
renaは2005年生まれの若きウクレレプレイヤーである。
全国各地のイベントライブやYouTube演奏動画やメディア出演などを通し、世界中にウクレレの魅力を伝える活動を行っている。
8歳よりウクレレを始め、ウクレレ世界チャンピオンのJazzoomCafe氏に師事。
2015年、国内で開催されたウクレレパフォーマンスコンテストにてMVPを受賞。
翌年2016年、ハワイ・オアフ島で開催された第5回インターナショナルウクレレコンテスト13歳以下ソロの部で優勝し、ウクレレジュニア世界チャンピオンとなった。
2022年に日本コロムビアレコードよりメジャーデビューし、配信シングル『rena-Jazz ukulele selection』シリーズをリリースしている。
ウクレレは自身モデルのオリジナルウクレレ・セイレンをはじめ、フェンダー、エル・ルシアなどを使い分け、最新の愛機はハワイアンコア材のテナーサイズ。
サイドホールが特徴的で、ボディの真ん中にはメジャーデビュー曲のモチーフともなったバラのインレイが刻まれている。
指板に自身のサインが入っているもの印象的。
アンダーサドルもピエゾピックアップとコンデンサーマイクが両方搭載されており、ステージでの演奏にもしっかり対応できる仕様となっている。
「家にたまたまあったウクレレが凄く可愛くて気になってたのですが、ある日父が演奏しているのを聴いて凄く楽しくて『私も弾いてみたい!』ってなったんです」と笑顔でウクレレとの出会いを話してくれたrena。
最初は入門書を見ながらコードで弾ける簡単な童謡などを演奏して遊んでおり、一般的ウクレレのイメージに近い弾き方をしていたそうだ。
しかし超絶技工奏者として名高いJazzoomCafe氏の影響を受け、renaにしか表現できない新しいウクレレの世界を築き上げることとなった。
彼女の演奏の特徴として誰もが着目するであろう点は、何と言ってもその演奏力の高さ。
従来のハワイアンウクレレ的なテクニックはもちろん、ポップスやアニメソングに見られるようなアップテンポでキレの良いストレートなストラミング、HR/HMやフュージョン/プログレを彷彿とさせるようなフィンガーテクニックや高速パッセージ、ジャズ的なスウィングを感じさせるインプロビゼーション溢れるアプローチなど、ジャンルを問わず様々な楽曲やスタイルを表現できる技術的土台を持っている。
技術だけではなく、楽曲を深く理解し体現できるのもrenaの素晴らしさだ。
その曲が持つ世界やメッセージを感覚的に捉え、4本の弦を通しエモーショナルに伝えることができるのである。
野外ステージや一般の通行人が多く通るステージで彼女が音を奏で始めると、彼女のことを初めて見たであろう人々が老若男女問わず足を止め、その演奏に聴き惚れる。
それは彼女の表現する”感情”や、彼女自身が演奏を、楽曲を楽しむ気持ちが最大限に伝わっているからこそ”つい足を止めて聴き惚れる”方々が続出するのではないか。
その感情表現を実現させる確かな技術、ウクレレ知識が無い方にも凄さが伝わる超絶技巧、可憐で華のあるヴィジュアル、神々しさと可愛らしさどちらも兼ね備えた佇まい、凛としながらも柔らかさのある空気感。
見る者聴く者を問わない……それはウクレレ玄人も、ウクレレに偏見や固定観念を持っている方も、ウクレレという楽器を見たことも聴いたこともないであろう小さな子供も……誰もを惹きつけてしまう多くの要素が、renaとそのウクレレには溢れている。
「ウクレレって可愛らしくてとっても温かいのほほんとした音が出せる楽器で、それが良さだと思います。でも実はそれだけじゃなくて、もっと様々な色の音を出せるし、色んな世界を描ける表現豊かな楽器でもあるんです。だからウクレレが持つ可能性をもっともっと探していって皆さんにお伝えし、私の演奏を通してその楽しさを伝えられたら良いなって思ってます!」と語る彼女。
“ウクレレらしい曲”に留まらずロックやジャズ、EDM的なアニソンまで幅広い楽曲を演奏する姿からもその目指すところがうかがえる
従来のウクレレ像と違うスタイルを目指してか、かつてはジャーマンメイプル材でやや硬質な音を響かせるウクレレをメインに演奏することが多かった。
様々な表現を得るため、マルチエフェクターを繋いだエフェクティブな音を多用していたこともあったそうだ。
しかし最近では「ウクレレならではの響きと4弦の中に描ける世界」を重要視し、最小構成のエフェクト類で演奏に挑むことが多い。
形にとらわれず新しい可能性を開拓し続けるrenaらしい変化であり、今後も彼女の描く世界に合わせてその姿は変わっていくだろう。
rena自身の成長や変化とともに機材や環境がどう移り変わっていくかにも注目していきたい。
1. ウクレレ超絶曲『Cutting Edge』(オリジナル) 弾いてみた / I played my original "Cutting Edge" ⎹ by rena
renaオリジナのウクレレインスト楽曲。日本のお茶の間で親しまれてきたウクレレのイメージを覆す、迫力満点の高速ストラムが印象的な疾走感溢れるナンバー。
タイトルの通りエッジの効いたサウンド&起伏のある展開となっており、ロックやフュージョンを彷彿とさせる進行・スケールも用いられている。全編を通してrenaのグルーヴを堪能できる作品となっており爽快感が高い。
ダークで伴奏も抑えめな導入から右肩上がりで盛り上がり、そこから一気に突き抜けるようなパートへとチェンジする展開では「首都高のトンネルを駆け抜けるようなイメージで弾いた」とのこと。中盤からはそれまでの疾走感と一変しファンタージを感じる”聴かせる展開”に移行する。
この非常にテクニカルなソロパートは必聴。それまでの展開とはまた違った切り口でrenaの表現力の高さをうかがい知ることができる。その中でも、HR/HMで見られるような超絶タッピングによる速弾きは圧巻の一言。ウクレレやアコースティックな楽器が好きな方だけではなく、ギターインストが好きな方などにも自信を持ってオススメしたい。
ウクレレという楽器の無限の可能性を体感できる作品であり、renaの代表作と言える名曲名演だ。
なお、MVでは全編通してrenaの演奏姿を見ることができる。黒いセットに黒を基調とした衣装で、ダークなブルー系のインナーカラーを入れた彼女がとても印象的でこちらも必見。
2. 夏の終わりを感じる『真夏の果実』ソロウクレレ / I played "Manatsu no Kajitsu" on the ukulele ⎹ by rena
国民的ロックバンドとして日本音楽界に長く君臨するサザンオールスターズの大人気曲をウクレレカバーした作品。バッキングオケなどを使用しておらず、ウクレレ一本でその世界を表現している。
島国で海のイメージが強いハワイの楽器であるウクレレだが、サザンオールスターズも海の町である神奈川県は茅ヶ崎出身のバンド。そのためか驚くほど楽曲と楽器の親和性が高い。ただし同じ海でもかなりカラーが違い、熱帯の陽気な太陽を感じさせるハワイアンに対し本作品は夕暮れの少し淋しげで切ない、それでいて静かに温かい太陽のようだ。
ゆったりしたゆりかごのようなグルーブ、適度に溜めの効いた演奏、過不足のないアレンジセンスがこの楽曲の持つ世界を見事に彩っている。
なお本作品MVは原曲と同じ茅ヶ崎の海岸で撮影したそうだ。前述の「Cutting Edge」とは真逆で青い空と海をバックに白いワンピースを着用して演奏するrena。夕日を浴びながらメロディを奏でる彼女の姿は美しく神秘的で、彼女自身が芸術作品のようだ。
そんな綺麗なMVであるが「撮影当日荒天で風は強いしウクレレのホールに砂が入るもの凄く大変で必死でした(笑)」とのこと……意外な裏話である。
原曲へのリスペクトを強く感じさせ。一本のショートムービーを見る感覚で楽しめる本作。サザンオールスターズのファンの方やストーリー立っている楽曲が好きな方にもぜひチェックしていただきたい。
3. 音楽専門メディアサイト『muevo voice』特別コラボ動画『ウクレレを始めてみたい方へ』 by rena
今回のインタビューに向けて制作された撮り下ろし動画で、これからウクレレを始めてみたい方に向けたrenaからのメッセージが収録されている。
ウクレレの魅力や基本部分の紹介、自身がウクレレを始めた頃の話やルーツ、その後の体験談など興味深い内容が15分の間にぎっしり詰まっている。「演奏や技術については良くわからないがウクレレの興味がある」といった方も安心してご覧いただけ、「自分も頑張るぞ!」という気持ちになれる内容だ。
また、未経験の方、初心者の方に向けたメッセージではあるものの、経験者の方やrenaファンの方も十分楽しめるインタビューである。renaの人としての温かさや魅力が伝わってくる動画となっており、前述2つの演奏動画とは違った角度からrenaを知ることができるだろう。
今回は3つの動画を紹介させていただいたが、さらにrenaを知りたい方は以下の動画などもオススメしたい。もちろんこれ以外にも魅力的な作品目白押しなので、気になった方はぜひ片っ端からチェックしてみて欲しい。
・「SPAIN」:チック・コリアの名曲をウクレレカバーした作品。renaの基礎技術力の高さ、技術幅の広さ、氷業力の高さを体感できる
・「ウクレレプレイヤーの本番前のルーティン!」:ライブなど本番前の彼女のルーティーンを知ることができる貴重な動画。
最後に、renaに今後の活動について語ってもらった。
「引き続きウクレレの色々な可能性や魅力を伝えられるような活動をしていきたいと思っています。今以上に色んな方に見ていただくために、私自身も新しいことにたくさんチャレンジしていきたいです。例えば弾き語りにチャレンジしてみたりだとか。実はアニメが大好きで『アイドル』や『紅蓮華』好きな作品のテーマソングをカバーさせていただいたり、アニメを語るのが大好きだったりするので、それを活かしたこともやってみたいですね。世界中のアニメ好きな人が私の演奏をキッカケにウクレレに興味を持ってくださったり、逆にウクレレが好きな方がアニメを好きになってくれたりしたら理想的です!」
「将来的には大きな会場でウクレレライブをできたら良いなって思ってます。夢はドームツアー!!憧れのアーティストの方々とも共演させていただけるよう頑張りたいです。特にギタリストのMIYAVIさんが大好きなんです!演奏の素晴らしさはもちろん、ギター一本で世界に出て認められてる生き様が本当にかっこいい!私もいつかウクレレ一本で世界中の人々を楽しませられるように頑張ります!」
キラキラとした瞳で楽しそうに将来の豊富を語ってくれたrena。インタビューにおいても言葉の端々から礼儀正しさ、人柄の良さ、謙虚さを感じさせてくれた。全国の演奏イベントや楽器店でのイベント、ラジオなどに引っ張りだこな彼女だが、アーティストとしての凄さ、タレント性の高さだけでなく人間性も素晴らしいのだからそれも頷ける。
そういった人としての魅力や安心感がステージや演奏にも出ているからこそイベンターは何度でも彼女を呼びたくなり、観客はまた彼女の演奏を見に来たくなるのであろう。練習では身につけることのできない彼女の大きな才能の一つと言えるだろう。renaの演奏を初めて見た人たちがウクレレの潜在的魅力を感じ、ウクレレを始めた人が多い点も印象的だ。
アーティストとしても人としても魅力的で謙虚で努力を惜しまない彼女であれば、ドームツアーや著名アーティストとの共演という目標も夢では終わらないだろう。そしてやがて彼女が憧れられる側となり、彼女との共演を目標にメロディーを奏で始めるアーティストたちの姿が目に浮かぶ。飛躍し続けるrenaの活動から今後も目が離せそうにない。
▼告知情報
■Hibiya Festival 2025出演決定!
日時:2025年4月27日(日) ①14:30~15:00 ②16:00~16:30
会場:日比谷OKUROJI
https://www.hibiya.tokyo-midtown.com/hibiya-festival/
■Sound Messe in OSAKA 2025、MIKI GAKKI Import & Tradingブースにてデモ演奏
日時:2025年5月10日(土) 11:30〜、5月11日(日) 10:30〜
会場:大阪・南港ATCホール 三木楽器ブース
https://sound-messe.com
■Kamakura FM「MUSIC FACTORY」放送6周年記念ライブ スターラウンジに出演
日時:2025年6月6日(金) 18:00開場
会場:渋谷スターラウンジ
https://tiget.net/events/390970