「社会音痴ギターロック」という斬新なキャッチコピーを掲げ、活動するビオトープ。 彼らの音楽は社会に反旗を翻すものではなく、社会に受け入れられずに冷たく突き放されようとも、向き合う事を止めない不器用さがある。決して社会音痴だからと開き直っているわけではない。認めてほしいだと言わんばかりの愚直な姿勢に好感が持てる。


中途半端



「中途半端」は、岩瀬(Vo&Gt)の不器用な葛藤が切ない。 虚しさや、やるせなさ。これから先、どうやって生きていこうかと考えさせられる楽曲になっている。ドラムとベースが裏方に回り、ギターのサウンドに焦点が当てられ、ひとつひとつのバッキングの音にこもった孤独感や焦りがダイレクトに伝わってくる。 正解なんて無い人生。これも違う、あれも違うという周りの人の言葉に翻弄され、自身の選択にも段々と自信を失い、揺らぎ始めてしまう。そんなのは当たり前だと避けられるテーマを堂々と選ぶ所に不器用さと素直さを感じる。


売れてしまった音楽なんてもう響かない



「売れてしまった音楽なんてもう響かない」は、〈全てがどうでもいいことばっか どうにでもなってくれ〉とサビで高らかに歌い上げつつも、売れたバンドに対する複雑な思いを捨てられずにいる心情が見てとれる。答えが出ないモヤモヤはやはりこの曲でも垣間見え、ビオトープの音楽の核となる感情のひとつなんだろうと思った。 リスナーに媚びないフレーズで自分達がビオトープとして音楽を奏でる意味を探しているような気がする一曲。  




2年ぶりに出される音源は、意外にも彼ら初のシングル形式である。そのシングル「愛した世界」リリースに伴いレコ発ライブが12月に行われる。

一曲目の「愛した世界」では、自分の見方が変わっただけか、それとも身の回りの世界が本当に変わったのか。今までと違う感情を持った主人公が、静かに過去の自分の世界に別れを告げる曲だ。岩瀬の歌謡曲のような哀愁を含んだ声が曲の世界に色付けをするのにぴったりでしみじみと感じる。 いつものように日常が進んでいく中、これでいいのかと迷い始めてしまう二曲目の「モラトリアムの後始末」。考えることも、求めることも止めない姿勢は多くのリスナーに支持されるはずだ。そしてバンドとしての音の組み方、音の引き算、メリハリがしっかり意識されており、バンドとしてのグルーブ感を感じられる。


不器用で社会音痴なあなたもビオトープのライブで一緒に迷えば、そこから見えてくるものも確かにあるのではないだろうか。


【リリース情報】

『愛した世界』2017.12.09 発売予定!!


価格 ¥500(tax in)

1.愛した世界      

2.モラトリアムの後始末      

3.かむろ坂      

4.シーイズム


【ライブ情報】

2017/12/9  大塚MEETS 

18:15開場/18:30開演

前売り1,900円/当日2,200円

w/

End the casp

kawairitsu

Emit-tenpest

Airs Mick