今回紹介するアーティストの名前は「無礼メン」。なんともユーモラスな名前だが、その実力は折り紙付きだ。「オラオラポップ」を自称する彼らの音楽は、技巧的でユーモラスで、非常にポップである。
無礼メンは、高木祥太(Ba)、SEI(Vo)、サトウカツシロ(Gt)、だ~いけ(Key)、リン・ヨウホ(Sax)、田中“グルーヴ”航(Ds)で構成される6人組バンド。ヴォーカル・SEI以外のメンバーはそれぞれ、様々なアーティストのサポートミュージシャンを務める、実力派ミュージシャンだ。もともと、アンダーグラウンドシーンでセッションをしあい、切磋琢磨しあっていた仲間たちによって結成されたバンドなのだという。その経歴が示す通り、彼らのサウンドはとにかく“攻め”の姿勢が印象的。圧倒的な音圧の中、テクニカルなプレイで、聴く人を音楽の渦へと巻き込んでいくのだ。
そんな彼らの行う自主企画は、その名も「無礼トショウ」。2月9日に渋谷GUILTYで行われたVol.2では、満員のオーディエンスがお酒と音楽とを存分に楽しんだ。転換の際には対バンアーティストとのコラボレーションを行ったり、バニーガールが軽食を配ったりと、オーディエンスを楽しませるための工夫も忘れない。アルコールを片手に、音に身を委ねる贅沢な時間だ。
無礼メンの実力は、「川の流れのように」のMVを視聴すれば一目瞭然である。日本人に何十年も親しまれてきた歌謡曲も、無礼メンの手にかかればファンキーに生まれ変わる。中盤、畳み掛けるようなヴォーカルが曲をぐっと盛り上げる。グルーヴィーなドラムとベース、それに華を添えるサクソフォンの音色も心地よく、思わず身体を揺らしてしまう。
もう1曲、印象的なMVを紹介しよう。白塗りの“人権メン”が印象的な「人権Night」だ。ハッピーなのにどこか陰を持つサウンドが特徴的なこの曲は、たくさんの楽器が織りなすグルーヴに加え、韻を踏みまくった歌詞がとにかく気持ちいい。SEIの歌もまた、一つの楽器として機能しているように思う。なお、MVは最後の最後まで決してお見逃しなきよう(初めて観た時、思わず声が出てしまった)。
お洒落で技巧的なのに、どこかユーモラス。そんなギャップを抱えた彼らの音楽は、まさにエンターテイメントである。確かな演奏力に裏打ちされたパフォーマンスを目撃すればきっと、つまらない日常とは一味違った時間に出会えるはずだ。
文・小島沙耶
無礼メン
2015年1月、バンド結成。東京都内を中心にライブ活動を開始。同年11月、「無礼チャンネル」と称し、さまざまなアーティストのカバーや“オラオラポップ”な動画をツイッター上で配信する。「MASH A&R」2016年1月度マンスリーアーティストに選出。2016年5月、1st CD『デモ』をウェブ上で発売(現在は終了)。9月には1stミニアルバム『英文法徹底攻略テキストvol.1』をリリースする。
無礼メン オフィシャルホームページ