きくおを聴き続けて19年目になる。 


愛、宇宙、夢、食人、汚物、輪廻転生、家族、自殺、鬱、天国・・・。 

「きくお」でTwitter検索をすれば、やれ「人が死んでからがスタート」だの「カラオケでドン引きされました」だの、ライブをすれば「ミサ」「邪教」などといった単語でTLがいっぱいになる。

事務所の類に所属せず、全工程を完全単独で制作。ボーカロイド界絶海の孤島、ぼっちと称してきた彼は、2016年「ニコニコ超パーティー」にて約2万5000人を前に単独ライブパフォーマンスを達成。現在ボーカロイド楽曲制作者として、高等学校用教科書『高校生の音楽1』(教育出版社)に楽譜と写真付きで楽曲が掲載されている。

さらに2020年8月には「愛して愛して愛して」がSpotifyにおいて1000万再生を突破。YouTubeチャンネル登録者数も20万人を超え、いい雰囲気になっている。


どうしてこうなった。 

彼は2010年頃まで、ポップで可愛くて盛り上がれる、みんなでワイワイ楽しめる歌とか、萌え萌えキュンキュンな電波ソングとか、東方アレンジやゲーム音楽を数多くリリースする作家だった。それより前は棒人間GIFアニメサイト「きっくのショウ・タイム!」を運営し、元気なハチャメチャ棒人間バトルアニメを作るGIFアニメ作家でもあった。初音ミクを手にしてから作風が180度変わってしまった。親や友人はどう思ったのだろう。どこで教育を間違えたんだとか嘆いているかもしれない。


2019年11月。公式では通算14枚目、それ以前の廃盤物を含めると30枚目ぐらいになるトータルプロデュースアルバム「きくおミク6」をリリース。以降は体調不良により1年近く楽曲発表を行っていないが、最近制作を再開した。 

そんなタイミングで取材が来たのだが、制作していただいた原稿に納得がいかず0から100まで全文書き換えてしまった。それがこの記事だ。ちなみにインタビュー全文書き直しをやるのは初めてのことではない。こんなことばっかりやってしまうから人と仲良く物作りができないんだと思う。


muevo様においては、3曲ほど楽曲紹介を行うのが通例となっているそうなので、やっていく。特に力を入れた3曲、とかいうわけではない。すべての楽曲に対し等しく人生をかけ、魂を削って作っている。 




『きくおミク6』アルバム全曲クロスフェード 




初見の方にまず勧める動画だ。どんな曲を作っているのか、手っ取り早く把握できるような内容となっているのでぜひ。




愛して愛して愛して




2020年8月時点で、ありがたいことに最も再生数の多い楽曲となっている。

この楽曲があるコンピレーションCDに収録された際、そのマスタリング(アルバム全体の音量や音質を整える作業)に立ち会わせていただいたのだが、当時未発表だったこの曲に対し、寡黙なエンジニアの方が「この曲は・・・」と熱心につぶやいていらっしゃったのが今でも強く印象に残っている。

アレンジの類も時々巡って、ありがたく楽しませていただいているが、個人的にはJubyPhonicさんの英語歌唱アレンジがド好みだったりする。英語版で時々口ずさんでしまう。







僕をそんな目で見ないで




この曲をアップしたその日から人生が変わってしまった。

みんな暗い曲が好きなのかな、不思議な世界だな、とそのときはただただ驚いたものだが、今にして思えば暗い曲を作るのが元来性に合っていたのであって、それをリスナーの方々が見出してくれたのかもしれない。



読んでくれて本当にありがとう。 

最後に、記事原文の結びの言葉を貼ってお別れをしたい。



「音楽をやめることは一生あり得ない」と話す彼の新しい作品に期待しながら、その活動を追いかけていこう。 




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