ウタとコトバを届けるバーチャルアーティスト、小宵。
2019年11月1日にYouTube上にて初めての動画をアップすると、同月3日にはclusterで初めてのライブを開催。ポエトリーリーディングから始まり、確固たる世界観を表現したそのライブで、早速多くの人を虜にした。
その歌声の大きな特徴は、行間たっぷりに、綴られている言葉以上の想いを伝える感情の深さがある点。どこまでも突き抜けていくような高音も、クールに響く中低音も、どの音域にも感情が溢れていて、情報量が多め。そんな歌声で文学的・詩的な歌詞を歌うので、楽曲を聴き終えた後には小説や詩を読んだ後、あるいは短編映画を見た後のような感覚が残る。
この2020年8月13日には待望の1stフルアルバムをリリース。その世界観が届く範囲をますます広げているバーチャルアーティストだ。
・【オリジナル曲】新釈「ローレライが呼んでる」
「1番最初にライブでやった楽曲。小説も書いており、歌と言葉の両方の良さを一番表現している」というこの楽曲はその言葉通り、まず始めに小説を書いてから歌詞を書き始めるという独特なつくりの1曲となっている。それゆえの詩の文学性は高く、まるで深海のように深い感情がそこにある。
≪沈んで 泡になる あの子がいる ゆらゆら 揺れてる 愛の歌が 僕を呼んで≫と一つ一つの表現も美しく、どこまでも澄んだ歌声も美しい。また、エッジの効いたギターサウンドや電子音が入り乱れるサウンドも輝きを放っている。
そんな感情の深さと表現の美しさがマッチした、なんとも形容しがたい魅力を放つ1曲だ。
・【オリジナル曲】さよならルルー
「MVも実写で作っており、歌と別にセリフもある。新しい試みに挑戦した1曲」だというこの楽曲は、まず冒頭、セリフから始まる。≪雪原に黒い汽車、街並みは灰色で、少年の頬は赤く、≫と、そのセリフは文学的でありながらもシーンや色彩がイメージできる視覚的な言葉で綴られる。それゆえまずそのセリフパートでぐっと楽曲の中に引き込まれるだろう。
そんな風に世界観を描いたのちに始まる歌パートも、ドラマチック。歌パートが始まると同時にベースの低音が力強く入ってくるので、そこでまた一気に引き込まれる。サビでの高音の美しさや込められた切実な感情も圧倒的。
引き込まれる要素がそこかしこにある、没入できる楽曲だ。
・【歌ってみた】売春/女王蜂【小宵×オカコウタロウ】
女王蜂の楽曲「売春」のカバー。callowのボーカル・オカコウタロウとのコラボになっており、リアルとバーチャルの融合という新しい試みの1曲だ。
小宵の切実な歌声と、オカコウタロウの深みのある低音が絶妙に絡み合い、強い感情が漂うストーリー性の高い詩世界を完璧に表現。オカコウタロウのどこかにじみ出てしまっているような感情の込め方と、小宵の溢れ出るような感情の込め方の違いも、楽曲に込められた想いを的確に表現することにつながっているといえるだろう。
そんな二人の抜群の相性によって、リアルだのバーチャルだのという枠組みはもう関係ないと思わせてもらえる。
今後については「バーチャルリアル関係なくいろんな人に聞いてもらいたい。バンドサウンドの楽曲なので、生ライブも実現したい」と話す彼女。
もしかしたらバーチャルのアーティストに抵抗があるという人もいるかもしれないが、きっと彼女はそんな人たちの抵抗心を薄くすることに力を貸してくれるだろう。
「8月13日に1stフルアルバムの発売が控えているので、まずはそれを楽しみにしてほしい」とのコメントももらっているので、その言葉通りまず1stフルアルバムに注目してみよう。
【YouTube】
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【Twitter】
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