トクダオジー 1987年生まれ。
幼少期から女優やアイドルを目指して活動して来たが、高校3年生の時からメロディックパンクにハマり人生が一転。その後バンド活動やイベント制作などにのめりこむ生活に。
一般企業への就業を経て、2016年11月にmuevoに入社。
音楽専門クラウドファンディングサイトのディレクションを始め、メディアの編集やイベント制作など、その担当業務は多岐に渡る。実は二児の母でもある。
『本当にアーティストのためを想って行動できるスタッフが多いですね 』
━━トクダさんはmuevoで社歴が長いスタッフとなりますが、元々入社したきっかけは何だったのでしょうか?
2年前くらいに色々あっていきなり無職になってしまった期間があって、子育てと父の介護をしながら求人に応募しながら田舎で過ごしていたんですよ。その時にたまたま見つけたのがmuevoの求人でした。知らない会社だったんですけど、藁にもすがる思いでメッセージを送ってみたら、即レスで返ってきました。「ぜひ会いたいです!」って。それが今の社長でしたね。後日社長と会って、面接の最後には「いつから来れますか?」と。
━━ スピーディーですね!
私もびっくりして、「いいんですか?」と思わず聞き返しちゃいましたね(笑)。でもそのスピード感にはとても惹かれたので、思い切って入社を決めました。
━━ 実際入社してからはいかがでしたか?
実は入社当時『クラウドファンディング』って全然知らなかったんですよ(笑)。とにかく音楽の仕事をしたいという想いで見つけた仕事だったので。なので、まずは国内海外のクラウドファンディングサイトの事例研究といったインプット作業をしまくりました。
━━ 社風はどう感じますか?
かなり活気的ですね!特に最近は良い方向に向かってるように感じます。具体的には、スタッフ各々がお互いをリスペクトしているのがわかるようになってきたなと。
━━と言いますと?
他人の悪い点ではなく良い点をキャッチしてそれを自分のスキルとして落とし込むということができるようになったスタッフが多いと思います。意外とこれって簡単なようで難しいことだと思うんですよ。お互いにリスペクトし合ってないと出来ない。これは会社として大きく成長した点だと個人的に感じますね。
━━ 社内のモチベーションアップがサービス向上に繋がっている?
そうですね、そうなるのは理想的だと思っています。
あとはスタッフ全員が同年代かつ音楽活動経験者なので、スイッチが入るとポジティブな空気にはなりやすいです。集まれば自然とディスカッションが始まってヒートアップしてる、なんて光景もしょっちゅうありますね。
━━ スタッフ全員が音楽活動経験者というのはもしかして採用条件でした(笑)?
特別採用条件にしているわけではないと思いますが、自然に経験者が集まってきたと思います。会社としてもウェルカムな雰囲気です。
今いるメンバーを例に挙げると、元々muevoのクラウドファンディングの成功者だった人、メジャーデビューを果たした人、精力的にリリースやツアーなど活動を行なっている人などがいますよ。
━━ 音楽活動経験者が多いとどんな影響がありますか?
アーティスト視点を持つことができるというのは大きいと思います。自身の経験に基づく提案をしているので説得力もつきますし、単純に売上のためというだけでなく、本当にアーティストのためを想って行動できるスタッフが多いです。
━━ 続いてトクダさんの業務内容についてご紹介ください。
メインプラットフォームとなる『クラウドファンディングサイトmuevo』のディレクターとしての業務が中心になっています。先方からやりたいとご連絡いただく場合もありますし、私から提案させていただく場合もあります。以前よりも業界内でのクラウドファンディング利用が浸透してきた影響か、最近は前者のパターンも増えてきましたね。
基本的に企画の立案からリターンが終わるまで全ての過程をサポートしています。
━━ 今まで担当したキャンペーンで印象的だったものはありますか?
全てのキャンペーンに思い入れはありますが、特に印象的だったのは『空想委員会が原作&音楽を担当する短編アニメーションを作りたい!』でしたね!
金額的な理由もありますが、一番は『メンバーの熱量が大きかった』という点が印象的でした。キャンペーンの成功の一番のポイントは、『アーティストご本人がどれだけ意欲的にキャンペーンに関わるか』が鍵になってきます。
逆に準備段階でご本人のテンションが上がっていない時は、そこをクリアにしてからスタートするようにしていますね。アーティストご本人が楽しんでやっている方がファンの方も参加しやすいので、このメンタルフォローはかなり気をつけて行なっています。
━━ それはアーティストのクラスによって変えていたりしますか?
基本的にはその規模に問わず公平にフォローするようにしています。
その中で一番印象的だったのが空想委員会だったんですよ。レコード会社の担当の方と事務所の代表の方と、普通はそこまでの方々で完結する場合が多いんですが、空想委員会の場合はメンバー全員が打ち合わせの段階から参加してくださいましたね。ご本人が参加するパターンでもだいたいメンバーの代表者だけという場合も多いので、これはとてもびっくりしました。
空想委員会って私にとっては大先輩のバンド。そのクラスのアーティストご本人が打ち合わせの段階から参加してくださって、直接意見を出していただいて、募集期間中もチャットツールでグループを作って「トクダさん!次何やればいいですか?」と質問していただいたり。目標達成時はもちろんですが、皆さんが想いを込めて考えたプランがソールドした時は都度熱狂しましたね(笑)!
このキャンペーンを通して、自分がアーティストに対して何をサポートすればいいのか以前より明確になりましたし、どんなテンションのアーティストが目標達成しやすいかを学びました。
━━ トクダさんの担当されるアーティストには自主運営の方も多いですがいかがでしょうか?
自主運営だと全ての決定権が進行相手のメンバーにあるので、進行が早いです。思い立ったことはすぐ形にしやすいのがメリットだなと思います。
例えば事例を挙げるとすると、『【SILHOUETTE FROM THE SKYLIT】渋谷CLUB QUATTROツアーファイナルワンマンを無料開催&バリヤバいライヴDVD/Blue-ray制作プロジェクト』ですね。このバンドもメンバーの意気込みとキャンペーンに挑む熱量はすごかったです。
特に彼らの場合は情報解禁時は企画内容だけを解禁して、リターンは全てTwitterで公募しました。
開始前にリターンを公募したことで、ファンの皆さんに盛り上がっていただき良いバズり効果になったかと思います。事前にある程度メンバーと私の方で内容は考えはいたのですが、実際にファンの公募を見ると、全く予想外の内容が多かったのはバンドにとって新たな発見になったのではないでしょうか。
アーティストサイドで考える内容と、受け取る側が実際に欲しい内容って実は違うんだなと。彼らの場合は開始の1分前まで正式なリターンを考え抜きました。結構大変でしたが、ファンの意見を最大限に汲み取った内容に仕上がったと思います。結果、3時間で目標達成。
この時間は私もエゴサしまくりました(笑)。
━━ muevoは企画の立案からリターンフォローまでサポート体制を手厚くしてるのが魅力だと思います。
実際に多くの案件を抱えながら一件一件きめ細やかにサポートするのは大変だと思いますがいかがですか?
確かに大変ではありますけど、ここが一番丁寧にやるべきことだと思っています。クラウドファンディングってお金集めて終わりってなっちゃうともったいない。上手く使えば、そのアーティストのランクアップを図ることもできるし、ファンにとっても新しいアーティストの魅力を発見できる。
ただやって終わり、とならないように、muevoでは企画段階からかなりがっつりサポートしています。
あとは広告代理業や事務作業などこちらで出来ることは請け負うことで、その分空いた時間を音楽活動に使って欲しいという考えが強いので、サポート体制は全社をあげて手厚くしています。この考えはやはり純粋に音楽が好きでアーティストを応援したいという社風から成り立っていると思います。
━━ 実際にがっつり企画から関わっているキャンペーンの事例はありますか?
現在公開中の、ラストクエスチョンというゲームをコンセプトにしたアイドルが本当にゲームを作ることを目指すキャンペーンは、まさにがっつりサポートさせていただいています。
muevoには自社で制作する部署はないのですが、お世話になっている制作会社やメディアが多数いるので、その企画に合った制作チームを作り、予算組みからリターンの収支まで考えて実施に至っています。
ラストクエスチョンは現在アプリの制作会社と実際にゲームの制作について進行中で、ゲームに使用予定の書き下ろし音楽の作家をアサインしたり、リターンでお届けするグッズを制作して発送まで請け負ったりする予定です。
彼女たちの場合は、最初取材でお会いしたのですが、その時にゲームを作りたいという野望をお伺いしました。もちろんゲームのクオリティによって予算はかなりかかるものですが、muevoがお世話になっている制作会社にプランをいくつか出していただいて、そこから実施可能な内容でまずは進めている段階です。
今後の達成度に応じて、ゲームの仕様もアップデートしていく予定で、そこもキャンペーンに参加する楽しみの一つかと思います。
こんな感じで最初にやってみたいと思っていることをヒアリングして、企画に落とし込むという作業をいつもしています!
━━ ディレクターとして心がけていることはありますか?
何をもってキャンペーン成功というかですが、単純に、目標を達成するだけが成功ではないと思っています。掲げた目標を達成させるのはディレクターとして最低限の仕事。最終的には、キャンペーンオーナーに想定した予算を確保していただくこと、アーティストご本人が満足していただくこと、参加していただいたファンの方々に「良い企画に参加した!」と思っていただくこと。ここまでをディレクションして、初めて成功と言えるかなと思っています。
『お母さんはこんなかっこいいお仕事をしてるんだよ! と友達に自慢してくれるようなママになるのが理想』
━━ トクダさんはプライベートではママでもありますよね!
そうですね、実は2人子供がいます!2人目は昨年末muevoで産休を取得して出産したので、まだ産後半年ちょいですね。絶賛反抗期中の3歳児と、動き出した0歳児の2人なので、毎日壮絶ですよ!上の娘は親の影響か、メタルを聴きながら自分のドラムを叩いています(笑)。
━━ すごいアグレッシブですね!毎日大変だと思うのですが、仕事との両立面ではいかがでしょうか?
自分達の実家は遠く頼れないため、基本的に夫婦と保育サービスをメインに子育てしています。とても大変ですが会社全体でサポートしてもらえているので、仕事と両立はしやすい環境ですね!
今は仕事を忙しくしていて寂しい想いをさせてる時もあるかと思いますが、「お母さんはこんなかっこいいお仕事をしてるんだよ!」と友達に自慢してくれるようなママになるのが理想です。実際自分の両親が仕事大好き人間で、とても自慢できる存在だったので。
━━ では最後に改めてmuevoの魅力を教えてください。
一番の魅力は、スタッフ全員音楽が大好きで、業界を良くしたいと思っている点ですね。プラットフォーム名でもあり会社名でもある『muevo』は『music evolution』の略から作られた造語です。
音楽活動経験者だからこそ持つアーティスト視点で、スタッフ一人一人が各々担当するアーティストの課題解決や夢の実現に向けて全力でディレクションしています。 そうやって出来上がった企画や商品がファンの元に届き、そしてそれがまたアーティストに戻ってくる。
よく「muevoってクラウドファンディングの会社でしょ?」と聞かれることも多いですが、私達はクラウドファンディングを手段として捉えています。ここが目的ではない。自社のメディアやイベント、お世話になっている他社コンテンツも巻き込んで、各々のアーティストに寄り添ったプロモーションやファンサービスを行うことで、ファンとアーティスト双方に新しい音楽体験を提供していくことを一番の目的にしています。
少しでも気になった方、ぜひチェックしてみてください!
インタビュー・文 下森也実