2010年に結成されたロックバンド、アシタカラー。 

「明日を少しでも素敵な色に」というコンセプトのもと、優しく温かい歌詞を、どこか抜け感を覚える歌声で歌う。バンドサウンドにはパワーポップの系譜を感じ、メロディーは極めてポップだ。初めて彼らの音楽に触れる人であっても、一聴して良いと感じるであろう心地良さがある。
メンバーはVo.Gt.の「ヤモモトダイ」、Gt.の「奥田洋一」という二人にサポートメンバーを加えた構成。サポートメンバーも、ただのサポートという垣根を越えて制作に意見を述べたりするなど、アシタカラーの音楽に欠かせない要素となっている。

これまでに3枚のミニアルバム、6枚のシングルを発表。中でも2019年1月にリリースされたばかりの最新ミニアルバム「青い灯火」は、「1から自分たちでやってみよう」というコンセプトのもと、レコーディングも自分たちで行うなど、手作りで作成された力作。ジャケットの裏に隠しQRコードがある点も注目ポイントとなっている。




・アシタカラー – ハローハロー 




初めてのミニアルバム「バラエティに富んだアルバム」の1曲目に収録されているこの楽曲。初めてのアルバムというのはどんなミュージシャンにとっても特別だ。そんな初めてのミニアルバムの1曲目に収録されている楽曲ということもあって、彼らの代表曲の一つとなっている。
90年代後半から2000年代頭のパワーポップを思わせるような溢れるポップな煌めきを、疾走感高いサウンドで奏でる。ハローハローを一言で表すならばそんな楽曲だといえるだろう。跳ねるようなギターリフや電子音的にエフェクトがかけられたギターの音色も印象的。
サビ前、コーラスが入る部分からの盛り上がり、気持ちの良さは格別で、思わず身体を揺らしてしまうはずだ。そしてそんな風に身体を揺らしながら突入するサビでは「ハローハローハローハロー」と音の階段を上り、さらに気分を引き上げる。
2000年代のヒットソングに、SINGER SONGERの「初花凛々」という、歌のメロディー運びや全体の音作りが抜群の気持ち良さを誇る楽曲がある。その楽曲のサビで歌われているのも同じように「ハローハローハロー」という歌詞だった。アシタカラーの「ハローハロー」もそんなヒットソングに負けず劣らない気持ちの良さを持った楽曲だ。




・アシタカラー – パスタ 




3曲入りシングル「パスタ」の表題曲となっている楽曲。心の繊細な動きを表すように、全体的に抑えられているサウンドが特徴的だ。だからこそ、ジャーンとコードを鳴らした際のギターサウンドはとても心に響く。芳醇で倍音豊かにならされるギターの音は、明け方の太陽のように煌びやかだ。
「パスタ」というタイトルからは想像できないかもしれないが、歌われているのは穏やかな日常における愛。パスタを作りすぎてしまった時、ふと電話をしたくなる相手がいる。電話を掛けた先では「どうしたの」「なんでもない」「変な人ね」「知っているだろう」と、二人の良い空気感が伝わるような会話が繰り広げられる。そんな風に流れていく二人の世界を描いた歌詞の中で、どこにでもありうる日常の中にこそ美しい世界がひろがっているということを改めて気づかせてくれるのだ。
歌のメロディーは、そこまで大きな展開があるわけではなく、繊細で緩やかなメロディーが繰り返される。しかしだからといって途中で飽きてしまうような雰囲気はなく、曲展開や音の鳴らし方で最後まで引き込ませてくれるのだ。そんな曲構成もまた、楽曲全体の暖かみを高めているといえるだろう。



2020年も精力的にライブ活動を行っていくアシタカラー。実は某法律相談事務所のCMに楽曲が使用されたこともあるなど、そのメロディーセンスや音楽センスは届くところには届いている。 

退屈な日常にちょっときらめきが欲しいと思った時、彼らの音楽はきっと力を貸してくれるだろう。




【HP】https://asitacolor.wixsite.com/asitacolor


【Twitter】https://twitter.com/asita_color?s=20


【CD情報】 


青い灯火

01. 青い灯火
02. 目覚まし時計
03. クラクション
04. ケモノとみかん
05. すべて
06. べいびいず


【ライブ情報】 

2月19日(水)@下北沢LIVEHOLIC
2月25日(火)@赤坂天竺