2017年、突如としてアーティスト画像、リリース情報、MVを公開したことで話題になったバンド、INNOSENT in FORMAL。「架空のカートゥーン・バンド」であるがゆえに、その実態には謎が多い。

彼らの物語はこうだ。それは閉館前夜の古びた映画館から始まる。支配人の老人が地下室で偶然に見つけた謎のフィルム缶を再生してみると、かつて一世を風靡したサーカス小屋出身のバンドが旅をしていくアニメーション映画が投影された。夢中になってそれを見ていると、突如として映画の中から霊魂のようなものが飛び出し、瞬く間に眩い光が館内を包み込む。光に視界を奪われた老人の目が慣れてくると映写幕の前に、いるはずのない4人の怪しい男達が立っていた…。
メンバーはVo.「ぽおるすみす」、Ds.「TOY BOY」、Gt.「CANDY MAN」、Ba.「Kuni the ripper」という4名からなる。
その背景やダンサブルなサウンドから“和製Gorillaz”と呼ばれることもあるが、よりジャンルや国籍のボーダーレス感が強く、それでいてよりキャッチーだといえるだろう。つまり和製Gorillazと簡単な言葉では片づけられない新感覚なサウンドを届けるバンドだということ。そんなサウンドやMVやビジュアルのアート性のとりこになってしまう人が急増中の、超が付くほどの要注目バンドだ。




・INNOSENT in FORMAL『Junkies never enough』 




2020年3月にリリースされたデジタルシングル曲。 

歯切れのよいギターリフやシンプルかつ芯を打つダンサブルなドラムは2000年以降のガレージロックリバイバルを思わせるサウンドだが、そこに乗せられているのは現代HIPHOPにも負けず劣らずの滑らかなフロウ。特に1分以降の早口部分はロックバンドのボーカルのラップというよりは本職ラッパーのそれだ。しかしそのあとにはまるでハードロックのようなシャウトが入ってきたりする。そんな本格的なミクスチャー感が、このバンドのサウンドを新感覚に思わせる所以だろう。
さらに、サビが極めてキャッチーだというのも新感覚さに繋がっている。全く音の雰囲気は異なるが、ある種今のKing Gnuに近い感覚だといえるのではないだろうか。




・INNOSENT in FORMAL『Footloose』 




2018年4月にリリースされた1st ミニアルバム「INNOSENT 0 ~ The night late show ~」に収録されている楽曲。単音で同じ音を鳴らすというシンプルなギターリフのイントロで始まる曲で、そんなシンプルなサウンドが逆に頭に残る。その後ろでベースはメロディックなフレーズを奏で、ドラムはタイトで小気味よい。全体の統一感が抜群で、「これぞバンド!」と思わせてくれる音世界だ。 

サビの歌詞が≪Dance Dance Dance≫という始まりをすることも分かる通り、とにかくダンサブルな楽曲で、サビのメロディーがそこまで派手ではない、いうなれば洋ロックのような構造となっているのも一つの特徴。ライブ映えすること間違いなしの1曲だ。




・INNOSENT in FORMAL『Jackin' Rock Beats』 




「有名な楽曲のリフを取り入れたりしており、ライブでも盛り上がる楽曲に仕上がっている」というこの楽曲は、その言葉通り冒頭からThe White Stripes “Seven Nation Army”のリフを聴かせる。そしてそこからDEEP PURPLE、ジミ・ヘンドリックスと、ロッククラシックとでもいうべき名リフを次々にサンプリングしていく。どんな曲がサンプリングされているか、探しながら聴いてみるのも面白いのでおすすめだ。 

それだけ色々な楽曲・バンドのサウンドを取り入れているにも関わらず、きちんと自分たちのサウンド・音楽に鳴っているのが圧巻。それが彼らに「確固たる自分たちのサウンド」があるということを物語っている。



「年内には作品を予定しているので楽しみに待っていてほしいです」という彼ら。 

作品がリリースされればさらにメディアなどで取り上げられる機会は増えていき、そのサウンドのとりこになる人が増えることは間違いない。そうして2020年の音楽シーンの主役になっていったとしてもなんら不思議のない実力の持ち主だ。
今のうちから注目しておけば、後で自慢できる可能性は高いだろう。




【HP】http://innosent.net/


【Twitter】https://twitter.com/innosent_info?s=20


【Instagram】https://www.instagram.com/innosent_info/