長野県出身のマリンバ奏者、松澤美希。


武蔵野音楽大学附属高等学校を経て、武蔵野音楽大学ヴィルトゥオーソ学科卒業。
同大学大学院ヴィルトゥオーソコースマリンバ専攻修了。
第16回イタリア国際打楽器コンクールマリンバC部門において第3位、第22回日本クラシック音楽コンクール第3位(1位なし)他、受賞歴多数。


5年前より大学の一つ下の後輩とマリンバデュオ『Dew』を結成し活動。

しかし2021年より相方が海外のプロオーケストラに就職し、これまでと同じようなリアルでの活動が難しくなってしまった。


現在リモートでできるコンテンツをメインに活動を行っている。

また、その頃からソロでの活動を積極的に再開し、2022年7月に自身初のマリンバソロリサイタルも開催。


想像以上のたくさんの方が来場し、この演奏会を経て、ソロでの活動をやっていきたい!という思いが強くなっていった。

そんなマリンバソロやデュオ、アンサンブルでの演奏活動の傍ら、学校公演やレッスン業など後進の指導も行っている。

打楽器アンサンブル『東京Percussive Pedia』メンバー。
日本最大のマリンバメーカー(株)こおろぎ社『ネオリア neoria』契約アーティスト。




・Marimbeats! by Mayumi Sekizawa



2022年7月15日に開催したソロリサイタルより、楽曲『Marimbeats!』の演奏模様。

同曲はマリンバを始めた頃の師匠・関澤真由美さんが書いたオリジナル楽曲。


「関澤さんが作る楽曲がとても好き。この楽曲は関澤さんがNYに留学していた頃に作曲した楽曲。『アメリカは多種多様な音楽が流れてくる街』と関澤さんが話す通り、和音の動きはクラシックの進行ながら、この3~4分の楽曲の中にはジャジーな要素から、ロックな要素、ポップな要素など様々な要素がちりばめられている。マリンバを知らない方でも、ノリノリで楽しめる楽曲になっている。いろんな層の人たちが楽しめると思います」とコメントをくれた1曲だ。


その言葉通り、楽曲の中に様々な音楽の要素が感じられて、もっと言えば国や人種・性別など様々なものを超えたミクスチャー感を覚える。


もちろん演奏技術も素晴らしい。「マリンバの演奏って視覚的にもアグレッシブなところが強くて、クラシック自体なかなか聴いたことがないという人でも、実際にライブで見てみたら、意外と入りやすいかもと感じるのではないか」と自身でも感じているように、パワフルかつノリの良いサウンドを聴かせているので、聴いて、そして見て楽しめるパフォーマンスになっている。

「マリンバの魅力は“音色”。音色ひとつとっても響きのあるサウンドも作れるし、コロコロした粒のような軽やかで楽しいサウンドも作れる。いろんな音が表現できる」という通り、この演奏からはマリンバという楽器の音色自体の魅力にも惹きつけられるのではないだろうか。

ちなみに彼女は4歳からピアノをやっていて、小学校6年生からボイスレッスンをやっていた。その後14歳でマリンバを始める。

そして「いろんな楽器に触れた中でも、自分はマリンバが一番好き」と感じ、今でもずっと続けている。


このソロリサイタルのコンセプトは「マリンバをやってきた14~15年のなかでは辛い時もあったし、楽しい時もあった。そんなすべてを引っくるめた15年間を、自分で振り返られるようなプログラム」というものだった。


今までの集大成となるようなこのリサイタルを経験し、「これで終わりではなく、今後もソロリサイタルをもっとやっていきたいと思った」と言うから期待は高まる一方だ。



・チャイコフスキー【くるみ割り人形】より『行進曲』『ロシアの踊り』



マリンバデュオ『Dew』のYouTubeチャンネルより、『くるみ割り人形』から『行進曲』『ロシアの踊り』の演奏。

YouTubeを始めたきっかけは2020年にコロナ禍になり、何か新しいことを始めようとしたことから。


同年5月にデュオでのセカンドリサイタルを予定していたが、中止が決定し、何か他に新しいことができないかと考えているなかで、リモートでの演奏動画投稿などが増えてきた。それをヒントに自身たちでも、お互いに家にいながら動画を作れたらいいね!という話になり、YouTubeでの投稿を始めたそうだ。

「YouTubeを通して、自分たちを知って欲しいという思いが一番強い。マリンバについて全然知らなかったけど、チャンネルを通してマリンバという楽器を知りましたという方も多い!」と、自分たちの認知度の上昇に加えて、マリンバという楽器の魅力の発信にも繋がっている。「デュオでの活動では、クラシックだけではなくポップスなど、いろんなジャンルを楽しむことを目指している」とのことなので、老若男女を問わず、入りやすいだろう。

本作を収録したのは12月。
「12月は演奏会でも、くるみ割り人形が演奏されることが多く、自分たちも季節的に合わせてやってみた」という。そしてこの動画は30万回再生を越えるバズを記録。実際12月の華やかさ、でもどこか厳かな雰囲気もある賑わいやファンタジー感が見える演奏で、季節の気分を盛り上げてくれる。


・Ado【うっせぇわ】難易度MAXのマリンバアレンジで弾いてみた



全6パートを全て松澤自身によるマリンバで演奏されている『Ado/うっせぇわ』のマリンバアレンジカバー。


「一度に一人で6パートもやることは、YouTubeのような動画じゃないとできないことで、初の試みだった。サムネイルや衣装など、音楽的じゃないこと以外にもこだわった」という言葉通り、6パートを演奏するだけでも大変なのに、衣装や髪形、さらには動画の見せ方などにも変化をつけて届けている。


マリンバという柔らかい音色のイメージがある楽器で、『うっせぇわ』というパンチ力・攻撃力に溢れる楽曲を演奏することで、楽器のさらなる魅力を引き出しているという点にも注目だ。


もちろん、難易度の高い演奏を難なく弾きこなす演奏スキルの高さもポイント。

「この動画もとても反響が多かった」というのも納得の、ハイクオリティな1本だ。



先述のように、7月の初ソロリサイタルを経て、「ソロでの活動をやっていきたい!という思いが強くなった」という彼女。


「レッスン業もマリンバに携わることができる仕事として楽しくやっているけれど、やっぱり人前で演奏することが自分は好きで楽しい!と再確認できた。なので今後は積極的かつ能動的に、演奏の機会を作っていきたい。まずは、定期的にソロリサイタルを開催することが目標」と続ける。


さらに「次のソロリサイタルでは、『自分で作った曲を演奏する』こともやってみたい!マリンバは映像で見て聴いている音と、生で感じる音とで、イメージがとても違う。実際に演奏会に来てくれた方も『想像はしていたけど、生で聴く印象が全然違った!』という方が多い。マリンバは音色がとっても魅力なので、生で聴いてもらえる機会をどんどん作っていきたい」とも。


是非機会を作って、直接その音を浴びにいってみていただきたい。

きっと新しい世界を、体験できることだろう。



【ライブ情報】


12/3 「Marimba Duo Christmas Live」@ Bar Grand Master 日本橋

18:00 start