東京都を拠点に活動中のバンド、FANSY。
元メルヘンベリーの菊地拓郎と高瀬優が中心となり2018年1月に結成。
メルヘンベリー時代とは曲調が変わり、
より聴きやすくキャッチーに進化しているというのが一つの特徴。
同年7月に1st EP『今夜は月が綺麗ですね』をリリースすると、
翌2019年8月には2nd EP『生きろラブドール』を、
さらにこの2021年には3作目となる『scene』を発表している。
Vo, 菊地拓郎が日々Twitterで発信する言葉は、そのままバンドの世界観にもなっている。
誰しもが忘れがちな大切なこと、あるいはモヤを抱えながら現代を生き抜く
多くの人の心とリンクするような言葉を、繊細かつ詩的な表現で発信。
上手く言語化できない感情と共鳴するその世界観は、きっと心をほぐしてくれるだろう。
・FANSY「生きろラブドール」MV
2019年にリリースした2作目のEP『生きろラブドール』の表題曲。
お金で自身を売って生活をする主人公。
≪美しくオシャレしてメイクして隠しても この街では みんな私を笑っている≫
ように見えてしまう。そして芽生える孤独感。
それはきっと≪現世にサヨナラしたい≫という想いに繋がってしまうものだ。
この楽曲ではそんな孤独感に共鳴しながら
≪歪んだ金の亡者に惑わされたとしても 生き抜けよ 君だけの世界で≫と歌う。
切れ味の鋭いギターが突き抜けるバンドサウンドも、極めて前進力が高いもの。
その音と言葉に生き方の、そして心の持ち方のヒントをもらえる人も多いのではないだろうか。
そんなこの楽曲は「教室の隅っこにいるような子達に寄り添うような世界観」
「生きているだけで意味があるということを伝えたい」
というこのバンドの本質的なところが発揮されている1曲だといえる。
・FANSY「ゆめかぜ」MV
同じく2作目のEP『生きろラブドール』に収録されている楽曲。
先の楽曲『生きろラブドール』はマイナー調で、
サウンドの質感的にも激しめの楽曲。
それに対してこの楽曲『ゆめかぜ』は、サウンドの質感も、
メロディーラインの雰囲気も爽やかだ。
ギターサウンドの切れ味・鋭さは失われていないが、
そこにしっかりとポップさが上乗せされており、
老若男女多くの人に響くサウンドで描かれているといえる。
さらに、その鋭利かつ爽やかでポップな雰囲気の中に、
多分の切なさを孕んでいるというのがこの楽曲の特徴だ。
四季折々のいくつになっても忘れないような瞬間、
そしてそれを愛おしむ切なさを描き出す歌詞の世界観は、
聴く人一人一人の思い出に触れ、心を刺激する。
四季の変化はMVにおいても表現されているので、
是非映像も合わせて堪能していただきたい。
・FANSY「scene」MV
2021年2月リリースの3作目『scene』の表題曲。
頭の中に忘れられないシーンが、≪どうしたって悔やんでしまう≫シーンがある主人公。
それは特定の誰かに対しての強い想いからくるものだ。
≪寝れない憂鬱の夜越えて 死にたい消えたいのノイローゼ≫というほどの強い想いと、
それゆえの苦悩は、きっと多くの人が一度は経験したことがあるものだろう。
そんな詩の世界観もさることながらこの楽曲で注目すべきはバンドとしてのパワーアップだ。
アンサンブルには力強さが増し、それぞれの音の構成・掛け合いのバランスも絶妙。
音だけでも聴くものを惹きつけるといえる。
2018年のバンド結成から約3年を経て、
バンドとしてどんどん仕上がっていく彼らのこれからに、ますます期待が高まる1曲だ。
レコーディングを6月上旬に行う予定で、
次のリリースは「秋ごろに4曲入りの作品」を考えているという彼ら。
この2月にリリースしたばかりであるにも関わらず
早くも次の作品を聴くことが出来るというのは、楽しみでしかない。
また「今年に入ってからライブが出来ていないので、やりたい」とのことなので、
ライブ情報も注目して追いかけていっていただきたい。
Dr. 高瀬優: https://twitter.com/takase_marchen
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