ドイツ生まれドイツ育ちの純日本人ラッパー、Blumio。 

中学生の頃にドイツでドイツ語のラップをやり始める。アジア人ということもあり周りからからかわれることもあったが、持ち前のラップスキルにより周りに認められるようになっていった。そしてそんなスキルは広く評価され、ドイツでのアーティスト活動がスタート。以降、合計4枚のアルバムをリリースし、全国ツアーも経験した。

その後30歳を機に、もともと持っていた「日本語でラップがしたい」という思いが強くなり、2016年に活動の拠点を日本に移す。当時日本に知り合いはほとんどおらず、ドイツに全部置いてきた感覚だった。そして2018年、日本デビューミニアルバム「でも」をリリース。タイトルには、デモテープの“でも”や、「ドイツでラップしていた、“でも…”」という意味の“でも”など様々な意味の『でも』がかけられている。さらに今後も「時間をかけて自分の音楽や作品を形にしていく予定。ちゃんとデジタル配信したりしたい」という彼のさらなる発表に期待が高まっている。

元々ドイツでもピースなラッパーだったBlumio。日本では、日本語の雰囲気も相まって、より柔らかい雰囲気のラップを聞かせるようになる。そんな柔らかいラップや高いスキル、ピースフルな人柄によって、ドイツのみならず日本でも多くのヘッズたちに愛されているラッパーだ。




・EVISBEATS - Taru wo shiru feat. Blumio 




2019年12月18日にリリースされたEVISBEATSのアルバム「PEOPLE」に収録されている楽曲。 

ローファイヒップホップ的な雰囲気のあるまろやかなトラックの上で、やはり柔らかくて気持ちの良いBlumioのラップが響き渡る。Blumioのラップにはどこかセリフ調に聞こえるところがある。この楽曲でも冒頭から≪私の名前はマイコ 28歳 昔からあまり目立たない子≫≪田舎生まれ田舎育ち ずっとここ 住む場所今だ同じ≫と、セリフ調に聞こえるラップが多々詰め込まれている。もちろんそんなセリフ調のフレーズでも『マイコ/目立たない子』『田舎育ち/今だ同じ』とキレキレで韻を踏んでいる点にも注目だ。

スキルの高さやオリジナリティ、俗に言う“エモい”とはまた違うやり方で感情のこもったフローに韻の踏み方など、Blumioの魅力的な部分がたくさん感じられる1曲になっている。




・Blumio - ブライアンへ 




2020年3月28日にYouTuberのブライアンがアップロードした動画「日本のラッパーって・・・ 下手じゃね? 真似できない踏み方を見せるぉ」。それに対してアンサーをする形でBlumioがアップしたのがこの動画だ。 

敵意むき出しでラップするのではなく、まず冒頭「君のラップめっちゃかっこよかった」と認めるところから始め、≪ドイツから成田空港/乗ってきたよ錆びたUFO/寄ってきなよワシはBlumio/とっておきの歌詞書くぞー≫とキレのある韻を重ねていく。さらに韻だけではなく独特のリズミカルなフローも存分に発揮し、オリジナリティの高さも魅せる。ブライアンさながら下ネタを入れ込むあたりも面白い。

beefでありながらも単純に楽しそうにラップをしているのも印象的だ。高いスキルは勿論、改めてピースフルな人柄が感じられるこの動画を見て、Blumioという一人の人間に興味を持たないほうが難しいだろう。




・Blumio - Hey Mr. Nazi (Official Video)【和訳付き】prod. by Don Tone 




2009年にリリースされた、再生回数1700万回を超えるドイツ時代の代表曲的な楽曲「Hey Mr. Nazi」。そんな同楽曲の和訳付きバージョンがこの動画だ。 

ジャジーなトラックの上にドイツ語のクールなラップを乗せていくこの楽曲では、そのタイトルの通り、ネオナチとの対話が試みられている。「僕は君の眼にどう映っているの?教えてよ。君の考えが知りたい」と切り込み、「僕は別に臭くないよ、毎日シャワー浴びてるもん」とユーモアを交えてピースフルにメッセージを送る。

そこには≪人間は変われると信じてる、ネオナチもね≫というが思いが込められており、彼の人間性の魅力が溢れている。



今後はいずれ「ラップのミュージカルっぽいものとか、ストーリーっぽい楽曲をやりたい」と彼は言う。その裏には「日本は一般の人のラップに対する興味や知識が他の国と比べて低い気がする。だから普段ラップを聴かない人でもわかるラップがしたい。日常的なストーリーをラップにしたようなものだと受け入れてもらいやすいのではないか?」という思いがある。また、単純に「芝居がしたい」という気持ちもある。 

そもそもすでにラップの中でセリフ調のフレーズを聞かせることもある彼だけに、これからの楽曲にも期待せずにはいられない。きっとそんな期待を超えてきてくれることだろう。

そんなBlumioは、今後も長く追いかけていきたいと思わせてくれるラッパーだ。




【YouTube】 

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