2014年、「しーくん」名義でニコニコ動画にてボカロPとして活動をスタートしたseeeeecun。2017年には公開1ヶ月で10万再生を超えるヒット曲を生み出す。そして2019年1月、満を持してソロシンガーソングライターとしての活動をスタート。同年8月には初の自身歌唱アルバム「Bohemian Bloom」をリリースした。
また、楽曲内の音数が多いのも特徴的だろう。アレンジに関しては「やりだしたら止まらなくなるタイプ」だといい、頭の中にあるものをどう表現しようかというところで突き詰めることが出来るタイプだと語っている。それは、いろいろな音が鳴り響く彼の楽曲を聴けば自ずと理解できる。
・seeeeecun – ケモサビ
4つ打ちのリズムが全体をリードするダンサブルな楽曲。ハンドクラップの音やカッティング感のあるギターの音色なども全体を鮮やかに装飾し、パーティー感を強くする。そんな踊れるサウンドに乗ってくるのは、「力量 才能 見切ろう 最良」適度に韻を踏んでくる歌詞と、いろいろな展開を見せるメロディー。
時にラップ調になったり、ミスチルの系譜を引き継ぐ王道J-POPといえるようなメロディー運びをしたりもする。このあたりの展開力の高さは、seeeeecunの魅力の一つだろう。
・seeeeecun – 七転罵倒
ミスチル以外でいえば、UKロックからも色濃く影響を受けたというseeeeecun。この七転罵倒は、そんなUKロックの影響を感じる楽曲だ。2000年代中ごろ、アークティックモンキーズの登場とともに、UKロックがぐんと盛り上がる時期があった。この楽曲の音作りからは、Bloc PartyやThe Sunshine Undergroundなどに見られたそんな時代のUKロックのサウンドを感じる。
seeeeecunは、メロディーに対して歌詞の音数が多いアーティストだといえる。そして抜群にその音のはめ方が上手い。この七転罵倒も、そんな言葉数の多い楽曲となっている。時に日本語以外の言葉に聞こえるような箇所もあり、それもまた楽曲のUKロック感を強くしているといえるだろう。
・seeeeecun – ハンマーヘッズ
ダンサブルであるもの、決してアップテンポではなく、全体のテンションも決して高くはない。ハンマーヘッズはそんな楽曲だ。ただずっと燃えているものは感じる。テンションが高いわけではないながら、心に秘めた熱いものがあるような雰囲気がずっとしているのだ。そしてそんなテンションはサビで一気に爆発。音圧がぐっと上がり、歌のメロディーも一気にポップになる。
やはりこの楽曲でも「ダーウィン」「足りない」、「ダーリンダーリン」「まにまに」と韻を踏んでいる。こうした韻の踏み方の上手さ、そしてポップソングへのそれの当てはめ方の上手さは、ミスチルの影響が上手く作用しているところだ。
実写に興味がないわけではないが、基本的にはMVはイラストからなっている。それもまた世界観の確立に一役買っているだろう。
楽曲の持つ力や自身の持つ音楽的なセンスは確か。コンスタントに曲を生み出し続けていけば、より広くそれが知れ渡っていくことは間違いない。一つずつ夢をかなえていく可能性も、きわめて高いといえるだろう。
【HP】
https://twitter.com/seeeeecun?s=20
https://www.youtube.com/channel/UCth7Ai8KEXD8iQLDVXb4HUA
アーティスト:seeeeecun
タイトル:Bohemian Bloom
商品番号:SE1390402559
税抜定価:2,500円
発売日:2019/8/7(水)
仕様:CD1枚組 レーベル:ルサンチマン・レコード