インターネット音楽シーンからライブシーンまでを駆け巡る
スリーピースロックバンド、あらいやかしこ。
2010年3月に結成されたあらいやかしこは、
2014年にVo.Gt.梨本うい、Ba.Cho.なおた、Dr.Tarooの現メンバー編成に。
ボカロPとしても人気を集めるVo.Gt.梨本の手がけたボカロ曲を
バンドで演奏するスタイルをとりながら活動してきた。
インターネットカルチャーの祭典ニコニコ超会議に何度も出演を果たし、
イベントでAGOBOT、ヒトリエ、ポニー、RubberJohnnyらと共演するなど、
ネット音楽界から始動したバンドとしてライブシーンでも積極的に活躍。
一方で作品リリースもコンスタントに行い、2018年には初のフルアルバム「POP!?」を発表している。
2020年には結成10周年を迎え、現在は活動11年目に突入。
ボカロシーン発のバンドとしてのみならず、
邦楽ロックシーン最前線を駆けるバンドのひとつとしても大きな注目を集めている存在だ。
・あらいやかしこ「おえおえお」
あらいやかしこの代表曲のひとつで、2015年にMVが公開された「おえおえお」。
容赦なく過激な言葉で吐露される人間臭い嘆きと、爆発力のある
オルタナティブロックサウンドの融合がインパクトを感じさせるナンバーだ。
原曲はニコニコ動画でVOCALOID殿堂入り(10万再生突破)を果たしている
人気ボカロ曲で、当時から異色のボカロックソングとして注目を集めた音楽世界が、
より熱量のある生々しい仕上がりで鳴り響いている。
あらいやかしこというバンドの色を示すド直球の一曲として聴いてみてほしい。
・あらいやかしこ「エンコー少女」
アッパーに突き進む「エンコー少女」は、ライブでも定番のキラーチューンになっているという。
思春期の退廃的な衝動を叫ぶ詞世界とソリッドなバンドアンサンブル、
後ろ暗いテーマとは裏腹に思いきりキャッチーでメロディアスなサビのシンガロング。
激情をまき散らすような前のめりの疾走感からは、紛れもない生の熱量が感じられる。
シニカルで、決して素直ではなくて、なのに
不思議と感動させられる強烈なストーリーソングとして必聴だ。
・あらいやかしこ「クソみたいなJ-POP」
ガレージロック調の曲が多い梨本ういとあらいやかしこの世界観の中で、
あえてJ-POP寄りの曲調を意識して作ったという楽曲、その名も「クソみたいなJ-POP」。
皮肉に満ちた、いい意味でひねくれた歌詞のストーリーは、
自身の大学時代の実体験をもとにして書いたという。
他の曲と比べると確かにキャッチーで、
しかしその中からは隠しきれないロックの衝動がほとばしっている。
スタジオでのパフォーマンスをそのまま記録し、
人力ライト点滅や早着替え(?)など遊び心溢れる演出が込められたMVも見どころだ。
昨年は活動10周年記念の連続ライブ企画がコロナ禍の影響で中止となり、
情勢が落ち着いたらそれを必ず再開したいと考えているというあらいやかしこ。
年末にも有観客ライブの予定があるそうで、ファンには楽しみに待っていてほしいそうだ。
バンドの世界観をさらに研ぎ澄ませながら勢いを増していくあらいやかしこに、今後も注目しよう。