ボカロP、ぐちり。
高校生の頃にVOCALOIDシーンへ本格的にのめり込み、2012年頃からフリーソフトを使い作曲を始める。そして2018年4月より、ニコニコ動画にて楽曲を発表。
物心つく前から聞いていた「T.M.Revolution」が音楽との出会いで、直接的な音楽のルーツといえるのは「Janne Da Arc」。ボーカロイド界隈では「Neru」や「まふまふ」だ。
2020年8月に投稿した楽曲「オルソドクシア / ぐちり feat.音街ウナ、鏡音レン」は、YouTube再生回数8万回以上、ニコニコ動画の再生回数2万回弱(どちらも2020年10月頭時点)を記録。今、その注目度がぐんぐん高まっているボカロPだ。
・オルソドクシア / ぐちり feat.音街ウナ、鏡音レン
2020年8月公開のこの楽曲は、圧倒的な疾走感と重たく響く中低音、そして荒々しい歪みを聞かせるハードな1曲。インダストリアルな雰囲気もあり、ゴシックな雰囲気もあるが、ダンサブルでもある。さらにいえばメロディーは意外にもキャッチー。そんな音楽のジャンルや垣根を取り払うような、現代的な音楽の魅力がたっぷりと詰まった楽曲だといえるだろう。
ボーカロイド特有の超高音もこの楽曲の独特な雰囲気を加速させ、他にはない唯一無二の雰囲気を生み出している。そこに、コンポーザーとして才能が感じられるだけではなく、“ボカロP”としての確かな才能が感じられる。
・アストレアの失望 / ぐちり feat.鏡音リン
駆け抜けていくロックサウンドの上に様々な音が散りばめられているこの楽曲は、2020年4月公開の楽曲「アストレアの失望」。情報量の多さと疾走感に次第に脳が支配されていき、どんどんと楽曲の独特な世界観の中に引き込まれていく。そんな非日常感のある1曲だ。
しかしやはりメロディーはキャッチーで、J-POPシーンとも共鳴する雰囲気がある。J-POPど真ん中のところではあまり耳なじみがないようなサウンド感と、慣れ親しんだ雰囲気のあるメロディーが同時に鳴らされているというところも、非日常感につながっているといえるだろう。
・救済の祈り / ぐちり feat.結月ゆかり
ハードで、ある種の美しい歪みを伴ったギターサウンドが、まるで白い壁や霧のように楽曲全体を覆うという、シューゲイザーの匂いがする1曲。穏やかなテンポ感や芯の太い音色で鳴らされるベースにもそんなシューゲイザー的な要素があり、聴いているとどんどん目の前が白い風景で覆われていくだろう。
メロディーラインにはそのタイトル通り、祈るような切実さが感じられる。それは、感情がないはずのボーカロイドの歌声が感情的に感じられるほどの切実さ。サウンド感やそんなメロディーラインからくる感傷的なムードが胸に迫る1曲だ。
まずは『ニコニコ動画、YouTubeなどで聞いていただける人を増やしたい』と話すぐちり。
また、CDなどの媒体を通して制作しているフィクションの世界観を、アニメーションなどの映像媒体で作り上げてみたり、イラストレーターに世界観を表現したイラスト集を作ってもらい、それに文章やCDをつけてみたりといったように、いろいろな手法で表現することも考えている。
その確かな世界観が今後どんな風に広がっていくのか、是非追いかけていっていただきたい。
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