東京在住のインディロックバンド、Heavenstamp。
メンバーはVo./Gt.『Sally#Cinnamon』、Gt./Cho.『Tomoya.S』という2名からなる。
バンド活動のみならず、『Superfly』『大原櫻子』『小倉唯』といった
数多のアーティストに楽曲提供・歌詞提供を行う作家としても活躍している2人組だ。
結成は2009年。2011年にメジャーデビュー。
たとえばギターロックからパンク、シューゲイザーなど、
海の向こうの匂いがする様々なサウンドの要素を織り交ぜ、
そこに国内の音楽シーンとリンクするようなポップ感を加えたような音を放つ。
その音楽は国内だけではなく国外でも評価され、
2020年12月、イギリスのレーベル『Setsuzoku Records』と契約を結んだ。
元々Heavenstampとして昨年夏にUKツアーをする予定があったがコロナ禍において中止。
音楽業界の世界がガラッと変わって、ライブも当然できなくなってしまっていた昨今。
しかし「間違ってもそれが休みの時間にならないように」という思いで、
アルバム制作・楽曲の制作や歌詞の執筆・楽器の練習・ボイストレーニング、
あるいはSally#Cinnamonが1日1本弾き語りの動画をアップするなど、
いつライブが出来るようになってもいいように、音楽的に様々なことに取り組んできた。
・Heavenstamp - Stand by You
2011年にリリースしたメジャーデビュー曲『Stand by You』。
2000年の中盤から終わりにかけて、『Bloc Party』や『The Sunshine Underground』、
『Arctic Monkeys』などの登場でぐっと盛り上がりを見せたUKのロックシーン。
そのシーンの音のムードを、この楽曲『Stand by You』からも感じる。
ダンサブルで耳に残るギターリフ。
タイトなリズムから発生するグルーヴ感。
荒々しく鳴らされる轟音。
そこに日本的なキャッチーなメロディーが乗るのだから、鬼に金棒。
そんなサウンド感で、
聴く者のテンションを間違いなく上げてくれる1曲だ。
・Heavenstamp - Around the World
2017年にリリースした2枚目のアルバム『天国印鑑を聴きなさい』に収録されている楽曲。
ダンサブルなサウンドを聴かせた先の『Stand by You』とは対照的に、
穏やかなテンポ感で、壮大なサウンド。
時にシューゲイザーのように音の渦で覆われるそのサウンド感は、
まるでヒカリに覆われているような感覚で届いてくる。
コーラスパートの壮大さも印象的だ。それは海外の雄大な自然を想起させる。
目の前にパッと開けた景色が広がり、歌詞の通り
≪震えるほど美しい景色や 飛び上がるほど美味しいお料理も
まだ見ぬものにもっともっともっと出会っていきたい≫と思わせるのだ。
Sally#Cinnamonの伸びやかかつ力強い歌声がそれに一役買っていることは言わずもがな。
・Heavenstamp - Sail to Heaven
2月26日リリースの4枚目のアルバム『Sail to Heaven』収録曲。
鼓動のように響くビート。ダンサブルに盛り上げるベースライン。
そして時にじわじわと広げるように、時にファジーな歪みと共に荒々しく奏でられるギター。
ダンサブルでもあり美しくもあるそのサウンド感は、
Heavenstampにしか鳴らせないものだといえるだろう。
≪この世は怒涛のよう 独りじゃ泳げない 船の名は"音楽" 向かうは天の方角≫
≪心が叫んでる あなたに会いたいと 夜明けを待たずに僕らは旅立つ≫
と歌うその言葉たちは今の時代とリンク。
聴く人一人一人が、音楽という船に乗ってどこまでも飛んでいく。
そんな力強さと希望を感じる1曲だ。
「目標は、海外のロックフェスで現地のファンに楽しんでもらえるようなバンドになること。
そのための準備を今しているようなかたち」だと話してくれたHeavenstamp。
Heavenstampの音楽は、海外のフェスで鳴っていてもなんの不思議もない音だ。
現地のファンがその音に揺れ、盛り上がっているところも想像に難くない。
今後、そういうシーンを実際に目にするようになる日も、
そう遠くないうちに訪れるだろう。そう思わせてくれる2人組だ。