音楽だけではなく、MVのイラストもすべて自身で手掛けるなど多角的にアートを制作するシンガー/クリエイター、礒飛健太。(Isohi Kenta)

音楽においては、時にジャズの香りを感じさせるバップなピアノやタイトなリズムに乗せて、色気のある歌声を聴かせるのが魅力だ。ジャズの香りを感じる音楽というと少し難しそうに感じるところだが、礒飛健太の音楽は限りなくポップだ。王道のJ-POP的ポップ感を持ち合わせつつ、そこにアダルトな雰囲気をエッセンスとしてプラス。少し太めで、それでいてどこか抜け感のある歌声は、そんな音楽の雰囲気とすごくマッチする。

イラストやMVには、抽象的でサイケデリックなものが多い。ただ、ぐっとおどろおどろしい雰囲気を放つものもある中で、どことなくアート作品にもポップさが感じられる。そんなポップなムードと入り込みきれないような奥深さの両面を感じるのが、音楽においてもアートにおいても礒飛健太の魅力となっている。


・5Dimensions/礒飛健太-feat.KOUJI 

特にジャズの色を強く感じるムードで、跳ねるようなピアノの音色が心地よい楽曲。やはりメロディーはポップで、誰もが口ずさみたくなるような音運びの気持ちいいメロディーとなっている。
MVでは、360度MVという新しい試みを採用。YouTube上で画面をクリックし動かすことで、画面の中も動かすことが可能。たとえば上を見たり、回転させて180度反対側を見たり、360度いろいろなところを見ることができるのだ。もちろん360度MVという名に恥じず、MVの展開も360度いろいろなところで起きている。実際に触っていろいろなところを見ながら楽しめるMVだ。そんなMVだけに、毎回見るところを変えることで、聴くたびにいろいろな発見ができる。


・思考回路/礒飛健太 

楽曲のムードからはビンテージ感を覚える一曲。印象的なリフを奏でるホーンやタイトなリズム、全体を彩るジャジーなピアノがそんな雰囲気を作り上げる。その雰囲気はMVの色味によってより強固に。手書きのストップモーションアニメで作られているこの楽曲のMVは、全体がビンテージ調の茶味がかった色味になっている。
タイトル通り、歌われているのは思考回路についてだ。MVで描かれている世界観もそんな脳内や複雑な思考回路を感じさせるようなサイケ感のあるもの。複雑な思考回路に思いをはせるような楽曲でありながら、ビンテージ感のある洒落た雰囲気に仕上げているあたりに、らしい奥深さが感じられる。


・心内モンスター/礒飛健太 


ジャジーな雰囲気のあるピアノの音色やフレーズはそのままに、よりロック色を強めたナンバー。ハードな音色のギターリフが印象的で、アンダーグラウンド感のあるややダークなメロディーを鳴らす。歌のメロディーも比較的にダークで、時に感情的に強く歌い上げている。
もちろんこの楽曲のMVも自身で制作。最初に大元となるイラストがあり、曲が進むにつれてそこに非常に細かいタッチでイラストが加えられていく。最終的にはサイケ色のするペイントまで施されながら、少しずつ加えられたペイントやイラストが外される。それを繰り返すようにして進むMVは、心の中を歌う歌詞の世界観と抜群にマッチする。



独特な表現をする歌詞の世界観は、MVを通して見ることでより伝わりやすくなる。それも礒飛健太の一つの魅力といえるだろう。
もちろん楽曲の音楽的なムードだけ聞いていても浸れることは間違いないが、歌詞を聴き、MVからそれをより理解することによって、多角的なアーティストである礒飛健太という人間のクリエイションをもっと味わうことができる。アーティストとクリエイター、その両方の面で注目しないともったいない存在だ。
今後発表されるであろう新しい楽曲やMV、そしてアートは、TwitterやInstagramを中心に追いかけていこう。


【Twitter】https://twitter.com/Go9oTea?s=20


【Instagram】https://www.instagram.com/kenta_isohi/