2018年、8月に始動したばかりのヴィジュアル系バンド・SHiSHi(シシ)。

伊吹 玲乃(Vo)、お花(Gt)、ショウジ・二・メアリー(Gt)、やまと(Ba)、神門 亮平(Dr)の5名により結成され、6月に結成を告知するとともに、8月に行われたお披露目ライブ“僕のアンチヒーローズ”にて活動開始。

ライブ当日にはバンド初の音源作品となるシングル『アンチヒーローズ』をリリースした。

その後、様々なライブイベントへの出演や、雑誌掲載など、活動開始から半年も経っていないにも関わらず、各方面から注目を集めている。

現在はライブを中心に活動を行っており、つい先日12月25日には初めてのワンマン公演“クリスマスなのにチケット代かかるんですか?うちらは2ショまで無料で撮れますけど?こんなバンドどうですか?”を開催。

初ワンマンにして、無料公演。さらには来場特典として2ショット券を配布するといった驚きのイベント内容で、さらなるリスナーを獲得した。

メンバー全員が主役級の個性的なルックスで、可愛く・かっこいい・不思議という3つの要素を全員が兼ね備えるという異色のバンド、それがSHiSHiである。

その意の通り、彼らは「アンチなヒーロー」をコンセプトに掲げ、個々の個性を惜しみなくぶつけることで起きる連鎖反応を、“SHiSHiの個性”として音楽で表現しているのだ。

1人1人が主役であること。それが彼らのモットーであり、最大の魅力である。

そんな彼らの快進撃を飾る衝撃のデビュー作品『アンチヒーローズ』を用いて、彼らならではの個性について迫りたいと思う。



●SHiSHi/アンチヒーローズ Music video



彼らのデビュー作品となった『アンチヒーローズ』。シングル名であり、表題曲となる「アンチヒーローズ」には、彼らの意思が強く込められている。

冒頭からシニカルなフレーズが炸裂し、その挑戦的な姿勢にドキドキしてしまう。

パワフルなリズム・セクションとハードなディストーショナルギターが叫ぶように鳴り響き、時には挑発するように踊りまわる。

そして伊吹のハングリーな歌声と共に「僕たちがすべてをぶっ壊してやる」という根性と強気な精神を叩き出している。

しかし、ただの押せ押せ精神でないのがSHiSHiの特徴である。

一曲の中に転調したり、あるいはサウンドやリズムを変えて、異なる雰囲気を生み出すといったストーリー性のある楽曲こそ、彼らの魅力である。

純正なハードロック・サウンドから、鉄を打つようなインダストリアル感、そしてメタリックで鋭利な音と、パンチの効いたサウンドを駆使しながら、彼らはめくるめくダークファンタジーな世界へ誘うのだ。

サウンドの変化も実に興味深いのだが、やはり注目したいのはボーカル・伊吹の歌声にある。

少年のような可愛らしさがありつつも、捻くれた強気な歌声を見せるという独特な歌声だ。

一方、2曲目「sister.」では、息を吸う声や吐息を零す声までも歌声に組み込み、先ほどの曲とはまた違ったセクシーな一面も垣間見える。

過激なフレーズとシリアスな曲調からダンサブルなメロディへと変化する過程に、彼らのエロティシズムを感じる一曲となっている。 

そして、ラストを飾る「許さない。」で、彼らの個性がさらに際立つことになる。

相変わらず皮肉満載。でもどこか切ないという、不思議な体験が待っているだろう。バンド・サウンドは先述の楽曲と変わらずアグレッシヴな印象を受けるが、空気感はまるで違う。ギターはアルペジオを挟みながら、メロディックに哀愁を奏でる。

そして、伊吹はどこか寂しげに歌うのだ。

それは“美しき孤独な世界”といったアート的表現ではなく、欲に満ちた捻くれ少年が孤独に追い込まれたと表現する方が近しい。

個性と個性のぶつかり合いは、はみ出し者になる。単調になれないから周りに馴染めず、同じ色ばかりをした群衆には皮肉と悪態をつく。それ故に、孤独を患うこととなるのだ。

これは伊吹の、メンバー自身の経験だろうか。それは定かではないが、そんなリアルな孤独を、彼らはありのままに表現しているのだ。

そして、その思いをすべて、“自分は自分でしかない”という結論へ導き、“個性”とし、音楽へ昇華させているのだ。

これこそが、他の誰にも替えられぬSHiSHiならではの魅力的な個性である。



本当の孤独を知り、くそったれな世界をぶっ壊しに表れたアンチヒーロー・SHiSHi。

個性のぶつかり合いが導く連鎖反応は、これから世界を巻き込んで広がっていくに違いない。

SHiSHiの2019年の活動も続々と発表されている。

1月中盤からはライブのオンパレードで、数日置きにお目にかかれるというまたとないチャンスとなっている。その後も、2月3月と随時ライブ日程が発表されていくそうだ。

詳細は公式ホームページまたはツイッターで確認できるとのこと。

彼らのシニカルなダークファンタジーワールドを、ぜひ間近で体験してみてほしい。


【HP】https://shishi-official.com/

【Twitter】https://twitter.com/SHiSHi_staff