2016年に始動し、クラブシーンの中で一気に存在を確立したトラックメイカー、PSYQUI(サイキ)。詳しいプロフィールは隠され、メディア露出も少なく。まさに、謎に包まれたアーティストと言える。

始動した2016年の年末にはKONAMIが主催する「BEMANI NEW FACEコンテスト」で楽曲「Still Lonesome」がkz賞を受賞し、リズムゲーム「MÚSECA」で配信開始。一気に気鋭のトラックメイカーとして注目を集める。

その後もSoundCloudを中心にハイペースに作品を公開し続け、インターネット上を中心に知名度は急上昇。2017年には楽曲「Your voice so... feat. Such」がリズムゲーム「Arcaea」で配信され、2018年にはフルアルバム「Your voice so…」をリリースするなど、確かな実績を残してきた。
その世界観はいわゆるFuture Bassを軸に、遊び心と挑戦に満ちたサウンドで、軽快な中にもフックの効いた展開を見せる。従来のクラブミュージックの枠にとらわれないアプローチによる表現は、トラックメイカーとして、アーティストとしてのPSYQUIの探求心が表れているようだ。

・Your voice so... feat. Such



PSYQUIの代表作のひとつ「Your voice so... feat. Such」。ハイテンションな出だしから緩急をつけて広がっていく曲展開は、ハイファイなサウンド、刻まれるリズム、そんな一つひとつの要素が聴き手の体を否応なしに揺らしてくる。

そんな中でも地に足の着いた魅力を見せるのが、ボーカリストSuchの歌声だ。アッパーなビートの中から耳に届くハスキーなボーカルは、ときにアダルトで艶やかな色合いを放ち、楽曲全体を引き締めてまとめ上げる。そこに流れる温度感も、注目ポイントだ。



・DJ Noriken - スターゲイザー feat. YUC'e(PSYQUI Remix)



DJ Norikenによる楽曲をPSYQUIがリミックスしたこの作品は、王道のアニソン系ポップの原曲にPSYQUIの個性が加わり、よりハイスピードなクラブミュージックに仕上がっている。

YUC'eのボーカルにフォーカスを当て、叙情的でノスタルジックなメロディの中に、スペイシーなサウンドを合わせて世界観を描く原曲。そこにはクラブミュージック的なノレる要素もしっかりありながら、「歌もの」としても聴かせてくれる。
その中のきらびやかな一面をよりピックアップし、急上昇するキラーチューンに仕上げたのがこのPSYQUI Remixだ。メロディアスなシンセがビートとして刻まれる中にYUC'eの歌声がガーリーなエッセンスを加え、全体のテンションがより高まっている。
原曲とも聴き比べながら、PSYQUIによる表現を体感してみてほしい。



・No One



2018年に公開された「No One」は、繊細さと重厚さ、大胆さを織り交ぜた一曲だ。

ミディアムバラード調に始まって、中盤から重めのビートが刻まれてがらりと表情を変える。そのリズムは徐々にタイトで軽快なものへと変わっていき、序盤のメロディアスなボーカルサウンドも合わさることで、出だしとはまた違った色味を見せる。
それぞれのサウンド素材の組み合わせ方、それによって変わる見せ方の変化にも注目だ。
ちなみにこの曲、アメリカの気鋭トラックメイカー、ポーター・ロビンソンによって海外のフェスで使用されたという過去もあるそうだ。


クラブシーンの中に大きなインパクトを投じながら誕生し、斬新で多彩なアプローチで今日までリスナーに衝撃と興奮を届けてきたPSYQUI。新世代のトラックメイカーとして、これからさらに存在感を増していくのは間違いない。
現在進行形で注目を集めつづけるPSYQUIのさらなる表現の進化に、要注目だ。

【Twitter】https://twitter.com/_psyqui_

【SoundCloud】https://soundcloud.com/psyqui