VOCALOIDを使用した楽曲を中心に制作するコンポーザー、BCNO。


2016年3月にボカロPとしての活動を本格的に開始。
作編曲・作詞・MIX・Masteringなど、楽曲制作の全てを自身で行うというのが一つの特徴。
音楽制作に関する知識や技術は全て独学で習得している。
代表曲はYouTubeでの再生回数が65万回(2022年10月時点)を超える『UnderStand』、同じく35万回(同時点)を超える『背景を断つ』など。


誰しもが心の中に抱く虚しさや哀しさを赤裸々に綴った内省的な歌詞や、楽曲の作風の幅の広さが徐々に評価され、2021年にはYouTubeチャンネル登録者が1万人を突破。


また、他アーティストへの楽曲提供や編曲なども精力的に行っており、ソロアーティスト『yama』の1st Album『the meaning of life』への提供楽曲である『ランニングアウト』はYouTube再生回数 205万回を突破している。


編曲を担当した『ロス』の楽曲『自主~はい 私がやりました~』においてはYouTube再生回数1500万回近くを記録しているように、その音楽性はボーカロイド界隈のみならず、広いところで高い評価を受ける。


現在進行形で注目度を高めている音楽家の一人だ。




・MV「UnderStand」BCNO feat.flower



「ざっくりと言うならば“音楽家と音楽の関係”を描いている」という楽曲『UnderStand』。コンピレーションアルバム『Schéma -共鳴-』収録曲だ。


きっと多くの音楽家が、歌詞を書いたり曲を作ったりするときには、感じたことを言葉や音にするというプロセスを踏むだろう。

「だけどもこの感じたことを音や言葉に変えるというプロセスにおいて、100%きちんと感じたことを変換できているとは限らない。隠すこともあるだろうし、逆に誇張することもある。しかし、当然受け手は作られた作品を作者の100%として受け取る。このギャップはどうすることもできないが、事実として存在する」とBCNOは話す。


この楽曲でいう“音楽家と音楽の関係”とは、そんなギャップへの葛藤。

サビに用いられている≪表現は一歩遅れている≫というフレーズが、この曲を物語っているといえるだろう。


そんな葛藤を描きながらも、跳ね感と疾走感のあるサウンドは実に高揚感を煽る。

サビに入るまでのスピード感も、それに一役買っていることは間違いないだろう。

聴いていて、気分が上がるサウンド感なのが面白い。


「実はこの曲を作ったときにはスランプだった」というBCNO。


「コンピレーションアルバムへの参加楽曲ということもあり締切も決まっている中で、最後の方は半場ヤケクソのように実験的なチャレンジを詰め込んでいる。そんな楽曲が自身の動画の中では現状一番伸びている。創作の難しさを感じる楽曲でもあり、その分思い入れも強い」とも話してくれている。



・MV「背景を断つ」BCNO feat.初音ミク



ボカロPサークル『放蕩レコーズ』のコンピレーションアルバム『放蕩コンピ vol.3「密月」』収録曲『背景を断つ』。

こちらは前述の『UnderStand』と比べると比較的余裕を持って作れたとのこと。

2022年11月12日に5th Album『Kith and Kin』を発売予定のBCNO。
同作は、自身の血縁をテーマに作られている。
この楽曲は、そのアルバムに「絶対に外せない楽曲」だという。

やはり跳ね感のある鋭利なサウンドと、心地よい疾走感が突き刺さる同曲。

そんなサウンド感の中で、「1番では親から巣立つ子供(自分)」を、「2番は巣立つ子供を持つ親」を描く。


≪愛され方を知らなかった 愛し方も同様だった≫と歌うように、明るいだけではないその世界観は、BCNO自身のバックボーンに寄るところがあると話す。そんな世界観が、研ぎ澄まされたサウンド感によってさらにインパクトを増し、より抉ってくるのだ。

映像を手掛けたのはWOOMA氏。


「実は、歌詞に関しての簡単な注釈のみを渡して全ての世界観やカットをお任せした。その結果、バックボーンにあるストーリーとは違うメッセージ性のある映像になった。しかしそれは自分にとってはむしろ嬉しいことで、自身もそういった多様な解釈ができる創作が好き。そのため、この映像もそのままでOK」と、現在も公開されている。


ぜひ映像と歌詞を見ながら、ストーリー・メッセージに関しても考えてみていただきたい1曲だ。


・MV「逆説と浮遊」BCNO feat.初音ミク



5th Album『Kith and Kin』収録曲『逆説と浮遊』。


BCNOの制作においては、ほとんどが自身にまつわる内容で作られており、フィクションが入ることはほとんどない。


そんな中でも≪そうだ 屹度 解っていたんだ 僕には何も出来ないって事 篤と苦悩する 人生街道 才能は墓場で 不可逆的な演戯≫と歌うこの曲は、特にその特徴が顕著に現れており、当時の自身の内情がストレートに表現されている。


ただ内面を描くだけではなく、それを音楽的にノれるリズムに乗せられ、韻の要素やパンチラインとしての面白さも込められているというのも同曲のポイントだろう。


「音的にもアコギやピアノの音などで比較的クリアな構成をされており、そこが普段の自身の創作では珍しいポイントだったりする。また、ギターソロは友人の『きっと、ずっと、ぼっち。』さんに依頼し、とてもいいものが入れられた。総じて、自身の楽曲の中でも完成度が高く、お気に入りの楽曲」になっているという作品だ。



紹介楽曲3曲も収録された5枚目のアルバム『Kith and Kin』は、11月12日にリリース予定。


「これまでの4枚のアルバムは完全自主制作だったが、今作に関してはアートワークなどはプロへ依頼し、今までのクオリティを大きく超えるような、自身のターニングポイントとするための制作を行った。そのためこのアルバムは、有る種の決意表明のようなもの」だとコメントをくれた。


さらに「今後も、この5thアルバムでの宣言に恥じないような制作を行っていきたい」と話してくれているので、同作はもちろんのこと、これから先のBCNOにも、期待しておいていただきたい。



【リリース情報】


2022/11/12 Release

5th Album「Kith and Kin」
¥2,500 (税別; without tax)

MYSP – 0005

https://www.kith-and-kin.info/


トレーラー動画

https://youtu.be/S3MwWnvMwFI