中性的な空気感で日常の刹那と孤独を歌うSSW、松井文。
2021年11月、初めての7inchシングル『NOT MY DAY』をリリースする。
・松井文 − NOT MY DAY
2020年、コロナ禍になってから作ったという楽曲『NOT NY DAY』。
曰く「天気のうた」で、「今日はついていないなと思う日がつづくと、人生で一番最悪なパターンを想定して、諦めて元気になるタイプで。
ネガティブが一周回ってポジティブみたいな。ちょっとでも前向きになってもらえたら」と話す1曲。
もともとは人と会って、その出会いから経験や言葉を使い、曲にすることが多かった彼女。
しかし「コロナ禍になって人に会う機会が減り、また自分ひとりになった気がした。
その日の気分で連絡も取らなくなったり、不義理をした人たちへの言い訳のような歌でもある」と、続けてくれた。
スモーキーな質感を、明るく鳴らすその音。親しみを感じる歌詞の世界観とボーカル。
それらはまるでルーツ・ミュージックのように、生活に密接して響く。
折れかけた心に寄り添いながら、そっと前を向かせてくれる。
MVは高円寺の街並みを撮影。
「好きな景色を使った」というその映像もまた、生活に密接したものだといえるだろう。
・他人によせて ‐ 荻原永璃
2021年秋リリースのシングル『NOT MY DAY』収録曲。
こちらも同じく、コロナ禍に作った楽曲だ。
そんな同曲に対して彼女は、「自分のことでもあり、他人のことを歌った曲でもある。
第三者的に自分をみることで、自分自身が他人のような感覚をおぼえる。
今までは個人的なのことをうたった歌が多かったが、これは第三者に向けて」と解説してくれた。
「もともとフォークがすごく好きだけれど、やっと自分の曲でフォークソングと呼べるものができたと思う」
と話す1曲で、まさに身近な街から自然と耳に入ってくるような、何とも懐かしさを感じるフォークサウンドで描かれている。
さらに彼女のボーカルや言葉選びが、そのムードをさらに強くさせる。
そして、音楽を、言葉を、すっと心に届けてくれるのだ。
きっとこの音楽に、実家のような居心地の良さを感じる人は多いのではないだろうか。
またこの楽曲では、「曲をテーマに演劇のシナリオを作ってもらい、20分くらいの作品を制作。
河原で上演してお客さんにも観てもらった」という。こちらはそんな演劇バージョンだ。
・他人(MV Ver)
先の『他人』は演劇バージョンで、こちらはMVバージョン。
演劇に行くお客さんの目線で描かれていて、
「演劇やライブに行く前と行った後の、心情の変化みたいなものを表している」と話してくれた。
色褪せない音楽の系譜を引き継ぎ、さらに現代の空気感も纏う彼女の音楽もまた、色褪せないものだといえる。
それはきっと、長く付き合っていける音楽。
是非、長くチェックしていっていただきたい音楽家の一人だ。
2021年12月12日(日)
【リリース情報】
2021年11月27日リリース(配信は10月27日より)