黒杜えれんは、YouTubeを中心に活躍中のVTuberである。JVCケンウッドの『バーチャル部』に所属するバーチャル新入社員として、2020年6月にVTuberデビュー。苗字の黒は黒物家電と高級感を、杜は自然・木を表している。


歌、電子工作へ挑戦する動画、ゲーム配信、雑談、語学勉強配信、先輩バーチャル社員である波澄りおとのコラボ配信などなど、幅広い分野で活動中。中でも歌に関する活動には特に力を入れており、オリジナルソングや歌ってみたカバー動画、歌枠などを中心にパワフルさと繊細さを兼ね備えた歌声を響かせている。

電子工作ビギナーの黒杜が様々な制作に挑戦していく「はじめての電子工作」もかなり印象的。パーツや工作部分を優しく丁寧に解説しているのは勿論、Arduinoを用いたプログラミングの基礎まで学べてしまう内容となっている。「入門者向け」を求めてたどり着いた視聴者目線に立ったとても分かりやすい動画となっているので、電子工作に興味のある方は是非黒杜と一緒にチャレンジしてみて欲しい。

JVCケンウッドプロデュースのバーチャル社員としてバーチャル・リアルや国境の垣根を超えて幅広く情報を発信している黒杜えれん。こう聞くと堅い取っ付きづらいイメージを抱く方も中にはいらっしゃるかもしれない。しかし実際はそんな雰囲気は微塵もなく、むしろ真逆と言っても差し支えない明るく親しみやすいキャラクターを持っている。リスナーのコメントや質問などにも楽しく丁寧に答えていくことが多く、雑談枠も大好評。年齢性別初見常連問わず、誰もが楽しめるチャンネルの空気感となっている。

リスナーに対しても真摯な姿勢を見せる彼女だが、歌に対する真摯さも負けずに素晴らしい。シンガーとしての実力と強いこだわりを持って作品制作に挑んでいるその姿は、今後「VSinger」としても大きく羽ばたいていく未来を容易く想像させてくれる。



1: 　Beginner／黒杜えれん【オリジナル曲】



黒杜えれんのファーストオリジナルソング。「自分の歌声が自分のオリソンで音源化されるのがずっと夢だった」という黒杜。彼女にとってもファンにとっても待望の作品となった。キラキラとしたシンセストリングスと力強いホーンセクションが印象的で、燦々と輝く太陽に照らされているかのようなポップサウンドが、リスナーを明るい前向きな気持にさせてくれる。


１番のサビで大きな盛り上がりを見せた直後に「朝」を感じさせる静寂が訪れ、そこから徐々に音が積み上がり道ができていくかのような展開は非常に聴きごたえたっぷりである。

タイトルの通り「ビギナー」として失敗を恐れずに目標に向かって挑戦していくことを歌った内容となっており、新人社員である彼女の初オリソンに相応しいフレッシュでエモーショナルな歌詞となっている。


「普段は自分の癖を出していくような歌い方をすることが多いんですが、この曲に関しては初心にかえってシンプルにストレートに歌いました」と黒杜自身が語る通り、伸びやかで推進力を感じるストレートな歌声が非常に心地よい。


2: 　『地球最後の告白を』 kemu ／ 黒杜えれん Cover【#歌ってみた 】



ボカロPとしても著名なkemuが手掛け、YouTubeだけで900万以上の再生回数を誇る大人気曲をカバーした動画。ハイテンポかつハイトーンで非常に高い疾走感と上昇感をもつ本曲の旋律の上を、黒杜の美しい歌声が羽ばたきながら力強く駆け上がって行くかのような作品に仕上がっている。


頭声が混じる高音域部分では、非常に繊細で透明度の高い美し響きを聴かせてくれている。かといってか細い感じにはならず、芯のある力強い響きを持たせることができるのは黒杜ならでは。本曲のイメージに見事なまでにマッチしている。


また、要所で聴くことができるしゃくりや艶のある声色が強いアクセントとなっており、常にスリリングで１曲を通して全く飽きが来ない。彼女の持つ表現の豊かさやアプローチの幅広さが垣間見える。


全体を通して勢いのあるパートが多い中、ピアノソロ後に訪れる静かでメロウな展開は大きな聴きどころ。


3: 　一緒に！電子工作／黒杜えれん【オリジナル曲】



「電子工作」をテーマとしたオリジナルソング。黒杜えれんが定期的に発表している動画シリーズ「はじめての電子工作」のテーマソングとも言える作品。


キックドラムを中核に据えたキャッチーでノリやすい高速デジタルサウンドは、どこかアニメソングを思わせる雰囲気を持っている。本曲MVを見ていても「これから黒杜えれんのアニメが始まるのかな？」とワクワクしてしまう。いつか彼女がアニメ化されることにも期待したい。


かなりハイテンポな４つ打ちサウンドで、他の歌動画とは違った黒杜の一面を垣間見ることができるのも特徴。特にAメロにおけるポップでリズミカルなアプローチは必聴。電子工作の楽しさを、素晴らしさ歌いながら「一緒に作ってみようよ！」と語りかける姿は、アーティストであると同時に「電子工作のお姉さん」であることを強く感じさせてくれる。


他のアーティストには真似ができない黒杜えれんならでは、唯一無二の作品である。




最後に、黒杜えれんに今後の活動について語ってもらった。


「他のVTuber様、VSinger様とお歌でコラボがしたいと思ってます！これはできる限り早く実現したいですね〜。歌枠リレーもやってみたいし、カバーもたくさんしたい。お歌には引き続き力を入れていきたいです！将来的には、リスナーの方と直接顔を合わせてのリアルライブを開催したいです！！そしていつか、Zeppツアーをするのが夢！！！それとですね……人見知りでなかなかVTuberのお友達ができないので、お友達になってくださるVTuberの方も募集したいです(笑)」

楽しそうに今後の目標と夢を語ってくれた黒杜えれん。彼女の多彩さと歌唱力、そして活動への真摯な姿勢を持ってすればZeppツアーの夢が叶う日もいずれやって来るだろう。果たしてそれまでにVTuber友達を作ることができるのか……！？


その点も含め、今後の彼女の活躍にも注目していきたい。


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