1991年結成のプログレッシヴ・ロック・バンド、金属恵比須。2023年で結成32周年。


横溝正史など日本の文学作品や映画に影響を受け、おどろおどろしさや和の薫り漂う世界観を、プログレやハードロックのサウンドと融合させた楽曲が特徴。定評ある演奏力を武器に、五木ひろし、頭脳警察、聖飢魔II創始者ダミアン浜田陛下といったレジェンド達と、振り幅の広い共演を果たし、俳優の髙嶋政宏氏など著名人のファンも多い。


2015年から元・人間椅子の後藤マスヒロがドラムで在籍。2022年には特撮音楽の巨匠・渡辺宙明氏作曲指導による楽曲や、50周年を迎えた人造人間キカイダー役・伴大介氏とのコラボ作を発表。


2022年12月、代表作『ハリガネムシ』『武田家滅亡』に続き、SFをテーマとした4年ぶりフルアルバム『虚無回廊』をリリース。帯コメントは樋口真嗣監督(『シン・ウルトラマン』監督)。オリコンに初ランクインを果たすなど、話題作となった。



・金属恵比須『星空に消えた少年』MV Kinzoku-Yebis



「往年の特撮ヒーロー番組のオープニングを意識した」という作品『星空に消えた少年』。


作曲指導:渡辺宙明、背景:島倉二千六、背景撮影:ににたかし、という特撮界のレジェンド達の協力をもとに楽曲とMVを制作。MVの監督は『映画 えんとつ町のプペル』アニメーション監督や『ベルセルク 黄金時代篇 MEMORIAL EDITION』の監督を務めた佐野雄太が担当。ちなみに、佐野監督はメンバーの高木・稲益の高校の同級生とのことだ。


そんな同曲は、自身らのコメント通り、“古き良き”とでもいうような特撮番組のオープニング感が満載。どこかニューウェーブ辺りともリンクするようなサウンド感に、歌謡曲の香りが強くするメロディーライン。そして画質を落とすような絶妙なMV編集もあって、思わず実際に昔あった番組の楽曲なのではないかと勘違いしてしまいそうなほどに、特撮感を覚える1曲に仕上がっている。


特撮好きはもちろんのこと、そうでない方も、聴いていてなぜかテンションが上がるという人は多いのではないだろうか。



・金属恵比須『魔少女A』MV Kinzoku-Yebis / Mashoujyo A



「小説家・小松左京の遺作『虚無回廊』に登場するアンドロイド的存在“アンジェラ・インゲボルグ(AE)”をモチーフとし、当時、金属恵比須メンバー全員が参加していた聖飢魔II創始者・ダミアン浜田陛下のバンドDamian Hamada’s Creatures(2023年2月をもって金属恵比須メンバーの同バンドへの参加は終了)に影響を受け制作された」と補足をくれた楽曲『魔少女A』。


MVには、話題のプログレッシヴアイドル・XOXO EXTREME(通称・キスエク)の浅水るり(現在は脱退)が出演し、アンドロイド的な無機質な雰囲気を好演し話題となった。


メロディーラインにはやはり歌謡曲のような雰囲気があるが、奏でられているサウンドはプログレッシヴとハードロックを掛け合わせたような異質なバンドサウンド。そんな良い意味での違和感や、メロディーラインと楽器のフレーズがリンクするパートなどもあるという抜群のキャッチーさに耳が奪われる。


幅広い人におすすめできる1曲だ。


・金属恵比須『罪つくりなひと』MV Kinzoku-Yebis / Sinful



4thフルアルバム『武田家滅亡』収録曲『罪つくりなひと』。ボーカル稲益がムチを携えながら、ドラム後藤を追跡し浜辺で追い詰めるという衝撃の内容のMV(監督:竹本 大河 / 撮影:平井 涼)も必見の1作だ。


このMVの設定(稲益が後藤をムチでしばく)はその後、金属恵比須メンバーが参加していたDamian Hamada’s CreaturesのMVにまで波及した。なお、「このMV撮影に使用したムチは、熱烈なプログレ好きで知られ、金属恵比須とも共演歴のある“スターレス髙嶋”こと俳優・髙嶋政宏氏の私物をお借りしたもの」とのこと。


もちろんこの作品は、MVが強烈なインパクトを与えるだけの作品ではない。根強いファンも多い、昭和サイケデリックロックのような雰囲気のサウンド感とメロディーラインに、モダンな重たさをプラスしたような、独特の音楽性もインパクト抜群なのだ。


途中ラテン風味のギターが入ってくるなど、細かいところまでしっかりと丁寧に作り込まれているというのもポイント。是非細かいところまで注目して見聴きしていただきたい。




オリジナリティに溢れる音楽を奏でる金属恵比須。
多くの人を惹きつけるキャッチーさや懐かしさがありながら、新しさも感じさせてくれる希有なバンドだといえる。
そんなバンドが鳴らし続ける音楽は、30周年を超えたこれからも長く楽しめる音楽であることは間違いない。
是非この先も、チェックしていっていただきたいバンドの一つだ。


【リリース情報】



『虚無回廊』 / 金属恵比須(Kinzoku-Yebis)

2022年12月7日発売
品番:RWKY-0011 / Ryouki-World Records
価格:2,700円(税抜)+税
<収録曲>
1.虚無回廊 オープニングテーマ
2.魔少女A
3.誘蛾灯
4.人工実存
5.虚無回廊 エンディングテーマ
6.星空に消えた少年
7.「ゴジラvsキングギドラ」メインタイトル
8.う・ら・め・し・や
9.巡礼


【ライブ・イベント情報】


■2023年5月27日(土)

金属恵比須主催 プログレッシヴ・フォーラム
『小松左京とSF、そしてロック音楽』
(トークイベント)
会場:新宿ROCK CAFE LOFT is your room
開場:12:30 / 開演:13:00
予約:3,000円・当日:3,500円(+1order ¥500以上)
出演(進行):金属恵比須
ゲスト(パネリスト):乙部順子(元・小松左京マネージャー)、難波弘之(ミュージシャン/SF作家/東京音楽大学教授)
チケット予約:ROCK CAFE LOFT is your room WEB

https://www.loft-prj.co.jp/schedule/rockcafe/246352


■2023年10月8日(日)
金属恵比須ワンマンライブ
会場:大阪・中津Vi-code
詳細:決定次第発表

■2023年11月25日(土)
ROUNDABOUT 10th Anniversary Live Candytree Garden Vol.3
会場:横浜ランドマークホール
開場:15:30 / 開演:16:00
前売:6,500円・当日:7,000円(+1drink ¥600)
出演:玲里with難波弘之/金属恵比須/ACB(K)~あらんちゃんバンド(仮)/
KADATH/Akiko’s Cosmo Space
チケット発売:居酒屋ROUNDABOUT店頭(TEL:045-680-0630)

イープラス(https://eplus.jp/sf/detail/3848060001-P0030001