岐阜県出身のボカロP、なきそ。 

元々エレクトーンとクラシックピアノをやっていたというなきそは、小学生時代、楽曲「チルドレンレコード」をきっかけにボカロに触れ始める。同曲を聞いてから今までボカロに抱いていた秋葉系のイメージが一転し、その独特な格好良さに惹かれて中学1年生から自分でも扱いはじめた。

そして2018年1月に楽曲「語彙力が足りない」を投稿して、ボカロPとしての本格的な活動をスタート。以降、インターネット音楽シーンを中心に活動し、美しくも激情的なサウンドで恋の儚さや厭世観を歌い続け、これまでに10曲の楽曲を投稿。

2020年3月に公開された楽曲「花めかない」は、同年8月現在までにYouTube再生回数3万回を超え、2019年4月に公開された楽曲「好きなら私と死んでください」はニコニコ動画7万回再生近くを誇るなど、その注目度は高い。

この2020年にはミニアルバムのリリースも予定されており、ますます注目度が高まることが予想される、若きボカロPだ。




・花めかない / 初音ミク 




心音のようなサウンドで始まるこの楽曲は、ピアノの流麗なラインと激しくかき鳴らすリズム隊が絡み合う、爽やかなサウンドの1曲。しかし歌われている内容は、そのサウンドとは趣が異なる。 

≪「幸せです」だとかよくも私の陰で言えたものですね≫≪嗚呼 救いが無い まるで添え物のように尽くす人生だな 嘆こうか 潤んだ目すら無い私を 終りにしよう≫≪永遠に君に焼き付いてみせようか≫と、重たく切なく、辛い結末をイメージさせるような言葉が並ぶ。

そんな儚さと美しさを兼ね備えたこの楽曲には、まるでイヤミス小説を読んだ後のような、なんとも重たい読後感が残る。それがこの楽曲の一つの個性であり、大きな魅力だろう。




・惡ふざけ / 初音ミク 




爆発的に力強く鳴るピアノとベース、そしてドラムのサウンドに一気に持っていかれる、2020年7月24日にアップロードされたばかりの楽曲「悪ふざけ」。 

この楽曲もまた、歌詞のストーリー性、そしてそこに香る重たい愛が印象的な1曲だ。≪君の「好き」に私は成れない 生まれ変わる為首を吊る≫≪「君の好きが私の好きに敵わない悲劇」とお分かりで?まだまだ生きてたいよ≫≪一生ずっと悔やんで仕舞え「最期も苦しかったんだよ、馬鹿」≫と最後にはもはや生を終えたような視点でのセリフもあるなど、やはり独特の後味は儚く渋く苦い。

そんな重たい1曲だが、歌のメロディーや全体を彩るピアノの音色は終始綺麗で、気持ちよく音が耳に入ってくる。それゆえに重たい歌詞が重たく響きすぎないというのも一つのポイントだ。



自分の世界観をしっかりと持っていて、“らしさ”のある表現ができるなきそ。詩のストーリー性が高いだけではなく、≪君の好きが私の好きに敵わない悲劇≫≪添え物のように尽くす人生≫とワードセンスも巧みで、次にどんな世界を描き、どんな言葉を並べてくるのかワクワクさせてくれる。 

まずは年内リリース予定のミニアルバムの発表を、楽しみに待っておこう。




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