テクノアーティスト、Yuji Miura/Mug。
近年は、「自分らしい曲って何だろう」ということを考えつつ、思うが侭に作曲し続けている。また、すっかりテクノ人間が板についてきて、生楽器以外ではすでにサードパーティ音源すら起動せず、ひたすらアナログシンセで音を作り続ける。
「最近はポップスにも手を出し、いよいよもってなんの人かわからなくなってきたのはきっと気のせい」とは本人談。
・SEVEN’s CODE「掌の虚無/Mug」
リズミックノベルアクションゲームSEVEN’s CODEへの提供楽曲『掌の虚無(たなごころのきょむ)』。
テーマとなっているのは、“真っ白で果てしなく広がる空間”。
幻想的であり、長短を問わないような響き、広がる天空を感じられるような響きをイメージしてサウンドを創り上げるという、端的にいえば抽象的なイメージが元となった作品だ。
しかし彼は、「幻想的なアプローチとなるとリズムなどの輪郭を曖昧にしたくなるところだが、あくまで音ゲーなので、そこは逃げずにリズム感を残した上で、空間的な音作りで表現。もともとシンセサイザーで音弄りをするのは好きだったので、アブスラクトな表現にもタフに取り組めた」と、真摯に向き合うアプローチで、見事にそのイメージを具現化。
その空間の中に飲み込まれ、ずっとそこに居たくなるようなサウンドを聴かせてくれている。
・SEVEN’s CODE「眼前の空想と遥か遠き現実/Mug」
同じくSEVEN’s CODEへの提供曲『眼前の空想と遥か遠き現実』。
「静を感じられるサウンド感をベースに、悲壮感や切迫感を感じるような攻撃的な音を融合したようなイメージ」という提案があったという。
アンビエントにも通ずるようなサウンド感でありながら、確かにそこには近未来的な荒廃したディストピアを想起させるようなトゲトゲしさも聴かれる。
これぞ音楽家、と言いたくなるような作品だ。
「オーディオエンジニアとしての顔も持つため、そちらの活動も精力的に行っている」という彼。
音楽表現に長ける彼の音楽は、きっとこの先も長く付き合っていくことが出来るものだ。