ぐちりは、ニコニコ動画やYouTubeなどを中心に作品発表を行っているボカロPである。

高校生の頃にVOCALOIDシーンに本格的にのめり込み、その影響からフリーソフトでの作曲を開始。
その後憧れていたボカロPの影響でCubaseとIA(音声合成ライブラリ/キャラクター)を購入し、2018年よりボカロPとして作品発表を行うようになった。


現在ではVOCALOID、VOICELOID、CeVIO AI、synthsizer V、VoiSonaなど様々な音声合成ソフトを操り、20種を超えるライブラリー/キャラに命を吹き込んでいる。

全国各地の即売会イベントにも参加しており、近年は台湾や韓国などアジア各国でも活動中。
オンライン・オフラインの境界がなく活躍している。

各キャラの特徴を深く理解したプロデュース能力に長けており、その特性に合わせた、あるいは逆手に取った調声能力やストーリー/ロール付与のセンスは唯一無二。
ハイスピードなロックサウンドをベースに、各キャラたちが躍動する広く深い人類未踏のぐちりワールドを創造している。

現代的でキャッチーなフレーズセンスを持っており、数秒で心を掴む術を持っている。
しかしインスタントにトレンドを追うだけではなく、楽曲としての美しい流れ・展開を持った作品づくりを行っている点も印象的。
また、王道な流れの中に一筋縄ではいかない歪を潜ませる様なアプローチも得意としている。
最新の刺激的な流行音楽を好む若い層、タイピカルで安心感のある楽曲を好む層どちらからも支持される、新時代のクリエイターとして大きな注目を集めている。

近年では「マジカルミライ」のイベントや音源に参加することも多く、その音の輪は益々広がるばかり。
今後さらなる飛躍を見せてくれることは間違いないだろう。

詳しい経歴や使用機材などはこちら




① 『アブノーマリティ・ダンシンガール』



~あらすじ~
“異常”という概念に恋する少女“多目メネ”は、自分の平凡さに嫌気がさしていた。

2021年に公開されたflowerがボーカルを務めるオリジナル作品で、本作マスタリングを担当している有栖川繭歌が中心となって制作されたコンピレーションアルバム『神々ノハコニワ』収録曲。
2025年11月時点で3000万回に迫る再生数を誇り、ぐちりの代表作の一つとして広く知られている。

MV冒頭で映し出される蝶の標本のように美しく儚い16小節のピアノフレーズで始まる本曲は、攻撃的なシンセSAWのリフサウンドが印象的な疾走感溢れるサウンドへとメタモルフォーゼを遂げる。
所謂”丸サ進行(椎名林檎の人気曲『丸の内サディスティック』に用いられたコード進行)”をベースとしながらも構成・展開は複雑。

ぐちりならではの”毒”が盛られた攻撃的で刺激的なストーリー。

そしてその裏に秘められた儚さと切なさを描いたサウンドが、リスナーを飽きさせること無くその世界へと引き込んでいく。

気づけばのめり込みリピートしてしまう非常に中毒性の高い先品だ。

この楽曲の最大のコンセプトは”変体(変身)”。
物語の主人公は、普通でないことに憧れる普通の少女。
「普通な自分が嫌だ、特別になりたい」という強い願望・行動を、昆虫が幼虫からサナギとなり成虫へと変体していく様になぞらえて描いている。
しかし、その”変体”や”異常”への憧れも「どこまでいっても普通の人が考える普通の発想」でしかない……そんな無情な構図を楽曲の世界に落とし込み映し出すセンスは唯一無二。

少女が変体する先は蝶なのか蛾なのか、それとも別の何かなのか。
楽曲への解釈も含め、リスナーそれぞれが違った答えを持てる作風も非常に彼らしい。

ぐちりの楽曲世界を見事に映像化したMVも素晴らしく、徐々に夜の闇が深くなっていく様は少女の心模様を映し出しているのかもしれない(この解釈もあくまで筆者の考察でしかなく、受け手によりいろいろな見解を持てるところも特徴的)。
聴覚だけではなく視覚でも楽しめる作品だ。


② 『シャーデンフロイデ』



~あらすじ~
人の不幸は蜜の味。(シャーデンフロイド)
誰しも持ち得るこの感情は、貴方の心の傍にも潜む。

2021年に公開された音街ウナオリジナル曲で、ぐちり作品の中でも異色のサウンドアプローチを持つ一曲。
彼にしか生み出せない”ダークだけどキャッチー”な世界を展開している。

「人の不幸は蜜の味(シャーデンフロイド)」という 誰しもが持ち得るこのネガティブな感情をテーマとしており、「性格の悪い男の子をイメージした」というサウンドメイクからは刺々しい陰鬱さを感じさせる。
バンドサウンド/ロックサウンドのイメージが強い彼の楽曲において、何種類ものシンセを重ねたエレクトロ要素の強いシャッフル調の本作は非常に新鮮。
進行も所謂”小室進行(90年代の日本音楽シーンを席巻した小室哲哉が多用したコードパターン)”となっており、エレクトロ要素の強いサウンドとの親和性が非常に高い。
インパクト抜群なドラム/ベースサウンドも、リスナーの心を大きく掻き乱すことに一躍買っている。

なお、本作を制作し始めたのは2018年頃で、完成〜公開までに数年の歳月を要したそうだ。

独立した一つの作品として成立している本作だが、同時に他のぐちり作品同士を繋ぐハブの様な存在でもあるとぐちりは語る。
他作品との繋がりを示唆する要素が散りばめられているぐちり作品たちの中で、同一世界上の物語であることを確信するためのキーとなる楽曲……そういった意味でもぐちりワールドを知る上で極めて大きな存在となる楽曲だ。

そんな経緯もあってか、本作は音源やMVだけではなく小説やグッズなど多媒体でのメディアミックスが展開されており、その世界の広がり・拡張性の高さにも大きな注目が集まっている。
彼の楽曲世界をより深く堪能するためにも絶対に抑えておきたい作品。

③ 『ヴァニッシュ』



~あらすじ~
画家志望の青年が、ある日忽然と姿を消した。
部屋に残されたのは、花が咲いたかのようにまき散らかされた血飛沫と、
使いかけの画材、つけっぱなしのTVだけだった。

2022年に公開されたKAITOがボーカルを務めるオリジナル曲で、不穏かつミステリアスな失踪事件を描いた作品。
『初音ミク「マジカルミライ 2025」OFFICIAL ALBUM』収録曲。

前述『シャーデンフロイデ』などの楽曲と同一世界の中作品である可能性と、画家である青年がその世界に存在する「何らかの力」に引き寄せられた人間であることが示唆されている。

心が落ち込んだところを“悪魔”と形容される何者かにつけ込まれ、魅入られ、やがて失踪(ヴァニッシュ)していく様が描かれている本作。
微細な情景描写はあるが「実際に何が起きたのか」「悪魔は何者なのか」など、物語の核となる部分はリスナーの解釈に委ねられている。
他のぐちり作品でもその傾向が強いが、本作は特に捉え方が分かれる作品と言えるだろう。

サウンド面においては、ダークで幻想的なギターで始まるイントロから一転、Aメロ以降はハイテンポで乾いた質感のデジタルサウンドが展開される。
ABサビと同じ(あるいは近い)メロディがリフレインされる点が大きな特徴で、同じメロディ推移でも各パートで印象が大きく違う。
曲調自体もABの静かな音色から一転激しいサウンドのサビへと変化を遂げており、前述のメロディとともに主人公の二面性を投影している部分であるとも考えられる。

このサビの部分はKAITO楽曲としてはかなりの高音が用いられており、落ち着いたトーンの多いKAITO界隈の作品においていも異色を放っている。
KAITOファンの方にとっても必見必聴な怪作だ。



最後に、ぐちりに今後の活動について語ってもらった。

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元々自分の楽曲をメディアミックス展開して世界を広げていくことが夢だったのですが、ありがたいことにその夢は叶えることができていて。
今後も色々な作品で音源だけに留まらない展開を仕掛けていき、聴いてくださる皆さんにより多様な楽しみ方をしていただけたら嬉しいです。

様々な楽しみ方という意味では、自分が歌うライブもやってみたいですね。
DJとしてのイベントは定期的にやっているので、僕の作品に興味を持ってくださった方は気軽に遊びにいらしてください。
会場でしか味わえない空気や高揚感を楽しんでいただけるかと思います。

これまたありがたいことに、海外にも僕の作品を好きと言ってくださる方が多くいらっしゃるんです。
海の向こうにもしっかり僕の活動が届くようにしていきたいですし、僕自身も今以上に海外に足を運べたら良いなって思っています。

ここまでお話した夢や目標を叶えていくためにも、作品のリリースは引き続き定期的に行きたいです。
皆さんからの声や反響がが創作の大きな活力になるので、応援していただけたら嬉しいです。

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ますます多彩な展開を見せてくれそうなぐちりの活動。
その世界はどこまで広く深くなっていくのか。

今後も要注目だ。



【イベント情報】


『UPLOAD』

日程:2026年4月5日(日) 

会場:BLAZE Gotanda

開場 16:00 開演17:00


[出演] 空白ごっこ/ REISAI/ぐちり


※未就学児入場不可

※営利目的での転売行為一切禁止/転売チケット入場不可

※客席を含む会場内の映像・写真が公開される場合がございます。

※公演の延期・中止の場合以外でのチケットの払い戻しは原則行いません。


■オールスタンディング 4,800円(税込/ドリンク代別)

■オールスタンディング(U-18) 3,800円(税込/ドリンク代別)

※U-18チケットは、ご入場時に年齢が確認できる顔写真付身分証明書をご提示いただきます。


【オフィシャル1次先行(抽選)】

受付期間:2025年12月23日(火)18:00~2026年1月5日(月)23:59


受付URL:https://eplus.jp/upload0405/

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