“男女分裂”という唯一無二の技で楽曲を歌いあげるシンガー、Rio。
そんな特徴を生かした“男女分裂”の歌唱では、いわゆる「男性的な歌唱」と「女性的な歌唱」を一人二役で届けることが出来るので、無限の表現力をもって世界観を創出する。ハイトーンのボイスの美しさに驚愕し、低音ボイスのカッコよさにハッとさせられるだろう。
そんな、他ではまず味わうことが出来ない感覚を味あわせてくれるシンガーだ。
・同一人物が男女分裂して『ディズニーメドレー』英語で歌ってみた【Rio】
「自分にできることを全て詰め込んだ」という、“男女分裂”で描く『ディズニーメドレー』。
男性パートにおいては王子様感のある包容力と頼りがいのある歌声を、女性パートにおいてはしなやかながらも力強い歌声を届けているから、聴けば聴くほどに作品の世界観の中にのめり込んでいく。Rioの中に、両極端な自分の理想があるからこその完成度を誇る作品となっているのだろう。
・同一人物が男女分裂して『新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED) / Ado』歌ってみた【Rio】
こちらも男女分裂で描く、『新時代』の歌ってみた動画。
同曲を選んだのは、「平成から令和に変わり、様々なことが移り変わっていっている世の中で、ジェンダーを含む、様々な分野において“個人”が主張しやすくなってきたのではないかと感じます。ONE PIECE FILM REDの本編でも、ウタちゃんの思想としてありましたが、全員とは言わなくとも、よりそれぞれが楽しく、自分らしく生きていける『新時代』になっていくことを切に願います」という自身の想いから。
切実な祈りとしても、力強く進んでいくという意志表示としても聴くことが出来る歌声からも、その想いは伝わってくるだろう。
「基本的に、自分は男女の歌い分けをオクターブを変えてわかりやすく行っていますが、今回は楽曲の性質もあって、サビ以外の部分を男女とも同じ高さで歌唱してみたので注目してみていただけると嬉しいです」
■映像について
男性の方は黒いジャケットに青い薔薇。こちらなのですが、なかなか運命的なものを感じまして…。というのも、自分は2019年頃に『青い薔薇』を自分のトレードマークとして取り入れ、衣装もそれをベースに組みました。それと今回のAdoさんの衣装のニュアンスが、とても近いと感じたので、そちらを着用してみました。
また『青い薔薇』の花言葉は『夢叶う』や『不可能を可能に』といったものなのですが、自分の『両性』といったスタンスがもし世の中に受け入れられることが今後あったとしたなら、青い薔薇のおかげもあったりするのかな、なんて思います(笑)」
・同一人物が男女分裂して『足りない / dustcell』歌ってみた【Rio】
「ディズニーのようなキラキラな世界も好きではあるが、一方でリアリティの強い世界を描いたような楽曲や、社会の闇を切り抜いたような、ドロドロとしたような作品も同じように大切だと感じている」というRio。
そんな作品の中で特に惹きつけられるのは、女性パートの歌声の描き方だ。男性パートの歌声でももちろんそうなのだが、女性パートの歌声に特にダークなムードを強く感じる。ディズニープリセンスの希望や明るさが見えてくるような華やかな歌声ではなく、もっともっとリアルな、現実世界のダウナーな空気感を纏うのだ。そしてそれが、キラキラした歌声とはまた異なる、色気という魅力を感じさせる。
衣装は男性パート・女性パート共に黒で統一されており、それもまた色気のある雰囲気の創出、ドロドロしたリアリティの創出に一役買っていることは間違いないだろう。美しさもカッコよさも感じられるそんな映像も、是非合わせて楽しんでいただきたい。
・同一人物が男女分裂して『Habit / SEKAI NO OWARI』歌ってみた【Rio】
2022年10月22日、自身の生まれ持った性別に対してずっと違和感を覚えていたことを世間に公表したRio。つまり、自分の性自認が『両性』であることを正式にカミングアウトしたのだ。それについては、自身からのコメントをそのまま紹介したい。
「発表から一週間ほどして、本当に沢山の方からご意見をいただき、色々と考えさせられました。自分は、男性の身体で生まれてきたことについて、病院にいったこともあるくらい凄く悩んでいた時期もあり、今でも正直なところ、葛藤は沢山ありますが、結論としては受け入れています。
ただそれでも綺麗になりたい、可愛く生きたい!そして、時にはかっこよくしたい!という気持ちがあり、それを少しでも多くの人に認めてもらう為には『自分は男の子でも女の子でもあるんです』という言い方をしないと、『かっこいい=男、かわいい=女』といった固定観念がまだまだ強い世の中では、本当に自分が望むようには生きられないと感じています。
でも、自分と同じように悩んでいる方々や『そんなことない、人は生まれた性別に捉われないで自由に生きていいんだ』と本気で思っている人が沢山いるということを知れて、自分はとても気持ちが軽くなりました。もちろん、この世界には色々な人がいるので、ここから先も、まだまだ悩みは絶えない世の中だとは思っています。
そんなRioがこの楽曲『Habit』を歌うのは、「(ジェンダーに限らず)世の中の悪いHabit(固定観念)に捉われず生きたっていい!と背中を押してくださったのがSEKAI NO OWARIさんの『Habit』でした」ということから。
また、「動画を見ていただけたら何となく察していただけるとは思うのですが、最初はRioくん(画面右側)は、見た目に準じていわゆる『男性らしい』動きを、Rioちゃん(画面左側)はいわゆる『女性らしい』動きを意識しています。しかし動画が進むにつれて、それぞれの動き(仕草)が、徐々に逆転していくような表現に挑戦してみました。
改めて「自分はXジェンダー、その中でも細かく言えば両性という個性を持つ。そのままの自分での活動をすることで、多様性の認識をしてもらえたらいいなと思っている」と話すRio。
もっともっとたくさんの人に注目されて然るべき存在の一人だろう。