熊本県出身のシンガーソングライター、魚住英里奈(うおずみ えりな)。
1997年7月4日生まれ。2017年8月より音楽活動を開始し、現在までに300本を超えるライブイベントへ出演。
その活動範囲は女性シンガーソングライターの枠に留まらず、ASA-CHANG&巡礼・豊田道倫・日本マドンナ・灰野敬二・munimuni・藤田幸也(Kαin)といった他ジャンルの演奏家とも積極的に共演を行っている。
彼女が1人暮らしを始めたタイミングで出来た楽曲『袖に隠したチョコレート』。
「それまでの私は、ほとんどの時間を誰かと一緒に暮らしていました。家族、友人、男性。女性。私は、その街や一緒に住んでいる人たちに心を許していたのでしょうか、それとも甘えていたのでしょうか。1人暮らしを始めて、まだ何もない部屋で、ふと≪この街は優しい国だから傷つけても大丈夫 人は離れていくだけさ≫というフレーズだけが最初に浮かびました。旅立ち、区切り、別れ、みたいなものを、大きく“国”という言葉で表しています」
そう話す同曲には、≪もう一度感動したい≫という印象的なリフレインがある。そんな切実な歌声と歌詞に込められているのは、「もう一度、1人で始められるはず」という前向きな気持ちだ。つまり、「お別れと始まりの歌」。
沈み、そして上がる。そんな1曲だ。
「現在ライブで演奏している中でも、特に思い入れの強い曲です」との言葉通り、歌声には強く感情が宿っている。その感情の強さが、美しく聞こえてくるから面白い。
「一見、現在までの魚住英里奈のイメージにはそぐわない、賛否あるメロディ、歌詞、MVなのかと思います」と、コメントをくれた楽曲『勇敢なソーダ』。
これまでに作ってきた楽曲では、ネガティブな心象風景を、そのままネガティブにアウトプットしてきた。それ故に、わかりやすくヒットしてくれる方もいただろう。死生観を剥き出しにしたまま、重く表現したような曲も多かった。しかしこの曲は最初から「めちゃくちゃポップな聴き心地にしよう」という考えのもとに作成。根底にある観念自体はそのままでも、「ドライブ中に聴いても気持ちいいくらい明るく愉快なメロディにしよう」と思って作り始めたそうだ。
そして実際に、キャッチーで心地よい聞き心地の1曲が完成した。爽快感があるメロディーラインの中に、持ち前の重たさのようなものが良い塩梅で顔を覗かせるのも魅力的だ。
そんな同曲について、彼女はさらに言葉を続けてくれた。
『歌詞の最初に≪ヤクルトレディー≫というワードが出てきます。少し前に熊本へ帰郷した際、自転車で配達中のヤクルトレディーを見かけ、妙に懐かしさ(例えば、子供のころの夏の蒸し暑さや通学路のやけに傾斜の激しい坂道なんか…)を思い出しました。私にとってヤクルトレディーはそういった蒸し暑いノスタルジーの象徴なのだという発見が、この書き出しに繋がっています。
そのあとに続く言葉は、端的に言うと“投身自殺と、それを見ている傍観者・野次馬”のこと。
他人事でしかない≪魂が火をつけて落ちてゆく≫さまを、深刻な顔をしながらも、どこか面白がりながら、人々は只、見ているだけです。
サビではガラッと明るい曲調となり≪勇敢なソーダ=勇敢な躁だ≫と高らかに歌っています。何だって出来そうな無敵の心理状態。今ならこの空も飛べる気がするというくらい、愉快に吹っ切れて、開き直って、落ちてゆく魂。
そんなさまを目にしながらも、あれが人間だよ、そんなもんだよね、と平静に捉えがちで、ともすれば指先ひとつで軽々しく発信しがちな傍観者たち。
私たちは、命/生/死というものを、正しく重く捉えながらも、どこか俯瞰して軽く見ているという矛盾を抱えているけれど、それは本当に?本当はそんなことないよね?と、極めて明るく歌いあげた曲です。
「それは本当に?笑」…笑なんてつけちゃってもいいくらいです』
ちなみに、MVに出てくるノスタルジックな風景は、「あの金髪の女の子が見ている走馬灯のようなもの」とのこと。
カメラの目線の移り変わりにどんな意味を持たせているのか、想像しながら見てみていただきたい作品だ。
≪あなたは穏やかに沈むわたしを眺めればいい
わたしは美しく
殺されない方法を知っている≫
そんな歌詞が印象に残る作品『春のお弔い』。
同パートについて彼女は「この歌詞、支配からの解放ですわよな」と話す。
印象的なのは、キャッチーなコーラスパート。それはある意味幻想的ともいえる。繊細で、しかし時にぐっと厚みを増す歌声もまた、同様だ。それでいて歌詞のワードやそこに確かにある人間の感情は、とてもリアル。だから現実感があるのに、どこか非現実的でもあるという、独特な世界観が生まれているように感じられる。
その感覚もいうなれば開放的(解放的)だといえるだろう。
現在は単独公演実現に向けて準備中。
さらに1stアルバム『ISO1600の花嫁』も近日中に配信/サブスク解禁予定で、この2022年3月と7月にも何らかの音源リリースを計画中とのことなので、目が離せない。
この先の展望として、「長く活動を続けていく」ことを挙げてくれた彼女。是非長く、追いかけていっていただきたい。
最後に、“この記事を読んでくれた方へ”として一言頂いた。
「これ以上、私に語らせるんではない」
【ライブ情報】
2月19日(土)新宿 ROCK CAFE LOFT is your room
2月28日(月)池袋手刀
3月4日(金)都内某所予定
3月6日(日)大阪・難波ベアーズ
3月20日(日)渋谷LOFT HEAVEN
※今年4月と7月に単独公演を計画中
【その他】
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