福岡を拠点に活動中のYuki Kondoによるベッドルーム・ソロ・プロジェクト、Happypills (ハッピーピルズ)。

海外インディー・ポップや宅録SSW、2000年代邦楽ロックなどに影響を受けたローファイ・サウンドが特徴。

2020年には1stアルバム『Milk Floe』が、USインディー・レーベルのCitrus Cityよりカセットテープでリイシュー。

2月9日リリースのカセットテープ『Porthole』に収録されている楽曲『Half Asleep』。

完全に宅録で制作された作品。ちなみに、「宅録を始めたきっかけはGalileo GalileiのPortalというアルバムで、現在はLogic Proを使って楽曲制作している」とのことだ。

「簡単なコード進行をギターで弾いて、ドラムやシンセを打ち込む。その後にメロディーを考えて、同じタイミングでジャケットなどのアート周りもイメージして、自身で制作。ドリームポップ感のある音作りや、写真の色使い・風景にもこだわっている」という通り、トータルで世界観が構築されているのも一つの特徴だろう。

「海外のアーティストが一人で楽曲を作って、BandcampやSNSサイトにアップしていて。音質もあまりよくないし、どこにサビがあるんだろうみたいな曲が多いけれど、そういうローファイで粗々しい、でも心地よい音楽に魅力を感じた」と話す彼。

同曲はそんなローファイな音楽と、自身が好んでいたBUMP OF CHICKENなどの2000年代の邦ロックの間のサウンドを目指して制作。そしてそれは、見事に体現されているといえるだろう。

冬の朝のぼんやりした感じを想起させる気だるげなローファイ感に、意外なほどにキャッチーなメロディーライン。それがどこか懐かしく、心地よく、ぐっとくるのだ。たとえばSUPERCARなどが好きな人には、ど真ん中に刺さるはずだ。

同じく2月9日リリースのカセットテープ作品『Porthole』収録楽曲、『ライトニング』。

≪さあ始まった 夢の続きからスタートだ ぼくらは≫という歌い出しで始まるこの楽曲からは、期待と不安の両方が感じられる。何をするにしても、いつだって期待も不安もあるもの。それでも人は、何かを追い求めて手を伸ばすのだ。

それは最後に綴られている、≪僕らはずっと稲妻に怯え それでも光に触れる あたりはきっと追い風になって どこまでも行けるのさ≫という言葉からも伝わってくる。きっと、同じように期待と不安をかかえて進む誰かに寄り添い、光の方へ手を引いてくれるだろう。

シューゲイザー的なバンドサウンドを求めて作られた、厚みのあるドリーミンなサウンド感もポイントだ。厚みのある歪みの中を駆け抜けていくから、より光を求めて進むワクワク感が高まって感じられる。

1stアルバム『Milk Floe』収録曲『Floe』。

「アートワークのような夕暮れの空をイメージしながら制作。静かな港町があって、ふたりで船を漕いでそこまで行く。そういうイメージで作り上げた」と話す１曲だ。

どことなく寂しい感じを受けるサウンド感。≪ずっとこのままいれたら良いよねって 思わず泣いてしまいそう≫と歌う歌詞からもそれは感じられて、聞いていると胸の奥がぎゅっとなってくる。コード進行的にはメジャーで簡単なものだが、その中にちょっと不思議なメロディーライン、予想を裏切るメロディーラインが入ってくるのも面白い。

そのサウンドは冬にもぴったりで、きっと虜になってしまう人もたくさんいるはず。

同作のリリースに伴い、Happypillsがますます注目度を高める可能性は高いだろう。

そんな彼に今後の展望を尋ねてみると、「ゆくゆくはバンドで生ライブをしたい！」との回答をくれた。

【リリース情報】

Happypills『Porthole』カセットテープ 2/9(水)発売

限定盤、クリア・ブルー・シェル仕様、ダウンロード・コード付属。