ザアザア　リアルで悲痛な歌詞と幅広い音楽性で中毒に陥らせる

2014年に結成されたビジュアル系ロックバンド、ザアザア。

メンバーは、ボーカルの「一葵」、ギターの「春」、ベースの「零夜」、ドラムの「亞ん」という4名構成だ。

ファンの呼称が「中毒者」ということからも分かる通り、ザアザアの楽曲には中毒性がある。リアルな痛みを感じるような悲痛さを持った歌詞を、実にポップなメロディーで歌い上げる音楽的な世界観は一度ハマると抜け出せない。メロディーこそポップであるものの、全体のバンドサウンドはヴィジュアル系バンド然としたヘビーでディープなものが多い。だが時に思い寄らぬ方向に舵を切ったような展開になる楽曲もあり、その瞬間のハッとする感覚がクセになる。

2014年の結成以降毎年シングルやアルバムをリリースするなど、リリースにも積極的。2020年春には全国ワンマンツアー「日本縦断雨降らし」も控えているなど、当然ライブ活動も精力的に行っている。

・ザアザア – ラブレター

この楽曲のテーマは風刺。アイドルにラブレターを書いたけど返事がない、でもどうしても自分のものにしたい、そんな熱狂的なアイドルファンを描いた歌詞は、バンギャ、いわゆるヴィジュアル系バンドの熱心なファンである女性の心理をついたような歌詞となっている。実際にバンギャの人は勿論、何かにドはまりしたことがある人であれば、胸に刺さるものがあるのではないだろうか。

そんな実にドープな世界観でありながら「ラララララブレター」というポップなメロディーが頭から離れなくなる。歌詞の世界観とリンクしたMVにも注目だ。

ザアザアの曲作りではまず先にイメージを置いて、そこから「せーの」で作っていくという。それが、陰とポップさの独特なバランスに繋がっている。

・ザアザア – アサガオが泣いてる

キレイなギターのアルペジオで始まる、正統派J-POPロックバンドの雰囲気をまとった一曲。ラップ調で始まるメロディーも、ザアザアの音楽的造詣の深さを感じさせる。しばらくそんな穏やかな世界が続くが、サビ前から歪んだギターの音の壁が目の前に広がる。いうなればシューゲイザーのような真っ白な音世界だ。もちろんメロディーはポップで、そのままアニメやドラマのエンディングとして採用されていても全く違和感がない。