大阪生まれのシンガーソングライター/トラックメイカー、児玉真吏奈。


幼い頃からピアノを習い、5歳で愛犬に向けて散歩の合図の歌を作ったのが初めての作詞・作曲。20歳頃より宅録を開始。
シド・バレットやファナ・モリーナを愛聴し、クラシックからブリティッシュ・トラッド、民族音楽まで多様な音楽を吸収。


ネットで発表した楽曲が七尾旅人の目に留まり、その後押しにより2016年より京都UrBANGUILDや難波べアーズにてライブ活動を開始。

声とエレクトロニクスを軸とした即興演奏を行う。


2017年、P-VINEより1stアルバム『つめたい煙』をリリース。

シンセサイザーを使った弾き語りやエクスペリメンタルな曲など、その振れ幅のある音楽性が絶賛された。

同年に吉岡哲志、浜田淳とエレクトロニック・ユニットSawa Angstromを結成。

ヨーロッパ、アジア、オーストラリアなど短期間に海外ツアーを企画し、数多くの作品をリリース。


ソロとしては、これまでに山本精一、遠藤ミチロウ、PIKA(あふりらんぽ)、テニスコーツ、おおはた雄一らと共演。

ギャラリーでのインスタレーション、展覧会、廃バスターミナル、DOMMUNEや全感覚祭にも出演するなど、その現場は多岐に渡る。


2021年11月、約4年ぶりの新曲『羽化』を発表。そして同曲を皮切りにこの2022年、待望の2ndアルバムリリース予定。




・児玉真吏奈 Marina Kodama "Part of the Soil" (Official Lyric Video)



“生命の循環”をコンセプトにした作品『Part of the Soil』。


「野菜は実がなって、枯れて、また肥料になってと、ずっと循環する。人間も同じく循環している=生命が繋がっていく。また、この“野菜”というものは次のアルバムのテーマでもある“野生”にも結びつく」と、そのコンセプトについて話してくれた。


同曲が生まれたのは、「山口県にある農家、Yorozu Farmさん。ライブを終えてケータリングでそこの野菜を食べた時に感動した。ライブ続きで疲れていたこともあったけれど、超新鮮なニンジンを食べて自分が蘇った。かじった時にめちゃくちゃ良い音がした。これを曲にしたい」と閃いた経緯からだそうだ。


実際にYorozu Farmさんの野菜を切る音や、ドレッシングをかき混ぜる音などをサンプリングしてビートメイキングしていることも一つの特徴。それもあってか、独特のサウンド感が面白い1曲となっている。


また、そのビートメイキング自体も別のところで生まれた音を改めて生かすという意味では循環的といえるだろう。そんなところまでコンセプトに沿っているように感じられるから、ただただ驚かされる。


歌詞で特にこだわったところは、「“自分という存在も必ず循環のなかの、何かの一部に属している”と表現すること」。
描かれているのは「嫌いなものでも栄養はある」というような内容だ。「苦手なことでもやってみて得られることがある」と、ポジティブなイメージが受け取れる作品になっている。



・児玉真吏奈 Marina Kodama "羽化 Uka" (Official Music Video)



2021年11月リリースの楽曲『羽化』。

「いのち、生命、前に羽ばたく、殻を破って羽化していくイメージ」の1曲だ。


余白の部分を大切に、音数を減らして作曲されているのが印象的だが、そこには「今いる場所から、一歩一歩ずつに進んでいくぞ」という気持ちを込めているとのこと。


無駄を削ぎ落としたそのシンプルな音からは、一つ一つの言葉や歌声の響き、そしてビート感がはっきりと伝わってくる。もちろん音でいっぱいの作品もそれはそれで魅力的だが、こうしたシンプルであるがゆえに一つ一つの音の良さを感じられる作品というのも、人の心に深く濃く響くものだろう。


この作品を1曲最後まで聴き終えたら、彼女の声の響きの深さの虜になってしまう人も多いのではないだろうか。

「光の感じが気に入っている」というMVと合わせて是非この時間を堪能していただきたい。


・児玉真吏奈「私にFを足してみて」MV



「私はイメージが断片的に思い浮かぶタイプなので、頭の中にあったイメージを映像作家の浜田淳さん(Sawa Angstromのメンバーでもある)に全部投げた。顔を絵の具でぐちゃっと塗っているシーンなど、脳内のイメージを表現できた」というMVにも引き込まれる楽曲『私にFを足してみて』。


テーマとなっているのは“煙”。「はじめて高知県に行った時に霧が凄くて神秘的だったその光景や、もやもやした気持ちを表現した」と話すように、思いや映像を煙とリンクさせている。ちなみにタイトルにもあるFとは霧=Fogのことで、Fコードを用いて作られているというのもポイントだ。


作曲にはKORGのワークステーションを使用。「Cメロの声は多くの種類のディレイを組み合わせるなど音像的にこだわった」との言葉通り、美しく広がるディレイもまるで煙のよう。それに加えてメロディーラインやサウンドの展開に時折ハッとさせられるということからも、非常に丁寧に作られていることが分かる。


ただ、そんなことはあまり気にせず、心地よい音の広がりに身を委ねるというのも良いだろう。




5月25日にはセカンドアルバムのリリースが決定しているという彼女。

さらに海外のアーティストとのコラボ楽曲もリリース予定だというから、期待は高まる一方。


そんな彼女にこの先の展望を尋ねてみると、「アルバムを出して、ツアーにいきたい!韓国とかアジア圏とか、海外にも行きたい。また、今まではSSWというイメージだったけれど、トラックメイカーとしての活動も強めていきたい」と、いろいろと話してくれた。


ツアーも、海外での活動も、トラックメイカーとしての活動の広がりも、どれも楽しみに出来るものであることは間違いない。

是非Twitterなどでこの先の活動もチェックしていただきたい。



【リリース情報】



2022年5月25日発売

児玉真吏奈 2ndアルバム「Like a Wolf」

CD:全13曲 ¥3,300 (税込) / 配信:全12曲


収録内容

 1. 静

2. Wide Pupil

3. Howling

4. Like a Wolf

5. Part of the Soil

6. 399

7. Interlude

8. 透けた日

9. 牙ピアス

10. Dive Deep

11. Plod

12. 羽化

13. Konton(CD版のみのボーナストラック)