ギターロックやポップスなど多彩なサウンドと耳に残るメロディ、情景が浮かぶ詞世界で魅せるボーカロイドプロデューサー、yamada。
2015年、当時高校生だった頃に動画サイトへのオリジナル曲投稿をスタートさせたyamadaは、「さよならセブンスター」や「ライカ」などギターロック色の強い楽曲から「夏色のルージュ」「おやすみシティガール」などポップス的なサウンドメイクが印象的な楽曲まで、多彩な作品を公開して注目を集めてきた。
また、最近では楽曲のアニメーションMVを自ら制作したりと、より幅広い分野でクリエイターとして活躍している。
趣味は「寝ること」。読者に対しても「めっちゃ寝ちゃうんですけど、眠いけど乗り越えて頑張ります」というコメントをもらっており、いい意味で肩の力が抜けた人柄も作品の親しみやすい雰囲気と結びついている。
YouTubeのチャンネル登録者数は8700人を突破し、総再生回数も76万回を超えるなど、インターネット音楽シーンでますます支持を広げている存在だ。
・おやすみシティガール / 初音ミク アニメMV - Good Night, City Girl
yamadaの近年の代表曲のひとつ「おやすみシティガール」は、軽快かつ繊細なアンサンブルが世界観を描き出すポップナンバーだ。
表現のルーツにあるのは「90年代渋谷系」。もともと小沢健二など渋谷系と呼ばれるアーティスト・音楽に影響を受けてきたそうで、この曲でもバンドサウンドを基調にしつつアクセントを効かせるブラスサウンドなど、アレンジが印象的に響いてくる。
ひとときの夢のようにきらびやかで甘酸っぱい歌詞のストーリー描写も見どころのひとつ。爽快感のあるサウンドと一体になって聴かせてくれる。普遍的なキャッチーさの中にも個性を併せ持った一曲として聴いてみてほしい。
・なんてね。/flower "Love Song feat.flower"
ギターロック色の強い曲調で爽快感を漂わせる「なんてね。」も、yamadaの人気作品のひとつ。
夏の風が吹き抜けるようなサウンドの中で描かれるのは、「君」を想う気持ちと鮮やかな情景。カメラを通して「君」を見る主観的な視点と、詩的な風景描写が入れ替わるように表現されることで、ドラマチックな緩急を生み出している。
清涼感のあるストーリーとアンサンブルで魅せる極上のポップロックナンバーとして必聴だ。
・各駅停車で新宿へ /初音ミク アニメMV - Local train to Shinjuku
2020年6月に公開された「各駅停車で新宿へ」は、柔らかな雰囲気で心躍る恋物語を描いたポップソング。「君」を想い焦がれて駆け出してしまうような詞世界からは、淡く愛おしいドキドキ感が溢れている。
今の表現テーマとして「優しく肯定的な音楽をやっていきたい」という気持ちがあるそうで、この曲はそんなスタンスを現状で最もよく表現できた作品だという。
可愛らしくどこか懐かしい空気の漂うアニメーションMVも合わさって、ノスタルジーで満たされた世界観を見せてくれる傑作だ。
普遍性の中にも現代的なオリジナリティを併せ持った作風で、ボカロシーンの次世代を支える存在として話題を集めてきたyamada。
多彩に表現を広げながらクリエイターとして進化し続ける彼が、今後どのような音楽世界を見せてくれるのか今から目が離せない。
2020年10月28日には新作「台風ガール」も発表され、また新しいストーリーを見せてくれている。ぜひチェックして、映像と一体になった世界観に入り込んでみてほしい。
【YouTube】
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【リリース情報】
台風ガール/あいざわ文庫(feat.Shun)