ボーカル『月島春果』、作詞作曲『サノカモメ』の二人によるポップユニット、Limonène(リモネン)。
もとは『mikanzil(みかん汁)』として活動していた月島と、kamome sanoとして活動していたサノカモメ。
別々で活動していた二人が知り合ったのは今から9年前に遡る。
それぞれが活動する中で、この二人でコラボをする機会も増えていったという。
そうして次第に二人で作った楽曲が増えていき、2019年春にアルバムを制作する企画が立ち上がった。
そこで「せっかくアルバムを出すなら、新ユニットの1stアルバムとして出そう」ということになり、Limonèneを結成。
ソロ活動におけるジャンルの幅が広く、自身の作風が定まっていないことが悩みだったというサノ。
一曲限りのコラボではなく、一人のボーカリストのための制作を持続的に行うことで音楽の方向性を絞ろう、という思惑もあったと話す。
月島については「気心が知れているし、作詞についても遠慮しなくて済むのがありがたい(笑)。良い関係性が築けていると思うし、一緒にやっていきたいと思っていましたね」と話す。
そんなサノが作り出す清涼感のあるサウンドと、月島の透明感のある歌声は相性抜群。二人が生み出す音の中毒性に侵される人も続出中だ。
・君の亡者
高い清涼感がありながらも、どこかディープな夜の匂いのする1曲『君の亡者』。
チルで溶けるようなメロディと歌声の中に多分の切なさが香り、それがなんとも言えない深い夜の匂いを嗅がせる。
メロディーはキャッチー。音の密度も十分に濃く、「いやらしさ」のあるムードはない。
しかし、その歌声や音色の中には確かな切なさがあるので、余計それが伝わってくる。
なんとも大人びた感傷に浸って、自身の夜を溶かしてしまおう。眠れない夜にベランダで、夜風を浴びながら聴きたい1曲だ。
・水難警報
ベースラインをはじめとしたハードなサウンドと、鍵盤をはじめとした軽やかなサウンド。
そんな相対する二つを最良のバランスで織り交ぜ、新感覚のサウンドを生み出している。
激しく荒々しいのにどこか居心地が良く、ずっと聞いていられるその音は、まさに中毒性抜群。
そんな独特なサウンドの中を泳いでいく、どこか投げやりなムードも感じる月島の歌声も特筆すべきポイントだ。
透明な歌声を、まるで感情を吐き出すかのような雰囲気で送り出すその様は、ただただかっこいい。
歌声にぐっと引き込まれる人も多いだろう。
・(please) replay
最初の音の響きからして、渋谷系の匂いを感じる1曲。
お洒落で軽やかなサウンド感と疾走感を漂わせながら、その界隈にも通じるような極めてキャッチーなメロディーを歌う。
それはきっと、誰の耳にも高揚感を届けてくれるだろう。
なんでもない日々を生きていると、特に大きな理由はなくとも、なんとなく気分が下がっていってしまうこともあるもの。
そうして次第に人はワクワク感を失っていく。でもそんな日々の中に、この楽曲があれば話は違うだろう。
リモネン流の渋谷系サウンドを放つこの楽曲が、きっとそんななんでもない日々の足取りを軽やかにしてくれるはずだ。
この楽曲が収録されているCD『Evergreen』の歌詞カードは文庫本を模したデザインとなっており、詩が全て縦書きで綴られていたりと、手に取ることで世界観が感じ取れる造りとなっている。
1stアルバム『Evergreen』は前述した通り過去に発表した曲を中心に収録しながら、“青春を青春の内側から見る“というコンセプトによってまとめ上げられた作品。
その後発表した2枚のEPでは、また異なる切り口で世界観を構築したという。
そして、現在制作中だという2ndアルバムは、それらEP2作品に続く完結編となる。
現在の彼女たちの目標は、そんな2ndアルバムの完成とリリースだ。
年内にはリリースを予定しており、今年6月からはコンスタントにリリックビデオに近いようなイメージのMVの配信を予定しているとのこと。
「コンスタントに曲をお届けしたい。バズを狙った曲作りをしているわけではないけれど、『いまリモネンを知らないだけで一度聴いたら気に入ってくれるような人』に曲が届くくらいになりたい。」と話す彼女たちのこれからに、要注目だ。
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