞こえてくるような、よりダークな雰囲気をまとっている。こちらも諭吉佳作/menならではの世界だ。ぜひこの楽曲が気に入った方はチェックしてみて欲しい。


現在はホームタウンである静岡をはじめ、東京でもライブ活動を行っているという。
ライブでは音が鳴っている空間全部を楽しんで欲しいからこそ、エンターテイメント性にも富んだライブにも今後取り組んでいきたいと本人は言う。
12月19日には、諭吉佳作/menが審査員賞を獲得した“未確認フェスティバル2018”のファイナリスト8組の代表曲を収録したコンピレーションアルバムが全国でリリースされた。969円(税抜)という驚きのプライスなので、ぜひともお手に取っていただきたいと思う。
今後彼女はアーティストとしてのみならず、興味のある写真やファッションを活かして表現者としてもさらなる活躍を見せるだろう。

若き精鋭、諭吉佳作/menが世界へ飛び立つ瞬間を、心から楽しみにしている。



【Twitter】https://twitter.com/kasaku_men



【リリース情報】

未確認フェスティバル2018
コンピレーションアルバム
12月19日発売!

応募総数3067組という激戦を勝ち抜き、2018年8月26日、新木場STUDIO COASTの舞台に立ったファイナリスト8組の代表曲を、新たにレコーディングしたコンピレーションCDが12月19日、全国発売!


価格はスペシャルプライスの969円(税抜)!




『未確認フェスティバル2018』


価格:969円(税抜)


1. ユートピア / マッシュとアネモネ


2. 平成アロハ航路 / The Shiawase


3. 恋をしようよ / 錯乱前戦


4. レモン / エルモア・スコッティーズ


5. 非常口/ 諭吉佳作/men


6. GIMME A RADIO /ステレオガール


7. マドンナ墜落事件 / TRANS LUCENT LADY


8. 最果てから / かたこと



予約はこちらから!


https://tower.jp/item/4824377




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