ユネスコ無形文化遺産でもある絹織物「結城紬」の産地として知られる、茨城県結城市。そこで開催される唯一無二の音楽フェスが、「結いのおと」だ。
そのスタイルは各会場を回りながら気になるアーティストのライブを楽しむ、いわゆる「ライブサーキット型」となっている結いのおと。しかし、会場や雰囲気など、全ての要素がオリジナリティあふれるものに仕上がっているのがこのイベント最大の特徴だ。
その魅力を、ひとつずつ見ていこう。


●結城市の特色を活かした会場

結城市の魅力は、その中に息づく歴史や文化、結城紬といった名産品だけでなく、「街」そのものにある。そして、そんな「街」の姿を見せ、その空気を体感させる工夫が「結いのおと」には込められている。
このイベントで会場となるのは、一般的なステージではなく、寺院や古民家、酒蔵、着物問屋や料理店などの店舗だ。
それぞれの会場は独特の味わいをもってステージとしての存在感を成し、同時に日常と地続きの生活感をも感じさせる。音楽とともにその空気に触れることで、またライブサーキットイベントとして街を巡り歩くことで、参加者は結城市という街そのものが持つ魅力を、1日かけてじっくりと体感していくことになる。
街に流れるどこかゆったりとした時間と、情緒あふれる空気感。東京近郊を中心とした観客に、大都会とはまた違った街の魅力を知ってもらうのも、結いのおとが掲げる大きな目標だそうだ。





●個性豊かな出演アーティストたち

特色のある会場はもちろん、そこに出演する個性豊かなアーティストたちにも注目したい。
アコースティックの色合いが強い結いのおとでは、過去にはコトリンゴや青葉市子、関取花、七尾旅人、bonobosといった、独特の味わいを持つアーティストが多数出演してきた。
そして、最新回となる2019年もPort of Notesやビューティフルハミングバード、Akeboshi、SIRUPやmabanuaなど年代もジャンルも様々な注目アーティストの出演が発表されている。

街の雰囲気やイベントの空気に合わせたオーガニックな音楽性のアーティストを中心としつつ、メジャーな音楽シーンにも寄り添って「音楽フェス」としてもしっかりと魅力を放っているのも、結いのおとの特徴だ。





●「音楽」と「街」の融合で見せる「地域活性化」

先述したように、「結城市の魅力を知ってもらう」というのが大きな目的のひとつとなっている結いのおと。
人口5万人ほどの小さな街ながら、徳川家とも関わりのある歴史を持ち、多くの寺社や貴重な建物の並ぶ結城市だが、そんな街としての個性や魅力がなかなか活性化につながらないという課題もあったという。
それを解決する目的もあって開催されている結いのおとは、「音楽」というきっかけから、自然に結城市の雰囲気を肌で感じられるイベントに仕上がっている。

また、絹織物や酒など、古くから「ものづくり」の街としても知られる結城市。音楽フェスというクリエイティブな活動を続けることで、そういった方面からの注目を集めたいという気持ちもあるそうだ。





「音楽や大型イベントを通して地域を活性化させる」という試みは、様々な街で行われてきた。
その中でも、結城市が開催する「結いのおと」は、街の特性とライブサーキットイベントのメリットを絶妙に融合させた、画期的なものに仕上がっている。
情緒のある街並みを歩き、趣深い景色をバックにくり広げられる音楽を味わう。そんな、一風変わった音楽フェスの魅力を、是非生で体感してみてほしい。「結いのおと」の次回開催は、2019年4月20日から21日に2日間が予定されている。

【公式HP】https://www.yuinote.jp/
【Twitter】https://twitter.com/yuiproject