写真左から、佐山健太(Ba, Cho)、磯田和寿(Gt)、大久保竣介(Gt, Vo)、丸山高充(Dr)
2013年4月に結成したsaid。同年に初めてのデモ音源をリリースし、同年4月にはETERNAL ROCK CITY.2014 TEENAGE ROCK STARにて準グランプリを受賞し、さらには7月にベリコン BERRY MUSICIAN コンテスト2014で優勝を果たしている。一昨年12月には自身初となる全国流通盤『Blue』をリリースするなど、順調にそのキャリアを重ねてきた。
彼らのサウンドの特徴は、多彩なギターの音色。先述のミニアルバム『Blue』に収録された「cut」は、その音色を堪能するのに最適な1曲だ。温かみのあるイントロから始まり、どこか泥臭さを感じさせるリフ、歪みまくりの間奏、エモーショナルな旋律……saidの楽曲で奏でられるギターは、実に様々な表情を見せる。なかでも際立つのは、サビ直後の不思議なフレーズ。遊びのあるリズムに乗せて細かに動き回るギターの魅力は最早、説明不要。ギターロックファンなら絶対に聴くべきである。
もう一つ、彼らを表すキーワードは“瑞々しさ”だと思う。昨年12月にリリースした4thデモ『steady / youth ep.』より、「youth」を聴いてもらいたい。タイトルが示す通り、この曲には「若さ」が集約されている。軽快なイントロが始まってから歌が入るまではかなり時間があるが、それが曲への高揚感を演出する。さわやかな曲調に合う澄んだ声が歌うのは、一篇の詩のような音楽だ。癖は少ないけれど疾走感あふれるギターと、それを際立たせるリズムが耳に残る。アウトロが織りなす残り香まで、とにかく爽やかで、鮮やかで、瑞々しいのだ。
鮮烈なギターで耳を奪いつつ、それでいて爽やかな印象を残すsaid。今の彼らの音楽には若さやフレッシュさが溢れているが、おそらく今後は、メンバーの成長とともにその音も変わっていくのだろう。10〜20年先、彼らがどんな音を鳴らしているのか、楽しみでならない。said、しっかり覚えておきたいバンド名だ。
文・小島沙耶
said
地元栃木県にて、2013年結成。エモ、ポストロックを通過してのオルタナティヴを鳴らす希有でいながら新たな風をも感じさせる4ピースバンド。2015年冬、初となる全国流通ミニアルバム「Blue」をリリース。その翌年に4枚目となる会場限定EP『steady / youth ep.』を発売した。
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