北海道は小樽発のバンド、plums(プラムズ)。


メンバーはVo./Gt.吉田涼花、Gt.佐藤達基、Ba./Cho.細川葵、Dr.栗山貴聖という4人組編成。

高校の軽音楽部でバンド活動を開始。結成当初はスリーピースバンドであった。

バンド名を決める会議の際、Dr.栗山が「飲めないほどの激マズドリンクを作ろう」と思い立ち、

午後の紅茶・アセロラジュース・CCレモンを混ぜて持ってきたことから、

バンド名を『午後のアセロラレモン』と名付けた。


その後、オリジナル曲を作るようになり、「このままのバンド名では恥ずかしい」

という思いもあってバンド名を変更。

「今よりもビッグな存在になりたい」という想いを込めて、

アセロラより大きい実であるプラムから引用し、現在の『plums』となった。

以降、メンバー加入脱退を繰り返しつつも、現在は4人体制で活動中。


2021年5月には2ndミニアルバム『episode』をリリース。

“コロナ禍というどうにもならない状況下での祈り・願い”をテーマに制作にした同作は、

前作よりも音の質・厚みが増している。

レコーディングにもかなりのこだわりをもって臨み、

「音質クオリティの違いに注目してほしい」渾身の一作となっている。




・plums - ナンバー(Official Video)



2021年5月リリースの2ndミニアルバム『episode』。


おぼろげに音を重ねていき、いつしかその渦の中にすべてを飲み込んでいくバンドサウンド。

儚くも美しく抜けていくボーカル。荒々しさと美しさを両立させ描く世界観は、音だけでも心を掴まれる。


曰く「病んでいた」頃に制作された同曲は、

眠れない夜に思い出したという、こんなエピソードを元に描かれている。


「小学生の頃に帰りの待ち合わせをしていたら、仲良しの女の子が

「校庭で君のリュックが蹴られているよ」と自分に教えてくれた。

現場に向かうとぼろぼろのリュックだけが残っていて犯人が誰かも真相もよくわからなかった。

自分の大事なリュックがズタボロになって悲しかったし、親に『新しいの買ってよ』と駄々をこねたけど、

親には『買わないよ、そのリュックで明日も学校行きなさい』と言われてしまった」


その当時は確かに辛い思いをしたが、そのエピソードから彼女は

「あんなことがあったけど今は大丈夫。当時の辛さが今の糧になっている」と思え、

強くなった自分に気が付いたという。


そこから描き出されているこの楽曲に込められているのは

「今辛いことがあっても、未来の自分にとってはちっぽけなことだろうだから平気、

たいしたことない」というメッセージだ。

耳を覆う荒々しくも美しいサウンドの中から届くそんな想いが、すっと心に入り込む。


MVが、彼女たちが実際に通っていた高校、つまり『午後のアセロラレモン』が

結成された高校で撮影されているというのもポイント。



・plums - 白昼夢(Official Video)



同じく「病んでいた」頃に制作した同曲は、

「人との距離感を言葉に載せたい」というコンセプトをもって描かれている1曲だ。


「二人でいるんだけど、一人でいるような孤独感を感じる。

一人でいるけど、二人分の強さを感じられる。そんな微妙な距離感を描きたかった」

と話してくれた。


「この曲をきっかけにバンドを知ってもらったことが多い」ともいうが、

それも納得の音の厚み・パワフルさ、そして何より美しさがここにはある。

シューゲイザー直系の強烈な歪みで、まさに目の前を真っ白に覆っていく音。

そこにJ-POPからやってきたポップなエッセンスをまぶし描く。


「スタジオで初めて合わせた一発目の衝撃がすごく、一発合わせた瞬間、

今まで以上に大きな曲になる予感がした」というそのシーンも、想像に難くない。


MVはモデル・役者として活躍する細畑理奈を起用した、

曰く「バンドにとって初めてのちゃんとした公式MV」だ。



・plums―栞(Official Video)



病んでいた自分を救ってくれる存在、自分の中で正しいと思っていた枠の外から

新しい提案をしてくる人に出会い、「こんな考え方があるのか」と魅力的に感じ、

「自分もそういう人になりたい」と思ったというVo.吉田。

この楽曲に込められているのはそんな想いだ。


淡い色味で届けられる吉田の歌声に、柔らかく優しく、

そしてバンドとしての一体感を伴って届けられるサウンド、

そして美しいメロディーラインと、琴線に触れる要素は満載。

聞き入っているうちに、気が付けば胸にぐっときているだろう。


タイトルである『栞』は、「時間軸が流れる中で、私は今思うことを書いて歌っている!」

ということをタイトルにしたいと考えていた中での、

Dr.栗山の「本のしおりを今とすると、しおりを境に過去と未来に分かれているよね」

という一言をきっかけにつけられた。


2020年2月、コロナ禍直前の東京遠征時に撮影された映像・写真を繋ぎ合わせて

制作されたMVも、先の白昼夢に出演していた細畑理奈が、その時よりも

ショートヘアになって登場したり、コロナ前でのマスク無しの様子が見られたり、

メンバーそれぞれの人間味が感じられたりと、実にエモーショナルな仕上がりになっているので注目。




「ワンマンライブや全国ツアーがやりたい」というplums。

しかしコロナの影響で、思うような活動はなかなか難しいところがある。

5月にリリースした2ndミニアルバム『episode』のレコ発すらできていないのが現状だ。


ただそんな風に思うようなライブ活動ができない中でも、

「次回作の製作を進めつつあり、今後はライブができない分リリースを増やしていく」

というから、期待して待っておこう。



【ライブ情報】

FM802 MINAMI WHEEL 2021

2021.10.08(Fri).09(Sat).10(Sun)


https://minamiwheel.jp


※plumsは2021.10.09に出演予定。