2018年5月、人気絶頂の中解散したガールズバンドChelsyのAMIのソロプロジェクトTENDERLAMPが12月8日(土)、東京・下北沢MOSAiCで自身初の企画公演「Jingle Wiggle Wonderland」を行った。
「マチネ」「ソワレ」という名の通り昼・夜の1日2公演として行われたこの企画。役者、ドラマー、ボーカリスト…様々な方法で舞台に立ち、表現することにこだわり続けたAMIらしい名付け方だ。
午後2時半、幕が開く。「幼い頃、クリスマスが楽しみでドキドキして眠れなかったような、あの感じ」をコンセプトにしたというステージには、クリスマスツリーやオーナメント、電飾にきらめくスノードームがずらりと並ぶ。クリスマスカラーの緑と赤の衣装をまとったAMIが、おもちゃ箱のステージ中央で輝く。
ポップな1曲目「あなたいろ」から演奏スタート。2本のサックス、ベース、キーボードを従えてセンターに立つAMIは、ドラムスティックを握りながら歌う。小洒落たストリングスの音色に観客も体を揺らしつつ手拍子で応じると、曲の終盤はAMIがエレキドラムを叩いてビシッと決める。
「ようこそお越しくださいました。クリスマスの空気を、体が勝手に踊り出すような音楽とともに感じてもらえたら…」続く2曲目はイントロから「コケコッコ〜」の連発がユニークな「脳内パラレルワールド」。AMIの軽快なエレドラと、ベースと鍵盤の重低音が心地よいコントラストとなり、曲のスケールを広げる。
さらに3曲目は11月に配信リリースした「jealousy」。シリアスな音の雰囲気に、アンニュイな歌声が妙にマッチ。「二人の間をピキピキと」「グルングルン渦巻いて」といったどこかクスッとしてしまう擬態語はAMIらしさ全開。
中盤はAMIにとって“お姉ちゃん的存在”、バイオリニストの天野けいがスペシャルゲストに登場。「情熱大陸のテーマ」を披露し、みんなでぴょんぴょん跳ねながら手拍子で盛り上がると、AMIが天野けいに向けて書いたという「敬愛歌」を披露。バイオリンの流麗な高音に乗せて、愛するがゆえのもどかしさ、ふがいなさを情感たっぷりに歌い上げる。さらにもう1曲、「MoonLight」はしずしずと弾くピアノの音に伸びやかなボーカルが優しく交わる。濃紺の夜空に揺れる月灯りのように、フロアを照らす。サビを歌い上げるとバイオリオンのしっとりとした音色が重なり、ピアノは力強さを増す。上質な一曲が観客を優しく包み込む。
バンドメンバーをステージに招き入れ、後半戦。MCはサンタクロースをいつまで信じていたかという話題に。「毎年もらえていたプレゼントがいつの間にか板チョコに変わって、察した」というAMIの残念なエピソードにひと笑い起きたところで、ジャジーなアレンジが心地よい「Jingle Bell Rock」を演奏。
「ワクワクすることを楽しんでいきたい。日常のちょっとちょっとの楽しいことを欠かさずにキャッチして、街のいろんなところに楽しいものを見つけたい」と話し、自身がレギュラーMCを務めるSHOW ROOM「WEDNESDAY BURE NIGHT」の番組テーマに歌を載せた「BURE NIGHT MAGIC」をきらびやかに披露。「全て捨てたら軽くなるかしら」「ちっぽけでもきらきらしてみたい」そんな歌詞に勇気付けられ、笑顔になる観客。
「みなさんの心に今まで貯めてきた素敵だなというもの、大切にしてきた宝物を包み隠さずににさらけ出してみてください。それは、自分が思っているよりも誰かに受け入れてもらえることがあるかもしれない。きらきらしていくものかもしれない。わたしはそう思っています。」こう話して演奏し始めたのは「SNOWDOME」。大丈夫だよ、と背中を押してくれる、明るいパワーを持った曲。ドームの中を舞う小雪のように、AMIはステージ上自由気ままに踊り、笑顔で歌い上げる。
集まった観客に感謝し、「今企画ライブを打てていることは奇跡」と目を輝かせるAMI。「TENDERLAMPというアーティスト名にしたのは、もろくなっている人々、心を照らしていける存在になりたいっていう目標を立てたからです。その一番最初に心に決めたことをこれからも絶対に忘れずに活動していきたい」と思いを伝えると、最後は「ベテルギウスの涙」でお別れ。センターマイクを握り締め、まっすぐに歌声を届けた。
最後の曲が終わり、ステージ横のスクリーンにエンディング映像が映し出されると、まさかの重大発表!2019年6月1日(土)東京・渋谷WWWにて初ワンマンを行うことが発表された。正解が何だか分からない世の中を、音楽の力で優しく照らす。TENDERLAMPの航海は始まったばかりだ。
TEXT:鈴木亮介
■セットリスト
M01. あなたいろ
M02. 脳内パラレルワールド
M03. jealousy
M04. 敬愛歌
M05. MoonLight
M06. Jingle Bell Rock(カバー)
M07. BURE NIGHT MAGIC
M08. SNOWDOME
M09. ベテルギウスの涙
ゲスト:
天野けい Violin
◾️バンドメンバー:
くわっち(桑原康輔) Keyboard & Program
萩原みのり Bass
高橋 遊 Sax & Chorus
上野 ゆう Sax