Tim Vegasが主催する音楽プロジェクトサークル、発熱巫女〜ず。
曲によってゲストボーカルやゲストプレイヤーを呼びながら、東方Project界隈の楽曲をアレンジした二次創作を中心として活動。
「原曲破壊系」ともカテゴライズされる発熱巫女〜ずの大きな特徴は、大胆なアレンジ力にある。時にポップかつお洒落なサウンドに仕上げ、時に泣きたくなるほどにセンチメンタルなサウンドに昇華するそのアレンジは、「原作から受けるインスピレーションを重視しつつもやりたいことがあって、シリーズを問わずに原曲をセレクトしていく」という方法で築き上げられていく。
ライブ活動についてはほとんど行っておらず、コミケの夏・冬と博麗神社例大祭という3つのイベントに出て、そのタイミングでミニアルバムをリリースするというのが基本的なスタイル。
現在はCDのデジタル化(配信)を進めており、それに伴ってデジタル限定アルバムをリリースしたいという目論見もある。これからの活動にも期待が高まる音楽プロジェクトサークルだ。
今回は最新のベスト盤である『“Love, Smile & Blood”
Hatsunetsumiko's Vocal Collection 2016 - 2017』から3曲をピックアップし、レビューした。
・VAMPIRE KISS/ツェペシュの幼き末裔
楽曲「ツェペシュの幼き末裔」を原曲にした1曲「VAMPIRE KISS」。
ファンキーな雰囲気のロックサウンドの1曲で、全体の跳ね感やベースラインのグルーヴ感が心を持ち上げてくれる。何より特筆すべきはメロディーラインの気持ち良さ。特にサビの気持ち良さは格別で、≪DANCING THE MIDNIGHT TUNE 誰と踊る 今宵 君の唇≫と歌う前半部分はガツンとしたメロディーで引き込んでいき、後半部の≪踏み外した Heart & Blues 二度と戻れないさ≫ではJ-POP的な切なさを伴うメロディーを奏でる。そのバランスが実に心地よい。
Bメロのシンセサウンドやサビ前のクラップのような音も印象的で、細部まで作り込まれていることが感じられる、隙の無い1曲だ。
・夜間飛行/夜のデンデラ野を逝く
「夜のデンデラ野を逝く」をアレンジした「夜間飛行」。
夜間飛行は、歪みの少ないギターサウンドやピアノのコード感が気持ち良い、お洒落な雰囲気のポップソングだといえる。ジャズやボサノバにも通じるような雰囲気のサウンドを限りなくポップに鳴らし、極上のメロディーを乗せる。そうして、だれもが好きになれるようなJ-POP感があるのに、どこか大人びた雰囲気で、耳なじみがあり過ぎない1曲に仕上げている。
ワクワクするようなテンポ感で奏でられており、ノリの良さも抜群。ポップなサウンド感も相まって、聴いていると思わずテンションが上がっていくだろう。
・Crazy About U?/She's in a temper!!
「She's in a temper!!」を元にした楽曲「Crazy About U?」。
この楽曲にもやはりお洒落な雰囲気は漂うが、それ以上にシンプルなビートにより押し出される、前進力の高さが印象的。そんなビートの上に乗るベースラインの存在感も格別で、それが前進力の高いサウンドの中に抜群のグルーヴ感と聞き心地の良さを生んでいる。ノレて心地よくて自分を前に運んでくれる、夜の街をドライブしながら聴くのにピッタリなサウンド感だ。ソウルやR&Bの香りがするメロディーラインもまた、夜のドライブに適しているといえるだろう。
またこの楽曲にはSuchmosやSIRUPなどとも共鳴する雰囲気があり、同バンドのようなサウンドが好きな人にもおすすめしたい。
「リスナーから期待される限りは活動をしていきたい」と話す発熱巫女〜ず。2008年活動開始と長きにわたり活動しているサークルだが、まだまだ期待は止まない。
東方Projectというものが全くわからない人でも純粋に良いと思えるであろう音を鳴らす発熱巫女〜ずというサークルは、チェックしておいてまず損のない存在だ。
【HP】
http://hatsunetsumikos.net/
【Twitter】
https://twitter.com/hatsunetsumikos
【YouTube】
https://www.youtube.com/channel/UCSd3Wgm_SNX2x5W2cAMOnQA
“Love, Smile & Blood”
Hatsunetsumiko's Vocal Collection 2016 - 2017
【iTunes】
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